月下上海

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163823508

感想・レビュー・書評

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  • 図書館より。
    主人公、すげーイイ女!(賛辞)
    舞台もイイ。出てくるオトコも魅力的。
    何よりも主人公が美人で賢くて強か。そして挫けない。何だかんだで情に厚いところもイイ!!
    久しぶりに、印象に残る作品を読んだ気がする。

  • スキャンダルを逆手にとって有名になった財閥の令嬢、八島多江子
    その多江子が転機を求めて、上海で過ごした昭和17年から終戦までを描く波乱の物語
    その巧みな文章力でぐいぐいと核心へ引き込まれる
    ほとんど新人のような作者でありながら、その文章力は最近の新人を優に凌ぐ

    終始まとわりつく憲兵大尉・槇のいやらしさ
    多江子が思いを寄せる民族資本家・夏方震は実に魅力的
    一服の清涼剤的存在
    折に触れてのファッション・ショウも女性には見逃せないところ

    終戦と同時に起きる混乱は実際にはこんなものじゃなかったろう
    察するに余りある
    第20回松本清張賞にふさわしい出来栄えです

    それにしても女はたくましいなぁ

  • 面白かった!とはいえ後味は小説ではなく、少女マンガを読んだような気分です。
    男性は苦手そうな作品ですし、女子も少女マンガが苦手だと受け入れられないかもしれません。
    とにかく、娯楽小説とも、もちろん恋愛小説とも言えない、「王道の少女マンガ」としかいいようのない作品でした☆

    舞台は第二次世界大戦真っ只中の上海。
    租界地に張り巡らされた西欧文化を背景に繰り広げられる恋愛物語です。。
    賢くて、タフで美人なアラフォー財閥令嬢が主人公で、そんな彼女を取り巻く男性陣はタイプの違うイケメン揃い。如何にも、でしょう~
    少女マンガだったら槇は黒髪、瑠偉は金髪、夏は緑髪、新吾は白髪が似合うかなあ~、なんてことを想像する楽しさがありました(笑)
    また、主人公の多江子がおしゃれでね、今日はどんなファッションで登場かしら、とわくわくします。そのあたりの描写は秀逸!でしたよ。

    私にとっては、くだらない、と流せない楽しい小説でした☆

  • 女が女を描くと
    こんな風に描かれるんだなあ
    と 思わせてもらうところが随所に…

    同じく
    女が男を描くと
    こんな風になるのだ
    も また楽しんで

    時代(戦時下)、場所(上海)はあくまでも
    背景で 「女」と「男」を描いた作品ですね

    最後まで しっかり読ませてもらいました

  • 太平洋戦争末期の上海が舞台の本作。
    普段読み慣れている山口さんの作品とは一風違う過激な描写もあったが楽しんで読めた。

  • 上海旅行から帰ったばかりなので、地理的なことがすんなりと頭に入ってきた。物語に登場する場所には偶然だが足を運んでいた。まさにタイムリー!

    愛と戦争に翻弄された女性の半生が生き生きと描かれている。ちょっとメロドラマ風で、2時間ドラマを観るようだった。活字を追うよりも実写で眺めていたい物語。

    上海における戦後の混乱について書かれた話は少なく、この時点の歴史的意味合いを調べてみたいと思った。

  • 確かなんかの賞をとって話題になってたなあ、と思い手にとる。
    正直、麗人上海に来る、な最初のへんは少々退屈で、
    外れたかなーっと思っていたのだが、多江子の幼少期からの話が始まってからは、そのまま一気に読めた。
    おもしろかった。

    いわゆるひとめぼれ、とゆーやつだったのだろう。
    多江子の方は。
    互いに、ではなかった点が不幸でした。
    眉目秀麗、質実剛健(?)な彼女の唯一のウイークポイント、といったところか。父さまのいうとおり、
    どうしようもないですなあ。
    結果の一種の自殺未遂。が、そっからの立ち直りっぷりが(実際は立ち直れてないんだが)すごかった。
    いやあ、菊池さんナイスアドバイス。
    史実をどのくらい入れ込んでるのか分からないんだが、
    あのあたりの文学者たちはなんかおもしろい人たちが多いような気がする。

    まさか、スパイする相手を本気で愛するような展開がまっているとは思わなかったが、そっからがまた結構怒涛の展開。
    最後まで読んでみると、関わった男たちとそれぞれ
    それなりの決着をつけているところがおもしろいなっと。外山さんとか、ちょっと助けた青年とかまで。
    傷つけ、憎しみあったりもしたわりに、その全てを飲み込んで多江子はこれからも生きていく。

    槙は登場時点からすると、まさかの悪役への転換ぶりで、なんか口調も嫌味だし、そもそも女性を手に入れる、という手立てが強姦という時点でもう最低クラスなんだが、最後なんかそれなりにイイ感じで終わらせてもらえてて、よかったですねーと思う。

    慎吾くんのエピソードはちょっときゅんときました。
    悩める優しき青年だー。
    そのエピソードのあとにそっくり青年だしてくるところはうまいなーっと。

    結構感情とかのいろんな振り幅が大きい作品だったので、寝る前の一冊にはおススメできず。
    クールダウンの一冊がお供に必要。

  • 2015.8.11.この作品が松本清張賞を取った時は、戦時下の上海が舞台という事でなんだかややこしそうでよむのを後回しにしていたが、作者の山口恵以子さんを松本人志のワイドナショーで何度か見るうちにその個性的なキャラクターに惹かれて読みたくなった。過去も現在もすごくダイナミックな展開で、また、舞台装置?も万全!面白かった。

  •  おもしろかった。多江子、強くて大きくて優しい女だなあと思った。槇を見舞うところといい、瑠偉の母になるべきだったと悟るところといい、多江子の生き方がおもしろい。

  • 食堂のおばちゃんが書いた作品として話題になっていたので、前から気になっていた本、ようやく読めた。

    戦中の上海って舞台としてはかなり魅力的な街なので、その雰囲気を味わえるだけでも個人的には読む価値アリでした。

    内容は少女マンガ的2時間ドラマあるいは東海テレビ制作の昼メロの域を出なかったけど、主人公も登場人物もそこそこ魅力的。

    そういや、この作家さん、森川久美の「Shang-hai 1945」がかなり好きなんだろうなぁ。ところどころに同じような描写があるので、そんなことを推測してみたりして。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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