SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5015)

  • 早川書房
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本棚登録 : 540
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350151

感想・レビュー・書評

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  • 2014/8/8読了。
    『屍者の帝国』で大丈夫いけるかなと思ったのだが、やっぱり駄目だった。すみません、お好きな方もいらっしゃるのに申し訳ないが、何が書いてあるのか分かりませんでした。
    不遇な科学者である父と僕と母の話は良かったのだが、なんでそれが継時上物語空間のタイムトラベルの話に味付けされているのかまったく分からなかった。時間テーマSFは大好きなはずなんだけどなあ。こういうちょっと気取った理系の叙情に接続する回路が僕の中にないということなんだろう。一回読んだだけじゃ分からない類の本だ。でも他に読まなきゃいけない本は山ほどあるしなあ……

  • 今のところ(SFに限らず)今年読んだ本の中でベスト。

  • イメージがなかなか結びつかず、難しかった、というのが正直なところ。理解しようとしすぎず、無理やり読み切るのがよいと思う。

  • 『SF的な宇宙で…』という題名とタイムマシンという語句で勝手にワクワクするような冒険物としてのSF小説を想像して手に取りました。が、何といえばいいのかはわかりませんが、その手の話ではないことだけは確かです。

    タイムマシンの設定も“継時上物語学”というちょっと不思議なもので、過去を「想起する」ものから「認識する」ものに捉え方を変えてタイムトラベルする(と解釈しましたが違うかも)というもの。
    設定も難しいし、独特な言葉遊びをしているかのような文章に揺られてるような感覚を味わい、内容を理解できた気になったり、さっぱりわからなくなったり、読むのにも時間がかかりましたが、ちょっと曖昧なままの世界を読み進めるのも楽しいものでした。

  • 予想以上に円城塔だった。何回か間をおいてよんだのでラストで何が起こったのか正直よくわかってないのでもう一度読み直した方が良いかもしれない。

  • 科学的な部分はちんぷんかんぷんでしたが、
    わからないままでも無理矢理がんばって読んでみたら
    結構楽しく読めた。いいお話だと思いました。
    装丁がおしゃれ。

  • 解説にあった、作者の第一短編集Third Class Superheroがちょう読みたい。水分でちょっとしっとりさせることしかできない三流スーパーヒーロー・モイスチャーマン。円城さん訳してくれないかしら。

  • タイムマシンでずっと考えことをする話。自分殺したり異世界いっちゃったりするけど、結局のところ何なのだといわれると、第三者から見れば何も起こってない。主人公以外の生身の人間が全くと言っていいほど出てこないので、文字通り私小説か…。ゆっくり読んでわけわからなくなるけど、何故かすこし感動する良い小説。いったいどこからどこまでがチャールズ・ユウで円城塔だったのかが問題?

  • 『すなわち、原理的には万能タイムマシンを構成するにはこれしか要らない。(i)記録媒体の中で、前方と後方、二方向に動かすことのできる紙切れ。(ii)そいつが、叙述と、過去形の直接的な適用という二つの基本操作を果たせばよい』

    この小説は納め所の難しい小説だ。特に前半と後半の印象ががらりと変わる。ただ解説にあるようなSF か家族小説かというような二者択一を迫られているとは思わない。この小説はあくまでもSF であると思う。ただ、SFとしての印象の落とし処が見えにくいという気がしてならないのだ。

    単純化を恐れず言えば、SFの楽しみは想像力の喚起、ということに尽きるのではないかと思う。しかもそれは一見途方もない嘘のようでいて言葉の一つひとつには科学的に証明された概念が用いられ、それらを組み合わせて行けばその途方もない嘘が実現しそうな気になるのが醍醐味ではないか。例えば最初の引用は知らない人にとっては、物語の中での意味を見出だしかねる文章かも知れないと思うけれど、これはロジャー・ペンローズが展開した万能チューリング・マシンのことを下敷きにしていると気付けば(奇しくもどちらも略号はUTM)、不可能性は可算的に証明できないということに繋がる話だなと頭の中で思考がぐるりと回転して物語の次元を拡張する。一つのエピソードの背景に別のエピソードがきちんと流れているように感じられる。それがSFの楽しみの王道ではないかと思う。前半にはそんないわゆるSF好きを刺激する言葉使いが多用されていると思う。

    『失敗は容易に測定できる。失敗は出来事だ。無意味さは測定し難い。非出来事なのだ』

    それが後半になると急に哲学的な言い回しが多くなる。それはそれで物語に深みを与えるとは思うけれど、思考が哲学的になる時、物事の因果関係は必ずしも明瞭になるとは限らない。つまり、物語の筋はもつれて(tangled)くる。一つの思考を俯瞰したメタ思考があるかと思えば、更にその思考を俯瞰したメタ思考があり、その連鎖は永遠に続くように思われる。その永遠に続く連鎖を俯瞰した思考、例えばε-δ理論のような思考も考え得るけれど、人は無限を取り扱う術を完全に心得ている訳ではなく、そこに容易に不完全性が忍び込む。

    その混沌とした世界を叙述することがひょっとしたらこのSFの真の狙いなのかとは思いつつ、指輪物語が終わった後にホビットの冒険があったといわんばかりの短いエピローグが添えられているのを読むと、それならばもっときちんと閉じて完成した世界を描いて欲しいとも思うのである。究極的には量子力学的世界観を受け入れることが出来るか、それとも古典物理学的世界観に留まるのかが問われているのだろう。しかし、SFを読むときにそこまでの覚悟をして読むことは稀であるに違いない。まあ、円城塔の翻訳ならそこまでの覚悟が必要なのかも知れないけれどね。

  • 円城さん訳ってのがすげーって思いました、SFっていうか、家族小説ですね

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