三匹のおっさん ふたたび

著者 :
  • 文藝春秋
3.97
  • (694)
  • (1220)
  • (636)
  • (56)
  • (11)
本棚登録 : 7001
感想 : 917
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163812601

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三匹のおっさんはもちろん、ゆうきとさなえの恋の行方にも注目♡あー、あるあるっていうことが題材になってるから共感しやすいし、読みやすいのかなぁ(○´∀`○)このシリーズはまだまだ続きが読みたい!!「みたび」でないかな(・∀・)

  •  待ってました!三匹の続編!児童書としても行ける、なのにこれが面白い。小説嫌いでも、冒頭の漫画部分の導入なんかがうまく効いてて。導入部分の漫画は「前回のあらすじ」といったところなのですが、大ゴマ使ってるのがノリの「エレクトリカルパレード」(違法改造スダンガン両手炸裂)でちょっとニヤニヤ。そしてキヨ孫の祐希が可愛い…。じーちゃんとお揃い。早苗の「絶対壮絶に拗ねるから」とか、有川浩らしい言葉遣いが入ってるのも素敵素敵。さて、本編!

     第一話はキヨ息子の嫁(祐希)の母、パートに出る。前巻でお高い空気清浄機を買って、金銭感覚に徹底的な狂いを見せてくれたお嬢様育ちの貴子さん。もしかして、バイトして自分でお金を稼いでいる祐希にすら認めてもらえていない?なんて不安から、自分でお金を稼いでみることにチャレンジ。パート先では苛めに遭うし、すり寄って来たと思ったらありえない人に関わっちゃうし、手際が悪くて怒られるし、なのに稼ぎは微々たるもので、もう散々。でも辞めない。意地か、それともプライドか。小さな稼ぎの中から買って帰ったケーキが、家族に喜んでもらえて、思わず読んでる方が泣きそうになっちゃったり。やっぱりいい子だよ祐希。家族が居るっていいな。

     第二話は三匹が、本屋の悪質な万引き犯に喝!シゲ&キヨのかっこいい強さも見どころだけれど、ノリの頭脳派作戦もなかなか。昔は、悪いことをしたら怒ってくれる大人が居た、でも今は…?世の中どうなっているんだろうね、なんて言うのは簡単だけれど。三匹は、言うだけじゃ終わらない。捕まった万引き犯がふてくさりながらバイトして、稼いだお金を全部本屋さんで遣ってくれたことに、きっとあの子たちはもう、万引きなんかしないなって、じーんって来る。

     第三話はノリの再婚話が持ち上がって、早苗がブルーに。ノリ→早苗だけじゃなく、早苗もやっぱりノリが大事。思い合うからこそ、言いだせなかった二人。でも祐希が居るからねっ。「もう子どもじゃないけど大人でもない」…そう!子どもじゃなくて大人じゃない、そんな時期があるんだよ。もう的確すぎて唖然なくらいに。いつか早苗が大人になったら、きっと二人はそれぞれに、受け入れながら新しい生活が始められる、そんな期待もこもったお話。

     第四話はゴミの不法投棄事件。始めはキヨの勤めるゲームセンターで始まって、それは三匹の力で解決するけれど。不法投棄は、そこだけじゃない。至るところで、どんな年代の人によっても起こってる。「最近の若い者は…」ではなく「最近の年よりは…」なんて、情けない話だけれど、事実なんだよね。大人は歳を重ねるだけでは信頼に足るものにはならない、そんな話。ぐったり来るけれど、そういう人だけじゃないよ、って三匹を見てたら思う、かな。

     第五話は商店街のお祭り復活に向けて!近所の付き合いが希薄になっている現代。商店街だって、きっと日本中至るところでそんな地域のお店としての役割を降ろされてる。でも、復活したい、やるなら参加したい、そんな人だって居るんだよ!強制できない今こそ、気持ちが大事になってくる「お付き合い」。ちょっとドキッとする話。

     第六話は、偽三匹のおっさん表れる!でもこの偽三匹はちょっと違って。名声だとか、権力のはき違えだとか。「まったく最近の…」がまたまた。暗くなるようだけれど、それだけじゃないよ。本物の三匹を見るといい!ってね。

     どれも現代社会の抱える風刺が利いた物語。自分自身にも、ちょっと思い当たることありませんか?って聞かれているような。
     でもでも。三匹は負けないし、良き時代と現代に柔軟に対応するの精神を持ってる。そして子どもや孫たちに伝え、生かしていこうとしている。負けないよね、って元気をもらえる一冊。

