- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163813202
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
榊信一は己の中に渦巻く欲望に慄いていた。女を抱く時、なぜこんなにも首を絞めたくなってしまうのだろう?かつての恋人にもその片鱗を見せて別れてしまった経験もあり、以降必死にその欲望をこらえてきた榊だったが、自分がスキルス胃癌で余命いくばくも無いとを知ったことを機に、欲望を解放して快感を得ることを厭わなくなってしまう。
余命少ない連続殺人犯vs同じく余命少ない刑事の話。人間、最期まで、そんなになってまでその欲を求めるのかと思うとちょっと恐いというか、複雑な気分。榊にはある期間の記憶がなく、かつての恋人・山口澄乃との過去に何かあったことが最初から匂わされているのだが、真相はまぁ、想定の範囲内かな。それがどうやったら首を絞めるという行動に繋がるのかはいまいちピンとこなかったのだけれど。山口澄乃の偶然の事故のタイミングはあまりにも都合良すぎたね。しかし、「出会わなければよかった」という言葉より、「子供と一緒に待っている」という言葉の方が残酷に感じるとは・・・なんという皮肉。 -
冒頭から話に引き込まれていった。
読み終えてからも、結局誰が悪いのか。なにかもどかしさのようなせつなさのようなものが残った。
死を宣告されたら、人はどのように残りを過ごすのだろう -
余命わずかなら、私なら意識して平和な日常を過ごすけど
-
ある連続殺人鬼とそれを追う刑事の物語。倒叙ミステリなので見せ場は謎解きではなく刑事が犯人に迫る過程や登場人物達の心理描写になるわけですが、そのあたりが少し軽くて「骨太」と呼べるレベルには達していないのが残念。エンタテインメントとしてはじゅうぶんなのでTVドラマ化にはよろしいかと。
-
薬丸作品は重く、胃にズシッとくる感じがします。
死期が迫っていれば何でもしてもいいのかとか考えてしまいますが、ストーリーとしては破綻はしていませんし若干パターンが変わっています。
最後まで我が使命を全うする刑事の戦いでもあります。 -
薬丸岳さんの作品は、やはり気になって読んでしまいます。
悲しい話でした。 -
2012 7/4
-
末期癌に犯され、自分の思いのまま殺人を犯し続ける青年と、同じく、癌で余命わずかな刑事。
相反する思いの中で、それそれの残りの人生を全うしようとする。 -
余命わずかと診断された二人の男。一人はかねてからの欲望を満たすために罪を犯し、もう一人はそれを追う。それぞれ自分の行動が、自分に課せられた「使命」だと信じて。
彼ら二人の行動は、どちらを読んでも息苦しくってしかたありませんでした。もう少し残された時間を穏やかに過ごしてもいいのではないかと。彼らを見守る人たちの苦悩も辛くて。だけどぐいぐいとのめりこんで読まされるのも確かです。
そして訪れる彼らと物語の終焉。人生の終焉を幸せなものに出来るかどうかは心がけ次第なのかもしれません。