ブルース

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901794

感想・レビュー・書評

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  • *深い霧たちこめる北の街の「崖の下」で生まれた6本指の男が、自らの過剰を切り落とし、釧路の夜の支配者へのしあがる。男の名は影山博人。苛烈な少年時代を経て成熟していった、謎めく「彼」をめぐる八人の女たちの物語*
    善か、悪か。その局面によって揺らぐ影山の顔。スピーディーな展開でさらさら読めたが、出て来るのが似たような女たちなので、途中こんがらがった部分も。終わり方は好きかな。

  • 2016.3.5

  • 全てがヒロトと関わった女性目線のお話だけれど、最後にヒロト目線のお話が聞いてみたかったと思いました。
    どうやってのし上がって、どうしてまちこを選んだのか…
    謎だからまた面白いのかなー。
    はっきりしないままの方がいいのかなー。

  • 博人という謎の男と、彼の虜になってしまう女達の物語。
    影と魅力と得体の知れない恐ろしさが同居する男。道東の湿った空気と生臭さが博人の存在と繋がっている。
    ロンドンやパリ、セーヌ川が出て来ると、とたんに街の匂いも湿った空気感も無くなり、何か違和感がある。桜木さんはやはり道東。

  • 伏線が入り組んだ連作。
    影山のキャラクター設定は見事。登場人物も、性格の設定は丁寧に行われているのに、容姿の描写が今ひとつ。
    「ストレンジャー」のオチが気に入っているが、クセのある数字以外の伏線があると良かった。

  • 人より多い末端をもつ男の中学時代から没するまでを綴った連作短編集。愛や恋、情ともいえぬ男女の絡みが全篇を貫く。果たして男は誠実だったのだろうか、幸せだったのだろうか。著者得意の北海道を舞台に昭和が繰り広げられ、懐かしさの中に読むものを引き付けるが、少々食傷気味で次回は全く違う題材で書かれたものを読んでみたい気がする。

  • 直木賞受賞作の『ホテルローヤル』よりはこちらのほうがグッとよい作品であると思う。男女の情愛を書かせたら天下一品である。作者がダメ男ではなくカッコいい男を書こうと意気込んで生まれたのがこの影山という男である。彼の憂いやセクシーさは薄暗い出自に起因するのかもしれない。途中まではとてもとてもよかったが最後の章だけが残念であった。ちょっと雰囲気がこれだけ違う。

  • 読了

  • 貧しく過酷な環境で育った男の暗いサクセスストーリー。成功の裏には、不幸な生い立ちの中で手にした、尋常ならざる女性の肉体のコントロール能力がある。
    とにかく、あっという間に女性を虜にし、本人は女性に対してほとんど思い入れを持たない。生まれから没っするまで、さまざまな女性を通して彼の人生が垣間見られる短編集。
    かなり強い性描写がある中、煩悩あふれる自分としては、どうしても表面的に「女性の扱いが圧倒的にたけていて、なんてうらやましい」と思う気持ちがぬぐえない。これはこの本のテーマとかなり反する、生物学的な感想であるが(恥ずかしい)、それがあるゆえに、なんとも真に作品を楽しんだ感が得られなかった。(自分のせいですが。)

  • 北海道の寒村の、さらに貧民層の長屋で生まれた男が、裸一貫からのし上がり、町の裏のボスとして君臨するまでになる姿を、彼と関わった女たちの視点から描く連作短編集。
    いつもながら、釧路の暗い風景がよく似合う。

    震えるようないい男を書いてやる、と作者が臨んだ作品だと、以前新聞のインタビュー記事で読んだ。感情を排し、非合法なことも怖れず、無口でセックスがうまい。関わる女性はことごとく、呆気なく彼のとりこになっていく。しかも、自分を頼ろうとする相手を、するりとかわして姿を消して…。
    最初のうちは、これがいい男なのかなと首を傾げつつ読み進めたのだが、そのうちじわじわと魅力が浸透してきた。自分を頼ろうとしなかった女性と結婚し、最後はその連れ子をかばって命を落とす。なるほど、作者の好みは、究極のハードボイルド男だったのね、と納得。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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