  • さすが有川さん。
    みんな魅力的で、ぐいぐい引き込まれ、あっという間に読み終わりました。
    こんな魅力的な3匹が近所に住んでいてくれたらなーとちょっと遠い目になりました。
    高校生カップルもよかったです。

    • kuroayameさん
      この本、読んでみたくて図書館でさがしていたのですが、なかなか手に入らずで・・・。
      レビューを拝見させていただき、絶対読むぞと力が入りました♪...
      この本、読んでみたくて図書館でさがしていたのですが、なかなか手に入らずで・・・。
      レビューを拝見させていただき、絶対読むぞと力が入りました♪。
      ぐいぐい引き込まれるお話、あぁ、早くよんでみたいなーっ!!。
      いつも素敵なレビューを拝見させていただきありがとうございます★。
      2012/12/27
  • 前作からの安定した面白さは引き続き、
    今回は三匹以外の人々が己の力で問題を打開していく場面、あるいは逆に三匹の力だけではどうしようもない局面もあって……
    地域、家族、友人etc.
    人との繋がりって大事だなぁと思わずにはいられない。
    ジーサン(清一)もかっこいいけど、祐希も筋が通っててカッコイイ。高校生の男子にしちゃオトコマエすぎるきらいもあるけれど、同級生にあんな子がいたらきっと好きになっちゃうなぁ。

    最後の短編は、まさかまさかのあの物語のスピンオフ。(早く文庫化されないかなぁ……)
    思い出してキュンキュンしちゃったよぅ。
    しかしどうしてこの巻に収録されたんだろう?

    • まろんさん
      わあ、いいなあ!
      永遠ニ馨ルさんはもう読めたんですね♪
      私は何か月も前に図書館に予約したのですが、いまだに届かず(>_<)
      3匹のおっさんた...
      わあ、いいなあ!
      永遠ニ馨ルさんはもう読めたんですね♪
      私は何か月も前に図書館に予約したのですが、いまだに届かず(>_<)
      3匹のおっさんたちの新たな活躍を、早く見たくてしょうがありません。

      まさかまさかのあの物語のスピンオフって、なんだろう?
      私、気になります♪
      2012/12/12
    • 永遠ニ馨ルさん
      えへへ、お先に失礼して読ませていただきました♪
      私も予約していたのですが、予約待ちが少なかったんでしょうね。
      待った時間の分だけ、楽しみは増...
      えへへ、お先に失礼して読ませていただきました♪
      私も予約していたのですが、予約待ちが少なかったんでしょうね。
      待った時間の分だけ、楽しみは増えます!
      3匹のおっさんの活躍も然りですが、
      今回は周囲の人たちの活躍もなかなかに読み応えがありますよΣd(´▽`*)

      あの物語はまろんさんもたしかお好きな物語のはず。
      ぜひぜひ、楽しみにしていてくださいね!
      2012/12/15
  • 3匹のおっさん、続編です。
    脇役にフォーカスされて深堀してくのがやっぱりシリーズものの醍醐味。
    面白かった!
    さらなる続編に期待です☆

  • 「三匹のおっさん」は、還暦の「おっさん」の家族の物語から始まる短編5話だった。
    「三匹のおっさん ふたたび」はその続編。

    「三匹のおっさん ふたたび」は、三世代を描写する短編6話と、植物物語の外伝のような短編を付録。

    最初の1話は、二世代目を描写。「三匹のおっさん」では、二世代目の描写が手薄だったと著者も感じていたようだ。

    万引き,放火,受験,祭りなどの街での話題が満載。
    日常生活の中の事件を扱っている街角小説。

    話題をうまく続ければ,長期継続できるかもしれない。

  • あとで書く

  • いつも掃除している風呂場でも、気がつくとじわっとカビが生えていることがある。漂白剤をかけてもとれないようなしぶといカビ。どうしようもなくついていく汚れもある。
    人間の社会にも同じようなことが言える。いつのまにか発生してしまった汚れ、とれないカビのような、じんわりと嫌な気持ちにさせられる事象。
    本作ではそういう出来事がよりクローズアップされているような気がした。
    続編となるとどうしてもそういう展開になってしまうのは仕方のない事なのだが、読んでいておっさんたちの活躍に爽快感を覚えるというよりも、その元になった事象が決して絵空事ではないことにげんなりしてしまった。

