- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163814506
感想・レビュー・書評
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第2回島田荘司推理小説賞受賞作。
香港警察の許巡査部長は、ある朝目覚めると6年分の記憶を失っていた。ちょうどそこへ、彼が昨日まで捜査していたはずの殺人事件の取材で雑誌記者が現れる。許は事件の真相と自分の記憶を明らかにするため、彼女とともに捜査することに…
序盤の不思議と最後に明らかになる驚きの真相が島田荘司っぽいテイストの作品。
面白くて読みやすかったのはいいが、読みやすすぎというか内容のわりに軽い感じ。
しかし、昔から中国語の名前が苦手で覚えられず挫折することが多かったのだが、その困難を吹っ飛ばすくらいには面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
車の中で目を覚ましたHKPFの許巡査部長は6年分の記憶を失っていた。
許は昨日まで捜査をしていたはずの凄惨な事件の真相と己の過去を、ゴシップ新聞記者の阿沁と探し始める。
うあー。ものすごく評価が難しい…。
ミステリとしてだけだったら、ネタもきちんと練られているし、最後のもうひと捻りも効いているし、何よりそこに到るまでの伏線もきちんと張られているしで悪くない。
寧ろ、過去からタイムスリップしてきたかのような男がどうやって現在の自分を取り戻すのか面白かったし、そのオチもなるほどね、と思うものだった。
やや安直に思える流れも、15万字以内という制限の中ではよくやった方だろう。
ただ、ただ訳文が…。
第一屆の受賞作「虚擬街頭漂流記」のときにも感じたのだけど、この訳者の文体が柔らかすぎて、この作品には合わないんだよね。
前作のような作品にはふわふわしたイリュージョンのような効果があったんだけど、この作品は逆に軽く上滑りしているような印象を与えてしまっている。
ハードボイルドなんだからもっと乾いた筆致で読みたかった。
すごく勿体無く思ってしまったよ。
で、こっからは広東語話者の愚痴。読み飛ばしていいよ。
作中に出てくる広東語読みのルビがメタくそで話にならないレベル。
単純な間違いもあるけど、同じ漢字なのにページや使われている単語によって違うルビが振られているのはお話にならない。
編集とか校正って何やってたの?
人名の姓だけ北京語のルビが振ってある人物もいて、何かの伏線?とか思いながら読んだのに、何にもなくってがっかりとか。
訳者は台湾を舞台に活動している方らしいのだけど、だったら広東語話者にチェックしてもらうぐらいの労をとればいいと思うの。
ってか、そもそも作者の名前『陳浩基』に「サイモン・チェン」とルビが振ってある時点で覚悟はしてたんだけど、酷すぎるわ。 -
原文がそうなのか訳のせいなのかわからないが、筆致が非常にライトで少し拍子抜けした。読みやすいのは読みやすいのだが、翻訳作品でこういう筆致はお目にかからないので、何となく変な居心地がした。
作中の時間経過が短くさくさく進む。プロットも練られてあり、サプライズもそこそこ効いている。本格であるが科学的な要素もアリで、捻りも巧い印象を受けた。深読みできるテーマではあるのだが、どうしても新人特有の荒削りな部分が目立って、そこまで作中に入り込めないのが残念だったかな。
いい着眼点を持っているので何作かリピートしたいところだが、登場人物の名前がまともに読めないことにはどうしようもない。漢字表記のアジア作品は厄介だなあ。 -
■時間って記憶の関数なんだな。って思った。時間のズレが錯覚を引き起こして読んでるこちらにトリックを仕掛けているような作品。
■後半になってやっとペースが出てきたと思ったら大どんでん返しの結末。やっぱり香港を舞台にした作品って、登場人物のキャラクターが(自分の頭の中に)なかなか作れないのでちょっと苦手かも。 -
島田荘司推理小説賞受賞だけあって島田荘司っぽいテイストが味わえます。訳も読みやすくていいですね。舞台が香港で登場人物の名前が漢字だからか人物がごっちゃになってややこしい話が更にややこしくなってしまった。
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2003年に生活していたはずなのに突然2009年の世界に迷い込み、2003年当時の事件を再調査するという話。設定は面白かったが、話がわかりずらく、2009年に迷い込んだ真相、事件の真相ともにちょっと理解しにくい感じだった。
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映画『ザ・ウォード/監禁病棟』に似てると思った。完成度は『ザ・ウォード...』の方が格段上だなぁ。ラストの人物は、よぅ分からんかった。
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目覚めた車の中で頭痛に悩まされながらも、警察署に向かう刑事、許友一。しかし、近づくにつれ見慣れた景色が違っていた。二〇〇九年と記すカレンダー。自分が昨日までいたのは二〇〇三年だったはず。何が起こっているのか。そして鮮明に残る二人重なるようにして残虐に殺された、あの事件はどうなったのか。自分の記憶が欠落した原因は。事件の結末は...。記者の阿沁とともに許は、当時の自分の記憶を頼りにすでに終結した事件を独自に捜査していくのだが、犯人と特定した者が実は違うのでは、と刑事の直感がいうのだった。__海外の作家であまり知らなかったが、いくつかの賞で候補に残ったりしている作家で、第二回島田荘司小説賞受賞作。展開に少しご都合主義な感じが否めない。所々のヒントにやっぱりか、という言葉と吐露してしまった。でも、後半の展開は個人的には好き。