のろのろ歩け

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 323
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163816302

感想・レビュー・書評

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  • 北京、上海、香港が舞台の3つの短編集。

    1990年代に中国でファッション雑誌を創刊することになった夏美。
    上海に来てすぐに、急な仕事が入った夫から、夫婦で住むためのアパートメントを見てくるよう言われた、駐在員の妻亜矢子。
    亡くなった母のゆかりの地香港に、3人のおじさんを訪ねた美雨。

    私には縁遠かった中国が舞台の話。
    どれも、舞台の情景が目に浮かぶような興味深い話でした。

    サブタイトルの漫漫走は素敵な言葉。
    離婚理由になる「感情破裂 婚姻法32条」には苦笑い。

    ずーっと昔、台湾に旅行した時に見たコアラのマーチが楽天小熊餅乾だったのを思い出しました(笑)

  • 北京、上海、そして台湾を舞台に、3人の女性の物語が語られる。最後に北京に行った時、やはりちょうど古い街がどんどん新しくなっていくのを見たので、懐かしい気がした。もう10年以上も前だから、もはや全然昔の街並みなどなくなっているかも知れないなと思う。上海は、なぜか機会がなく行ったことがないので、描かれている古さと新しさが共存するような街の様子に、いつか訪れてみたいなとまた思った。台湾は何度も訪れていて、風景の描写が意外に少なかったのがちょっぴり残念な気もするが、登場する台湾のおじさんたち(老人たち)の雰囲気は、そんな人たちが確かにいそうな気がした。

  • 2016.01.31

  • 1999年の北京、2012年の上海と台北が舞台の3篇。変化が目まぐるしいのに、「漫漫走=のろのろ歩け」ってしれっと言えてしまう国なのね。ノスタルジー?の一言では表し難い。やっぱり悠久の歴史を持つ隣国は面白い。中島さんの書く女性像はこの国にぴったりだな、と思いました。
    台湾の田舎に行きたい!

  • 北京、上海、台湾それぞれの街の3人の女性のお話。その街だからこその空気感に惹きつけられた。その中でも上海に惹かれたかなぁ。

  • 確かに旅行に行きたくなるし、ベトベトしてないのがいい!
    働く女のキリキリ感も良かった!

  • 台湾、北京、上海での女性の物語3編が収録。「北京の春の白い服」がいちばん印象的でよかった。服務員のくれた「赤いカーディガン」そして彼女の何気ない、けれど主人公の心を突くようなメッセージ。みんながせわしなく動いているなかでの「マンマンゾウ」のろのろ歩け。あー、私もがんばろうって思った。

  • 中国と女性というテーマはとても興味深いし、人物描写もとても良かったんだけど、どの話も恋愛の部分はいらないんだけどな。

  • 女性が主人公の短編が3つ。それぞれ1999年の北京、2012年の上海、2012年の台北が舞台。それぞれの主人公が旅の途中で知り合う人たちとのコミュニケーションが面白い。街の描写がうまく、騒音や匂いまで想像できる。

  • 急速に成長していく中国。短編。

    ファッション雑誌を中国へ浸透させるべくむかった北京での夏美の奮闘。

    春でもまだまだ寒い日が続く北京で古くから言い伝えられている言葉、「冬の服を着て春に備える」という常識を覆そうとしている自分と、10年前の北京の姿にとらわれる恋人との葛藤。

    夫の上海赴任について行った亜矢子を現地で案内してくれたウー・イーミンとの交流、まだ懐かしき時代の残る上海の面影、仕事で多忙な夫。イーミンの本当の正体。

    亡くなった母が生前やりとりをしていたおじさんたちに会うために一人で行った台湾で出会った温かな人たち。
    銀行員兼小説家のおじさん1、仙人術師で中国語の先生のおじさん2、母が離婚を決意する前に泊まったおじさん3は、戦争時代に日本語を覚えさせられたという皮肉な時代と国を経験した人だった。


    時間の向こうの一週間と天燈幸福が面白かった。
    イーミンの正体がわかったときは予想外の展開に興奮したし、おじさん1の運転が荒くて、めんぎゃっ!(危なくない的な意味)を連呼したり、電車で知り合ったトニーのキャラも好感が持てた。

    時代とともに町は変わっていくんだね。
    中国の目覚ましい急成長ぶりは海外人ですら追いつけない。異国の話はおもしろいね)^o^(

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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