    第1話で貴子のパートの様子が描かれる。貴子さん、けっこう頑張ってんな、と思いながら読んでいると、案の定人間関係のこじれが出てくる。いじめ、まではいかないけれども、どうしようもなく居づらい思いをしているときに近づいてくる人にはつい心を許してしまうけれど、小銭の貸し借りをし始めたあたりで嫌な予感がした。そして思ったとおりの展開。貴子さんは一つ成長したけれど、そうなんだこういうことってよくあるんだよなあ、とちょっと気持ちが折れる。
    第2話はもっと心が重くなる話。書店の万引きの話なのだが、これは本当に救いがない。小説の方はラストでちらっと救いが描かれているが、現実には「お金さえ払えばいいんでしょ」と言い放つ人間の方が多いのではないか。新古書店への盗品売りさばきも、どうしたらいいのか暗澹たる気持ちになる問題である。「書籍」というものに対する考え方が変わってきている時代であるが、私はこれからも書籍を買い続けていこうと思っている。データで読めるようなものは電子書籍でもいいが、やはり小説は紙媒体がいいと思うのだ。
    第3話は可愛らしい再婚騒動。これだけがかろうじて恋愛絡みの話である。
    第4話のゴミ騒動もげんなりするような話である。たまたま私も自分のブログで「近頃は年寄りだからといって一概に人間ができているわけではない」というようなことを書いたが、今の時点で「年寄り」と呼ばれる年代は、戦後の価値観が崩壊した時代に育ってきているから、もともとモラルが低いのではないかと密かに思っている。戦争ですべての価値観が壊れてしまったのだ。体制に反抗する青春を送ってきた世代が、体制に順応したしつけをしたとは到底思えない。つまり、今の子どもの問題はその親の問題であり、その親を育てたのが「年寄り」の世代なのだから、非常識な年寄りが増えたのも無理からぬことなのである。
    第5話の地元の祭問題にしてもそうだ。「信仰の自由」を振りかざすくせに、ちゃっかり縁日には顔を出す町内会長のような人間が社会の中枢を占めるようになってきているのだ。
    第6話の偽三匹も、ある意味しょうがない人たちの話である。というか、たぶんこの偽三匹の方が普通かもしれない。本物の三匹のおっさんのほうが現実離れしているのだ。

    ボーナストラックの作品は、「植物図鑑」とのクロスオーバー作品だそうだ。道理でやたら植物が出てくるわけだが、読んでいるとだんだん登場人物の年齢がわからなくなってくる。出てくる女子たちの行動があまりに生臭くて大人っぽいからである。小学6年生であんなに恋愛に敏感になるのだろうか。それとも今時の小学生は早熟なのか。
    「触れてはいけない男の子」という設定がよくわからなかった。アイドル的存在ということなのだろうか。それにしては男子と女子の精神年齢の落差が激しい。担任の教師もまるでガキだし。

    有川さんの作品はどれも好きなのだが、恋愛物はちょっと苦手である。もしかして作者は女嫌いなのか?と思うほど女性に対する視線が冷たいし、そのくせ恋愛の主人公たちはめちゃくちゃツンデレである。意地っ張りで、天然で、鈍感で、自意識過剰の「乙女」なのだ。そういうのが王道なのかもしれないが、読んでいて若干イライラしてしまう。
    そういう意味ではこの「おっさん」シリーズはあんまり恋愛色が強くなくて読みやすい。
    今年は夏と秋に2冊刊行予定のようで、大変楽しみである。

  • とりあえずシリーズ2作読了して、久しぶりにアプリを利用しての感想(苦笑)
    こういうの好きだなぁ。大袈裟にいうと、人間って捨てたもんじゃないよね〜っていうか。
    流れとして、もちろん「悪意」も描いてあるけども、
    人としての、優しさというか深みというか…
    自分が歳とったからかなぁとか、若いモンも大人も大切な事は変わらないよな〜とか(苦笑)
    ちょっと言いたい事が支離滅裂かもしれんけど、疲れてた自分に、ホッと安心した気持ちをくれました。

    個人的には、貴子さんが頑張った話が良かったかなぁ。前作では印象悪いだけだったんで(笑)

  • 花の名前を覚えたいなと思った。

全917件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

有川浩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×