ルリボシカミキリの青

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 586
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163724300

作品紹介・あらすじ

朽ちかけた木の襞に、ルリボシカミキリがすっとのっていた。嘘だと思えた。しかしその青は息がとまるほど美しかった。しかも見る角度によって青はさざ波のように淡く濃く変化する。それは福岡ハカセがハカセになるまえの、まぎれもないセンス・オブ・ワンダーの瞬間だった。

感想・レビュー・書評

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  • 読了

  • 馬を水辺に連れて行くことはできても水を飲ませることはできない
    教育の不可能性と希望

  • 著者である福岡ハカセの気づきや思い出が綴られる、エッセイ集。
    相変わらず文書がとても感動的で、美しい。
    動的平衡、センス・オブ・ワンダーという著者のメッセージはこの本でもブレない。
    特に、最後の、初めて著者が本物のルリボシカミキリに出逢えた時の文章は心動かされる。著者を突き動かすものは、今も昔もセンス・オブ・ワンダーであるという思いが強く伝わってくる。

    心に留めておきたい言葉は、
    Think globally,act locally
    -微生物学者で抗生物質を発明し、その後地球思想家になったルネ・デュポスの言葉。

    また、ほかの本にも載っていたが、プロフェッショナルと呼ばれる人たちに必ず共通する「1万時間」の話は、いつも考えさせられる。

  • 雑誌に連載された短いエッセイ集で読みやすかった。
    文章が上手なので小さな感動が連続して味わえる。
    知的好奇心や雑学も得る事が出来、著者の本が売れるのも納得。

  • ・タイトルの「ルリボシカミキリ」に関する学術的な図書ではない。
    ・エッセイ集だが、福岡氏が子供の頃、昆虫少年だったエピソードも多く含む。
    ・数多くのエッセイの中から、最後に収録されたルリボシの話からタイトルに。
    ・福岡氏は表現力の豊富さから、読書量はかなり多いと見受けられる。
    ・昆虫好きの人にとっては興味深い話が多いが、そうでない人はつまらないかも。
    ・男の子は蒐集癖がある、メカ派(鉄道・車)か生物派に分かれる、というのは共感できる。

    抜粋P182
    脳死問題
    最先端科学技術は私達の寿命を延ばしているのではない。両側から生命の時間を縮めているのである。(ヒトをどの段階で生まれたことにするか、死んだことにするか)

  • 好きなことがあって、それに没頭できることって幸せだよね。人それぞれに、それは違うだろうけど。

    どんなにつらいことがあっても、”好きなこと”があればね。耐えられるよ。なんてこととないよ。

    プロローグ、あるいはエピローグを読むだけでも価値あり。

  • 2010/6/5  借りる。6/23 読み終わる

    福岡 伸一の本を読みたくて借りる。
    「生物と無生物のあいだ」の後に読む。すごく面白かった。

    内容と著者は

    内容 :
    分子生物学の最前線で活動する一方、生命科学の魅力を一般に伝え続ける著者が、
    その研究生活を中心に、ときどきの事件・ハヤリごと、身辺のよしなしごとなどを綴る。
    『週刊文春』連載のコラムを再構成・再編集して書籍化。

    著者 :
    1959年東京生まれ。京都大学卒。青山学院大学理工学部教授(分子生物学専攻)。
    第1回科学ジャーナリスト賞受賞。「生物と無生物のあいだ」でサントリー学芸賞・新書大賞受賞。

  • 週刊文春に連載しているコラムをまとめたもの(ウチの母はこれを読んでいたのだな)なので、一篇一篇は読み切りサイズ。時事と絡めたり思い出話を引っ張り出したりと多彩で、短く自由な形で書いているために著者の文章のうまさが余計に目立つ。うますぎてほとんどイヤミを感じるくらいに。

    GP2遺伝子ノックアウトマウスの後日譚。実はGP2遺伝子は消化管内での免疫システム発動に関わっていた。実験室はクリーンなためノックアウトマウスでも不都合が起きなかっただけだと。

    フタバスズキリュウの鈴木”元少年”は今でも博物館の職員である(爆問学問で見たな)。その鈴木さんが講演の最後に引いた与謝野晶子の短歌「劫初より造りいとなむ殿堂にわれも黄金の釘一つうつ」。

    Think globally,act locallyとはルネ・デュボス(抗生物質を発見したそうな)が言い出したセリフ。着眼大局、着手小局。

    矯正に関する歯医者の流儀はそれぞれであるようだ。行こうかと思っていたが少し思いとどまる気持ちに。

    ブラウン運動の勘違いや、思い出とは自己愛であるなど、他にも面白い話がたくさん。

  • 読者に気付きを与えたい、身近なところから「面白い」と感じさせる学びのきっかけを紹介したいという(裏の)狙いを込めて書かれたエッセイ集。
    ・何かを始めた時のこと
    ・学問の考え方
    ・理科的解釈
    など
    自分がどきどきするまでには至らなかったけど、福岡さんの狙いは分かった。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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