16のインタビューと立花隆の特別講義 二十歳の君へ

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163735207

感想・レビュー・書評

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  •  もっとも印象に残ったのは「20歳の全能感と無能感」の節、ポール・ヴァレリー「そのころ私は20歳で」という文章だった。

    以下引用

     その頃私は二十歳で、思想が強大な力を持っていることを信じていた。そして自分が存在していると同時に存在していないのを感じることで奇妙な工合に苦しんでいた。ときに私には何でもできるように思われ、その自信は何らかの問題に当面するや否や失われて、実際の場合における私のかかる無能さは私を絶望に陥らせるのだった。私は陰鬱で、浮薄であり、外見は与しやすく、それでいて頑固で軽蔑するときには極端に軽蔑し、また感動するときは無条件で感動し、何事によらず容易に印象を受け、しかも誰にも私の意見をかえさせることはできないのだった。
     その頃私は幾つかの思想を信じていて、それらがそれらを生じせしめた私の存在と一致していることが私にとってはそれらが普遍的な価値を持っていることの確証となっていた。すなわち私の精神にかくまで直截に認識することができるのならば私にはそれらの思想を反駁する余地はないと思われ、事実われわれの欲望によって生ずるものは常にあらゆるものの中でもっとも明確である。
     私はこれらのまだ形を成さない思想を私にとっては最高の方策として胸に秘めていた。私はそれらが異様なものであることを恥ずかしく思い、それらが無稽のものであるかもしれないのを恐れていた。

    確かにこれは、二十歳前後の若者に普遍的な心境を的確に表現している。

  • 資料ID: W0160655
    請求記号: 367.68||To 46
    配架場所: 本館2F書架

    20歳がいろんな人のいろんな人生の扉を叩いて回りました。
    20歳が立花隆の特別講義を頭をひねって聞きました。
    20歳がいろんなことを思いわずらいました。
    20歳の、20歳による、20歳のための一冊。
    そこの20歳のあなた。手を取ってみてはいかが?(W)

  • 素敵な本!!!リリー・フランキーさん、原研哉さん、内田樹さんはじめ16人のインタビュー、立花隆さん、立花ゼミ生のメッセージと内容は盛り沢山。人によって言うことはバラバラ、内容も一貫性がないけど、その感じが逆によくて「二十歳の君へ」というタイトルがぴったりな良書!

    大学に入って、遊ぶ時間も、読書する時間もある。ずっと恋焦がれてた時間。。。その中でふっと昔の自分、卓球に打ち込んでいた自分がなつかしくなる。何かしなきゃと焦る。。でもこれといった答えが見つからない。きっとみんなそうなんだって思って自分を落ち着かせたり、それでも頑張ってる人みて焦ったり。。その繰り返し。
    揺れ動く感情をそのままこの本にぶつけたら「答え」が見つかった気がする。昔の自分は好きなことに打ち込んで、息が出来なくなるまで頑張りすぎていたけど、大学生の今なら、深呼吸しながら、たまに空を見上げながら、好きなことに打ち込めると思った。
    他人になんて言われたっていいじゃない。「この問題を私以上に考えた人はいないんだから。」
    大学生になっていろんな人に出会って、いろんな価値観に出会った。そのいろんな価値観を知った上で、考えて、それでも残るものが私の価値観。そのことにおいて多少ブレたかもしれないけど、基本的にはブレない自分の軸は持ってるつもり。他人の価値観を許容しつつ、自分の信じる軸はしっかり持ち続けようと思う。常に「対自分」でありたいな。

    以前に読んだ感想が上記してあって、今日は今日読んだ感想を。
    立花さんの講義の部分だけ、ざっと読んで気付いたことを羅列します。

    ・日本のGDPの1割以上は社会のダークサイドとの交易関係の中で生み出されている。(本文抜粋)

    ・大学生時代は、自分が将来いい仕事に食らいついていくために現場探しの時間くらに心得て、自分の能力のブラッシュアップをもっぱら心がけるべきです。自分の脳の中をよく耕して、肥料をたっぷり鋤り込み、ブレインパワーの基準を養っておくことです。(本文抜粋)

