シティ・マラソンズ

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1042
感想 : 229
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163291109

感想・レビュー・書評

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  • 素敵なお話たち
    さわやか

  • とても綺麗な描写で読みやすく、少し長めのCMを見ているような感じがした。どの話ももう少し心理描写を深くするとすごく感動的になるのにと思えて少し残念な感じがした。

    これからジョギングでもしようと思われている方にはお勧めの本です。少し走りたくなると思います。

  • 近藤史恵さん初読。切ないけどパリの描写がきれいだった。パンが美味しそう。サクリファイスも読んでみよ!

  • 可も不可もなく。。。
    フルマラソンってこんなに簡単に走れるもんなのかな。。。

  • 図書館で本を返したら、めずらしく予約本が一冊もきてなかったので(ほとんどいつも返す本と借りる本の交換状態)、ひさしぶりに書架をうろうろする。ふと見た小説の棚に『シティ・マラソンズ』があって、あれこれは単行本か、たしか文庫にもなってたよなと思いながら、借りる。

    ニューヨークシティーマラソン、東京マラソン、パリマラソンを、三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵がそれぞれ書いた話。もとは、アシックスが期間限定でやったキャンペーン「マラソン三都物語」のために3人が書き下ろしたものだそうだ。

    東京マラソンをネタにした小説は、こないだ奥田英朗の『我が家の問題』でも読んだ。三浦しをんは箱根駅伝小説『風が強く吹いている』を書いてるし、あさのあつこにも『ランナー』があるし、走ることをネタにした話はけっこうあるなと思う。

    この『シティ・マラソンズ』でも、三人が書いた物語は、切り口がそれぞれ違って、おもしろかった。走る、マラソンに参加する、ということだけでなく、物語のなかのセリフが印象に残ったり。

    たとえば、三浦しをんの「純白のライン」では、主人公の広和がお目付役を頼まれた、社長の娘・真結のこんなセリフ。
    ▼「でも、合コンってつまんない。にこにこしながら、男のひとの会社や学校での手柄話に相槌打ってさ」(p.51)

    三浦しをんは、こういうジェンダーセンシティブな感じのことを、ひょろっと書く。男女共同参画がなんとかいうようなテーマで無理やりな話をつくってる作品も世にはある中、小説としておもしろい(多くの人に読まれる)作品の中に、こういうのがひょろっと入ってるのが、ええなと思う。

    あさのあつこの「フィニッシュ・ゲートから」では、主人公の悠斗と中高ずっと一緒だった湊の、フルマラソンを走ってみようと思うんやと伝えるときの、こんなことば。
    ▼「挑戦してみたい。つーか、何があるんやろって気になってしょうがないんや」「42.195キロ。走ってみたら、何が見えるんやろなって。気になって気になって知りたくて堪らんのや」(p.129)

    たぶん50メートルや100メートル走るとか、5キロ、10キロ走るのとは、やっぱり違うもんが見えるんかなと思う。記録とか入賞とか、そういうのを目当てに走る人もたくさんいるとは思うけれど、各地のシティマラソンが、抽選で出場を決めるほどだというのは、そんなんじゃない「走る」魅力みたいなのが、あるのだろう。

    近藤史恵の「金色の風」では、主人公・夕の、パリマラソンを走りながらの心のうちのことば。
    ▼そろそろ息が荒くなってくる。いちばん苦しくなる時期だ。踊っているときにも、こんなことがあった。
     泣きたいほど苦しくて、やめたくて、どうしてこんなことをやっているんだろうと思って。
     そう、なにもかもが同じで、繰り返しだ。わたしたちは同じことを繰り返す。
     でもわたしは知っている。ここを越えれば、また幸福を感じる時間がやってくる。
     思い出した。踊っているときもそうだった。
     苦しいことしかなかったような気になっていたけど、何度も踊りながら幸福を感じた。
     音とひとつになる幸福、拍手を浴びる幸福。(pp.211-212)

    「どうしてこんなことをやっているんだろう」「同じことを繰り返す」というあたり、職場をあちこち転々としてきた私には、ドキーっとくるものがあった。

    3作とも、「走る」ことをネタに人生を語ってるんかなーという気がした。

    (9/25了)

  • 三人の著名女性作家によるNY、東京、パリのマラソンを舞台にした短編小説。読み比べが面白い。考えてみたら、登場人物達と同じように、たくさんの人が、それぞれ様々な思いを抱えてマラソンに参加しているんですよね。42.195Kmは無理だけど、私も11月の10Kmチャリティーランに応募しました。

  • 走る人は哲学的になるのだと、三者三様のお話を読んで納得できます。ちょっと、走ってみようかな、と思えてしまう本でした♪

  • どの話も良かった。近藤史恵の話が一番感動した。

  • ・三浦しをん「純白のライン」(ニューヨークマラソン)
    ・あさのあつこ「フィニッシュ・ゲートから」(東京マラソン)
    ・近藤史恵 「金色の風」(パリマラソン)
    2008年~2010年にアシックスのキャンペーンのための書き下ろし。

    ひょんなことからマラソンに出場することになった人たちの物語。
    読みやすくどれも面白ろかった。
    マラソンコースを再現し、走ることの面白さが伝わってくるのは、三浦しをんさん。
    他2作は人生を見直すほうに力点が置かれている。
    走ることは苦手だが、走ってみたくなった。
    (図書館)

  • ニューヨーク、東京、パリのシティマラソンに走る人の熱い思いを短編にまとめた佳作集でした。いずれも屈折した過去を持ちながら42キロにいよいよ挑んでいく!素晴らしいですね。「フィニッシュゲート」(あさの)東京マラソンに挑戦する主人公の高校時代の友人と本人の2人の逆転と、高校時代の甘い思い出と悲しい出来事!映画になりそうな感動的な場面です。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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