フルハウス

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163163109

作品紹介・あらすじ

本物になりたいけどなれないニセモノ家族の奪闘描く表題作と、不倫の顛末をコミカルに描く、「もやし」。芥川賞候補作の力作二篇。今、注目の辣腕新人、初の小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 『フルハウス』
    奥さんと成人したふたりの娘とは何年も別居しているのに、父親は家を建てた。娘たちはもちろん一緒に住むのを嫌がる。
    その後、長女が家を見に行くと、知らない四人家族が住み着いていた。話を聞くと、横浜駅で路頭に迷うホームレス家族を父親が連れて来たらしい。父親は昔から落ちているものを拾ってくる癖があった。
    拾われた家族の娘が火を点けて逃げる。家は燃える。

    『もやし』
    27歳の女は49歳の男と不倫関係だった。夫の不倫に気づいた妻は女に電話をかけてきたり、夫にもやしカレーを食べさせたりした。
    妻は狂った言動を繰り返しながらも、女に慰謝料請求をする。女は知的障害のある男と結婚しようとするが、断られる。

    妻に呼ばれて家に行く女。そこには男の母親もいた。何も知らなかった男も帰宅した。
    女に別れを迫る妻と母親。大量のもやしを食べさせられる男。

    ---------------------------------------

    すべての登場人物が狂っていた。良い小説を読めた。とてもいい気分。
    『フルハウス』のほうは通行人すら狂っていた。家に住み着く家族もおかしいけど、道行く人まで狂っているとなるともうどうしようもない。
    『もやし』に出てくる妻はまちがいなく狂ってたけど、周りの人たちも少しずつ狂っていた。中途半端じゃない。行けるとこまで行ってる、という感じ。爽快。

  • もやしの最後の方はみんながむちゃくちゃで、怖かった。

  • フルハウス…父が建てた家に招待された姉妹。父は必死に崩れた家庭を取り戻そうとする。なにを思ったか父が連れてきたホームレス家族の中の幼い少女はここで何を思うのか。

    もやし…ある男と不倫関係にあった高樹はある日男の妻から電話を受け、振り回されることになる。光を求めて白くうつろにもやしは伸びる。


    ☆☆☆
    どちらも芥川賞候補ということで傾向が良く分かる。熱気に満ちた狂気みたいなものが全体にあるのが時代性なのかな。

  • 尋常でない狂気を含んだ世界をこれだけ淡々と書けるなんてすごいですね。

    「フルハウス」は既に崩壊した家庭を再建するため父が新築した家に見知らぬホームレスの家族が住み着くようになるお話し。そのことだけでも尋常でないんですけどそのホームレス一家もどことなく怖いんですよね。
    柳美里さんの本はエッセイの「私語辞典」を初めて読んだのですが、美里さん自身や家族と物語り中の人物が重なるところがありますね。自伝的要素が強いのでしょうか?エッセイの妹さんの映画を見た感想と物語のやはり主人公が妹の映画を見るシーンがなんとなく似てるなぁと思いました。

    「もやし」は不倫相手の妻が押入れでたくさんもやしを栽培してるというこれまた狂気めいたお話し。余分な感情がうまい具合に省かれててドロドロした内容なのに引きずり込まれるように読んでしまいました。

  • 「フルハウス」「もやし」収録。
    どちらも、登場人物の人間関係が面白い。「まとも」な人が一人も出てこないので、すごく違和感を感じる。そういう世界観なのだろうと思って読んだ方が良いかも。

  • この人あんまり好きじゃないから読んだこともなかったんだけど、読んでもやっぱり好きじゃなかった。芥川賞候補作らしいけど無理。あくまで私個人の好みでしかない感想だけど、読むんじゃなかったよ。げんなりする。

  • 「家を建てる」が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、本当に家を建ててしまう。しかし、娘たちも、十六年前に家を出た妻もその家には寄りつかなかった。そこで、父はホームレスの一家を家に招き、一緒に暮らし始めるのだが…。第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞受賞の表題作のほか、不倫の顛末を通して家族の不在をコミカルに描いた「もやし」を収録。

  • すごく恐かった。これをどう怖いと表現したらいいのか判らない。もしかしたら自分が適切な表現を知らないだけなのかもしれない。二作(「フルハウス」「もやし」)ともホラーやミステリーではない。ここまで揃う事は無いだろうが、この中の設定の一つや二つは、私を初め、おそらくほとんどの人の日常として存在しているだろうと思われる。
    日常の中に潜む狂気。あー、恐かった。
    (2004.10.25)

  • 理解できませんでした。
    私にはついてゆけません。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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