    ・京都の「大文字焼き」はお盆の迎え火(8月13日)と送り火(8月16日)の行かんだったのだと初めて知った。(感想)

    ・日本語大シリーラス

    ・アルバート・アインシュタインのあの舌を出した有名な写真は、72歳の誕生日に記者から「笑って下さい」と言われ、照れ隠しにした表情だとか。(本文抜粋)

    「I/O比」I=input,O=output
    I/O比は少なくとも100以上ないといけません。つまり少なくとも100冊以上本を読んだ人でないと、平凡な内容の本でも一冊書ける域には達していない。さらに、平凡でないある程度以上の水準のものを出そうと思ったら、I/O比が1000くらいまでないと駄目。(抜粋)

    ・紙書籍よ、さらば?のところで、もし「手触りが好きだから」電子書籍に反対だと言う人がいたら、技術はどんどn進化するから、電子書籍でありながら紙の手触りを感じさせてくれるものが出る可能性だってある。

  •  この本からは「もっと勉強せよ」、「頭を使うのは楽しい」という2つのメッセージを頂いた。有り難い。友達がこの本の作成に携わっていて、「本買ってね!」と彼から言われていたのに、彼が本を忘れて置いていってくれたため、返す前に読んでしまった。ごめんね、キ○ン(笑)


    ■内田樹さん
    今まで何冊か読んだが、今回のインタビューを見ても何か「内田樹さんらしさ」を強く感じた。別に特別なことをする必要は無い。たぶん自分や自分の世代の人たちの多くは「特別でないこと」もろくにできない人間ばかりなのかもしれないけれど(笑)毎日起こる出来事に対して真摯に生き、ひたむきに勉強していくしか道はない。乗り越えてきた困難の数だけ知識が頭に入り、技術が体に内面化する。でも別に「困難」をわざわざ探す必要も無くて。生きていれば、勝手に苦労せざるを得ない状況にぶつかるから。「困難を探すこと」も最初の「特別なこと」に入る。この方の本を読むといかに「ちゃんと生きること」がとても難しいかが分かるような気がする。

    ■村山斉さん
    ①人生なんとかなる
    ②人から見た自分と、自分が思う自分のギャップ
    ③楽しいことをやる


    ■池上高志さん
    語り方がとても面白い人。人の言葉を耳に入れるとき、相当強いフィルターを通して聞いている感じ。様々な事物にこだわり、というか彼なりの認識があるように感じた。自分の外に存在する事物を説明する時、ストーリーテリングという手法を用いて「それ」を説明するという。しかし、その手法を用いるとストーリーに登場しないキャラクターはそぎ落とされてしまう。よって、その事物自体を作り出そうと彼はしている。また事物(現象)を作る時にその事物(事象)とその事物に対して各人に内在するアフォーダンス(ステレオタイプ?)を破壊し、脳みそを刺激することによって新しい発想が生まれるという。「モノ」の対するステレオタイプを捨て、少し頭をひねる事によって新しい発想が生まれるという意味では、その通りだと思った。また彼の言う勉強による「認識論的な革命」という言葉に強い共感を覚えた。勉強したい、と思った。

    [メモ]
    荒川修作


    ■宮台真司さん
    今回のインタビューの内容は①1つのものに依存しない生き方②非日常の中に日常がある感覚、の2つについて「なぜ」そう考えるようになったのか、現代においてなぜ①の生き方をする人が増えてきたのか、またこの2つに関する周辺事実に関して書いてあったと思う。強い共感を覚えた箇所がいくつかあったが、それは自分が彼に感染しているからであり、彼に共感するのは別に特別でなく、多くの人が共感するもんなんだろうな。彼が書いた文章を読むたびに自分の無知さを思い知る。以前読んだ本にも①や②のような内容の話は出てきた。前は①は理解できた(気がする)
    が②は理解できなかった。でも今は②についても少し理解できた気がする。

