ブルース

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901794

感想・レビュー・書評

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  • またも桜木紫乃お得意の連作短編パターンで(まあ男版ではあるけれど・・・)またか!とも思いますが、しかし、これが彼女の作風なんだし、このまま突き進んでほしいと思います
    ・・・が、「蛇行する月」はよかったと思うんだけど、「星々たち」や今回の「ブルース」だと、ぜんぜん主人公自体が見えてこないんだけど。
    結局、主人公が何を考えて何を望んでいる人間なのか、よく分からず、なんだか消化不良。

  • 『影山博人』という1人の男と8人の女たち。帯に書いてある、著者の新境地という言葉を読了後に納得。なるほど、そういう事かと。『影山博人』は女たちを魅了する力というか、オーラが生まれながらにあるのだろう。『影山博人』とは良い意味で非常に恐ろしい男である。野生っぽさ、男らしさ、彼をどう表せばいいのか上手く言葉が出てこない。それくらい難しい。

  • 荒涼とした町に細い影。淡々の爪弾かれる人生。
    何がよくて何がダメなのかわからなくなる。
    女はしぶとい。

  • 道東の場末の“下の町”の極貧長屋で、父親もわからず気のふれた母の生活の中で育った影山博人。
    女の立場から彼の人生の断片を見せて行く8つのお話。

    たぶん、女を得意科目とする男の官能小説集と見せかけて、成り上がったものの内面や やりきれない裏社会を描こう、みたいなつもりだったんだと思いますが、なんだかピンぼけ。
    やっぱり濡れ場だけでは、相手を陥れて獲物を手に入れる迫力や底冷えする恐ろしさは伝わりませんね。
    弱みやカネを握り込む場面が無いとだめかな。
    折角の影山博人のキャラクターも、体温を持たないままで残念でした。

  • 影山博人を巡る物語。初めてこの人がしゃべった。
    桜木紫乃さんの主人公を巡る物語で、この主人公が登場することがあまり少ないので。

    それにしても、かっこよすぎですよ。
    ある時は強いものから巻き上げたり、利用したと言わんばかりで、またある時は人を助け(お金の苦心に困っている友人を助けたり)。
    なんだか、こういう真っ直ぐな人(裏世界の人だけど)いて欲しいなあ。私の身の周りに。

  • 桜木紫乃氏のお得意の北海道を舞台にした連作短編集。
    いつものようにちょろっとエロも散りばめた作品。
    もっと違うシチュエーションでは書かない作家さんなのかなあ。

  • 指が6本ある男、影山博人と関わりをもった
    女たちそれぞれの目線で描かれる
    男の一生。
    すさまじい過去を持ち
    波乱万丈な人生を歩むのだけれど
    いたって冷静沈着、クールで
    悪なんだけど
    困った女性にはめちゃ親切。
    なんて魅力的なヤツなんだ。

  • 極貧に生まれ育った男には指が6本あった。
    自らその過剰を切り落としのしあがっていった男、影山博人。
    彼と関わった女たちを通じて、博人の底知れない魅力と哀愁が浮き彫りになる。
    霧に覆われた釧路の町が頭の中に広がっていき、なんとも言えない余韻を残す。
    今まで読んだ桜木作品の中で、一番良かった。

  • BGM 早鐘/Brian the Sun

  • ある、身体的特徴を持った、
    重い過去を抱えたオトコの物語。

    結局、最後までオトコ、影山をどういう男か
    分からないまま読み終えた。
    ただ、強い存在感だけが残る。

    目の離せない男、何だか気になる人、
    そういう人が現実世界にいるように、
    影山さんもこの小説の中で
    存在感を膨らませていった印象。

    もちろん影山さんのキャラクターがそうさせているのは
    大前提です。

    桜木さんの紡ぐ文章は
    相変わらず説得力を持った絵として
    画面に浮かぶ、そういう一冊です。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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