希望の国のエクソダス

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163193809

作品紹介・あらすじ

2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた!経済の大停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを開始、円圏を巡るアジア通貨危機では、情報戦略を駆使して意外な結末をもたらす。その後、全世界の注目の中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった-壮大な規模で現代日本の絶望と希望を描く最新長編。

感想・レビュー・書評

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  • 2000年代に書かれた近未来の日本の事を予測を含め書かれた一冊。
    すでに、2017年になっておりこの舞台となる2008年も過ぎているのだけど、意外と書かれていることが当たっている部分もあり、凄いなと思う。

    この本をいま国会で話題になっている前川次官が読んで、危機感を持ったとニュースで話されていたのが、わたしが読み始めた時点のことでなる程と思った。

    2001年に日本の中学生たちが集団不登校になっていて、その若者たちがネットワークで連帯して新しい価値観を持って生きて始めていく。

    通過も新しく作ったりするのがビットコインと重なったりと村上龍氏の先見性や想像力に驚かさせられた。

    そして、狂った日本の政治や世界も重なってくる。
    さすが文部科学省次官の前川氏が本当に若者たちのことを考え彼らの目線にも近づこうと読まれた本だと思った。

  • 「この国には何でもあるけど希望だけがない」力がなくても金がなくてもガキであっても力を持てる世の中。ポルノ画像や好きなアーティストのライブDVDくらいPC一台あれば全て無料で見れる。男子はエロ本を他人にバレないようにこっそりかつ短時間で読んで思い出を持って帰り妄想を高める。音楽もCDで聴いた楽曲達がライブでどう躍動してるかを楽しむ。モノには順番があって一つ一つクリアするのが醍醐味と思う。しかしネットワーク社会の発達で世界中の赤の他人とのツールが無限に広がり、言語も肌色も違う人と情報だけでなくテンションさえも共有出来る時代。妄想を具現化出来る可能性が広がることは大きなくくりでみたら幸せなことなのかわからない。image or realって言葉は廃れたか。そんなことを考えてしまった一冊。今から10年以上前の本やけど時代遅れ感は全くない。子供が出来たら、「あすな」って名前にしたい。

  • 村上龍の作品では2作目。

    エクソダス(Exodus)とは「脱出」の意。
    故に、「希望の国からの脱出」となる。

    内容はまさに希望の国と呼ばれている日本で
    起こる話で、フィクションものだが
    それが完全にフィクションと言いきれないところが
    この本のよさだと個人的には感じた。

    ありえそうな話。
    そして、それは日本の教育会に対してのメッセージ
    とも感じ取ることができた。

    あるページでのやりとり
    「なんで学校に行かなきゃだめなの?」
    「義務教育だから」

    この文言から全てがわかる

  • 大人たちが築く将来をあきらめ、若者がクーデターをおこし独自のパラダイスを作り上げるというストーリー。

    フィクションとしては嫌に現実味が強く、20世紀少年などの類の面白さを放っている。



    筆者がそうしたいのか、あるいは予言のつもりなのかはわからないが、

    排他的とは言わないまでも理念に合う者だけで話を進める点では、同意しかねる。

  • ノンフィクションかのように錯覚してしまう作品。
    バブル崩壊の失われた10年〜現在までをリアルなまでに物語として作り上げている。
    主役は中学生。中学生がネットの会社を起こし、大人が作った日本に革命を起こす話。と書くとチープに聞こえてしまうが内容は衝撃的。
    しかもこの本が出たのは8年前というから驚きだ。
    「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」
    本書での有名なセリフ

    さて、今は?

  • 途中まで非常に面白くて、グイグイ引き込まれた。舞台は現実のようで少し違う近未来、といっても2000年代の話だから今からすると昔の話。

    義務教育制度に対して、疑問と関心が生まれたと思う。戦後からほとんど変わってない制度は見直すべきだし、歪みはとうに生まれている。作中から20年が経過してしまいもはや手遅れな感じも。

    著者の他の作品も読んでみようと思います。

  • 2022/6/26-7/10読了

  • ここ最近読んだ本の中で1番面白いと思った。
    「希望だけがない」
    本当にこの国をよく表している。
    この本が書かれて20年以上経った。
    中学生が反乱を起こしていない現実の日本は、本書の中よりも状況は悪化している。
    日本は少しずつ死んでいる。

    あと、中学生の親はもう少し子供に干渉するだろうな、現実は。

  • 中学生半端ない

  • 随分前に買ってたんだけどやっと読み終わった。
    これが20年前の本なのかと時代の変化を感じる。
    飢え、危機、排除など、それらが襲ってきたとき自分はどう行動するだろう。この頭は使えるのかと不安を感じる。

    私を進めるのはなんだ?

    面白かったです。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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