    [メモ]
    『邪宗門』
    ヘブンズストーリー
    エリック・ハヴロック『プラトン序説』


    [その他印象に残ったフレーズ]
    リリー・フランキー「いつでもルーキーでいたい」
    糸井重里「人間関係の中で頭を使う」


    ■立花隆さん
    「君たちはまだ何も知らない。だからこそ、迷わず勉強して突き進みなさい」そのようなメッセージをこの本からは受け取った。とても多様な情報の「端っこ」をたくさん見せてくれた感覚があった。情報量がとても多く、6割も内面化できたか分からない。彼が本文中に「20代のころは情報をインプットする効率が悪かった」と言っていた。今の彼の知識量は20代のころのその「非効率」なインプットがあってこそのものなのかもしれないと思った。様々な色の入ったキャンディーのような本であった。一つ一つのキャンディーの味はまだ分からない。その中からおいしそうなものだけどをとりあえず何個か持って帰って、じっくり舐めたいと思う。

    [メモ]
    腎臓
    樺美智子
    イソップ物語『すっぱい葡萄』
    エリザベス・キュブラー・ロス『死ぬ瞬間』
    サタデーナイトパルシー
    トランスポーター
    ⇒前に見たことある気がする
    コペンハーゲン学派
    ラッセルアインシュタイン宣言
    糸川英夫
    大江健三郎
    フリーマン・ダイソン『多様化世界』
    フリーマン・ダイソン『宇宙をかき乱すべきか』
    進化:大小複雑
    デカルト『方法序説』
    人文地理と地政学
    "Why We Fight-The Nazis Strike-"
    ハンガリー動乱
    プラハの春


    [印象に残ったフレーズ]

    「どの位置で生きるかが大事」
    「曲座標からデカルト座標へ」
    「手、指先に脳みその大部分が割かれている」
    「人はユニークな存在であると同時に、ユニヴァーサルな存在」

    ■ゼミ生
    最後のゼミ生の文章では田熊さんと栗原さんの文章がとても印象に残った。というか、自分の考えととても近いものを感じた。とても素敵な文章を、本を、ありがとうございました。

  • ひとまずざざっと読んで、あ、読み返そう。と思えた一冊。厳密には20歳ではない私にも、「ああ、そうか」と思える点が多かったように思う。とはいえ20代で、かつ大学生であったからこそ感じ入る部分があったのだろう。20歳と言わず、高校生から読みたかった。まさに若者に送られるための一冊だろう。

  • 近所のTSUTAYAでたまたま発見。ちょうど二十歳前後の時「二十歳の頃」を読んで、深く感銘を受けたのを思い出して懐かしさから購入。立花さんの講義ももちろん、印象深いんだけど、やはり一章のインタビューが秀逸。もちろん方針が違うから単純に比べられないけど、個人的には二十歳の頃みたいに、インタビューのボリュームが多い方が面白い。あと、本作は著名人ばかりが対象だけど、二十歳の頃はもっと市井の方のインタビューが多く、読み進めて行く上で新鮮だったなぁ。

  • 後輩が編集に携わっている。非常に誇らしいのです。
    前半のインタビューが秀逸。
    1990年生まれのわたし(たち)に対する、挑戦と祝祭。

  • 2011.2.12
    友達が関わっていたので、読んでみました。
    予想外に良かった。
    「○○才だから、ここまで到達しなきゃいけない」っていうのが、最近の自分の思考を制限してたけど、この本を読んでふっきれたかな。
    印象に残った部分

    ・経験をこっそり積もうとする奴は伸びない。飛び込め。(平野啓一郎)
    ・アフォーダンスをねじることで人間死ななくなる(池上高志)
    ・オモテウラ構造のどこに自分が入っていくか(立花隆)

    読みたい本もどばって増えたなぁ。
    ・ソシュールの思想 丸山圭三郎
    ・邪宗門
    ・プラトン序説
    ・死霊
    ・僕らの頭脳の鍛え方

  • 二十歳だから買ってみた。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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