拳の先

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904160

感想・レビュー・書評

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  • 長い長い…と思ったらそれもそのはず新聞連載だったのですね、ならばこの展開のもどかしさも納得。
    「空の拳」続編なのだが単品でも充分に楽しめるほど完成度は高い、でもやはり順に読んでこそより深みが増すのであろう。
    ただいろんなことを盛り込み過ぎの感もあるしボクシング自体が今の緩い世代の興味を引けるのかの懸念もある、そしてなにより思うのはジョーとも元気とも異なる…そう角田さんが「拳の先」と表現するハングリーの根本や闘うことの意義がこれまでにない観点にあることが果たしてどれだけ受け容れられるかということ。
    臨場感も面白さも半端ないのだがこの作品は読み手によって評価が異なる

  • 坂の途中の家が面白かっただけに、作風が違いすぎて読むのが大変だった。
    ボクシングに興味がないせいなのか、最後まで頑張って読んだけど、いまひとつ何も残ってない気がする。

  • 角田光代の最新刊、「空の拳」の続編です。
    ボクシングからすっかり離れてしまった空也と、今もなお戦い続けている立花。
    そこに、若手作家の蒼介や、いじめられっこのノンちゃん、天才ボクサー岸本など、新たな人物が加わりますます読みごたえが増しています。
    前回が立花のその強さにフォーカスしているとしたら、こちらに描かれていたのはその正反対の弱さでした。

    序盤は正直間延びしてしまって、いささか退屈でした。
    立花が負のループに陥り、勝てなくなり、以前まとっていた光のようなものは消え始め、周囲の興味も熱も次第に冷めていきます。
    岸本戦での醜態からは読んでるこっちもしんどくて、立花がどんどん底の見えない暗闇にのまれていくのが嫌というほど伝わってきました。
    立花はもうだめなんかな…と思い思い、ほぼ惰性で読みすすめていたところでの、突然のタイへの修行。
    ここからは読了まで本当にあっという間でした。
    自分を限界まで追い込んで、拳の先に何がいるのか、それをみつけるためにたった一人で立ち上がり、拳を出し続ける立花。
    悔しさ、恐怖、不安、そういうものを抱えながら闘う姿には読者としてものすごく感情が昂ぶった。
    空也みたいに思わず涙してしまったり。
    そして、そこからの復活。復活というよりも、新たな場所にたどり着いた、という表現が正しいかのような勝利。逃げて逃げて、彼は勝った。
    世界戦の結果と彼の決意も清々しい気持ちで受け入れられました。

    ぶ厚くて何度かめげそうになったけど、読み切って良かった。
    角田光代さんしばらく新刊出さないそうだけど、ここまでの力作で締めてくれたのならば甘んじて待てそうです(笑)

  • 文芸編集者の那波田空也は、ボクシング選手・タイガー立花の日々を見つめ続ける。

    拳の先に見えるものは何か?
    誰一人として、同じものが見えることはないだろう。
    きっと、それぞれが何かを見つけに行こうとするだろう。

    ノンちゃんの、今後はどうなるんだろう?

  • 【恐怖と不安の先にあるものとは。感動長編!】文芸編集者の空也はボクシング選手・タイガー立花の日々を見つめ続けるうち、不吉な予感を覚える。才能とは。逃げるとは。傑作長編。

  • 空の拳も合わなかったからな。(だったら読むなという話ですが、角田さんのファンなので)
    やっぱりいろいろと長すぎる。そして単調なままだらだらと続いて読みづらい。わたしがボクシングに無知すぎるのも要因のひとつだろうし、先に空の拳も苦手だったという先入観がぬぐえなかったのも起因しているだろうけど。

  • 2016 3.27 角田さんは宮部みゆきさんに似てきた気がする。

  • 『明日のジョー』とは、まるで異なるボクシングの世界。
    世の中変わってしまったんだろうか・・・
    拳の先にあるものも変わってしまったんだろうか?

  • 空の拳の続編。
    登場人物の造形、試合の描写が素晴らしい。
    ボクシングを通してそれぞれの人物たちが自分の抱えてるものと対峙していくその様子がとても読ませる。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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