あなたと、どこかへ。 eight short stories

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163239507

感想・レビュー・書評

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  • 09/08/07 8人の作家の小さな旅をテーマにした短編集。

  • 日産TEANAスペシャル・サイトで発表された、8人の作家による、車にまつわる小説のアンソロジー。収録作品と作家は以下。

    「乙女座の夫、蠍座の妻。」吉田修一
    「時速四十キロで未来へ向かう」角田光代
    「本を読む旅」石田衣良
    「慣れることと失うこと」甘糟りり子
    「この山道を……」林望
    「娘の誕生日」谷村志穂
    「遠い雷、赤い靴」片岡義男
    「夜のドライブ」川上弘美

    ほんわりと心があったかくなって自然と顔がほころんでしまったのは「乙女座の夫〜」。

    しばらく忘れていたことを思い出し涙する主人公にこちらもウルウルし、なんていい弟なんだ、こいつっ! とすごくうれしくなったのは「時速四十キロ〜」。

    読書をするためだけの、こういう一人旅っていいなぁ(荷物は重そうだけど)とうっとりしてしまった「本を読む旅」。

    そして、自分と思いっきり重なって涙を流して泣いてしまった「夜のドライブ」。

    この4編が、良かった。

    とくに最後の川上弘美さんの「夜のドライブ」には、もうやられました。わたし自身、母と二人でいろんなところに行ってみたいな、泊りがけで旅行してみたいな、とずっと思っていたのに、一度も実現しないまま母が亡くなって、二度とそれがかなわなくなってしまったわたしにとって、この話は涙なくしては読めない。

    ……今も、書きながら涙が出てきてしまう。何度読んでも泣けてしまう。わたしの母は、この小説のお母さんとはちょっと違う人だったけど、このシチュエーションはわたしも母と旅行に行ったらこんな感じになるだろうなと思わせる(と同時に、お母さんと旅行に行けるこの主人公がうらやましくて仕方ない)のと、母のことを思う気持ちはこれとまったく同じだったことを思い出してしまうのが、もう、なんていうか、たまらなくなるのだ。

    ……すみません、泣けてしまってこれ以上書けません。

    まあとにかく、本書は車やドライブにまつわる話が詰まっていて、ちょっと切なかったりうれしかったり、いろいろな意味で心にじぃんと来るアンソロジーです。お勧め。(2006.4.14)

  • あっさり読め、読んだあと、心が軽くなる本。私は車の運転ができないけど、車に乗ってどこかにでかけた後の爽快感が心をよぎった。甘糟りり子、林望、谷村志穂のは休日の朝、ふとんのなかで読みながら、過去を肯定することについてふと考えた。過去について考えることは生きるためにたまに必要なことだ。川上弘美のを読んだのはその前夜の夜遅く。読んだら、妙に感傷的になって、クライバーのベートーベン第7番が聴きたくなった。もちろん、これは個人的な感傷の範疇である。

  • あっさり読め、読んだあと、心が軽くなる本。私は車の運転ができないけど、車に乗ってどこかにでかけた後の爽快感が心をよぎった。甘糟りり子、林望、谷村志穂のは休日の朝、ふとんのなかで読みながら、過去を肯定することについてふと考えた。過去について考えることは生きるためにたまに必要なことだ。川上弘美のを読んだのはその前夜の夜遅く。読んだら、妙に感傷的になって、クライバーのベートーベン第7番が聴きたくなった。もちろん、これは個人的な感傷の範疇である。

  • 某自動車メーカーの車のサイトに寄せられた物語をまとめたものらしい。よってテーマは車である。吉田修一氏はじめ今をときめく作家陣による車をテーマにした短編集。横に乗る人は結婚相手だったり、元恋人だったり、肉親であったり。車って究極のプライベートスペースだと思うので、他人とか、良く知らない人とかを乗せたり乗せてもらったりというのはすごく緊張するなあ。でも皆さん車を、気分転換とか、非日常的に過ごすための道具として描かれているのは、同感しつつそうありたいと思った。

  • どこかへでかけることをテーマにした8つの短編集。

    吉田修一と川上弘美さんの話がよかった。特に吉田さんはこの短編を読んでいっぺんに好きになってしまった。


  • 人生に疲れた彼は
    本を数冊持って旅に出る

  • 最後の話は意味もなく泣きそう。

    (2011/09/06 再読)

  • とても読みやすかった。石田さんのお話みたいな、本を読むためだけの旅をしてみたいなぁと思った。とても素敵。

  • 車がテーマのアンソロジー。
    我が家は車を持たない生活をしている。
    だから、このアンソロジーに出てくる夫婦やかつての恋人たちや姉弟が少しうらやましかった。
    閉ざされた空間、真向かいではなく、お互いに進行方向を向いて話すことのできる空間は、
    結構貴重なものかもしれない。
    そこでは大事な話もできるし、なかなか聞けなかった過去の真実も知ることができる。

    あぁ、車に乗りたくなった。
    私の場合は助手席だけど。
    そしたら、どんな会話がうまれるのだろう。
    私も車の中で号泣したり、微笑んだり、できるかな。
    そんな私に運転席に座る人はどんな言葉をかけてくれるんだろうな。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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