コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋
3.62
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感想 : 2385
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906188

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白いですね!!
    アメトークを見て購入を決意したのですが、
    芥川賞なのに、こんなに面白いとは!!

    純文学だからと構えていたのですが、ものすごく受け入れやすい。
    これは私が主人公と近いからなのか!?
    自分にコンビニバイト経験があったからなのか?
    物凄く共感できる部分が多い。

    文学として面白い表現がたくさんあるし、物語としても面白い。
    こんな本を国語の教材に使ったら、もっと学生が国語に興味を持てるのではないだろうか??

    良かった!!

    • shukawabestさん
      shukawabestです。こんばんは。bmakiさんのレビューに同感です。芥川賞を受賞しているのを知らなくて、売店でつい手に取ってしまい、...
      shukawabestです。こんばんは。bmakiさんのレビューに同感です。芥川賞を受賞しているのを知らなくて、売店でつい手に取ってしまい、後悔しました。でも、読み出すと面白くて面白くて・・・。実際に教育現場や試験問題に使われているいるのかどうかは知らないですが、素晴らしい作品でした。7年前に読まれているのですね。僕は先週読み終えたばかりですが、この作品を手に取ることができてラッキーでした。
      bmakiさん、今後もよろしくお願いします。
      2023/08/14
    • bmakiさん
      shukawabestさん

      こんにちは。コメントありがとうございます(*^▽^*)

      かなり前に読んだ作品で、記憶も曖昧ですが、主...
      shukawabestさん

      こんにちは。コメントありがとうございます(*^▽^*)

      かなり前に読んだ作品で、記憶も曖昧ですが、主人公のコンビニ愛?というか、店員ならではの振る舞いが、ちょっといっちゃってて、私もコンビニバイト経験があったので、それがまた凄い分かって、とにかく面白かった記憶があります(*^▽^*)

      芥川賞は私にはあまり合わない作品が多い気がしますが、(基本長編好きなので)この作品はかなりツボにハマりました(^-^)

      こちらこそ、今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
      2023/08/15
  • 村田紗耶香作品、ブクログでいろいろな方のレビューを見て気になっていたので読んでみました。
    やはり一番最初は芥川賞受賞作を…と思って読み始めたのですが、ぐいぐいえぐられました…。

    "普通"がわからない、だから周りから"普通"に見えるようにふるまう。
    マニュアルに沿って仕事をこなし、同僚と適度に良好な関係を維持しながら、自分の居場所を確保する。
    そんな風に"コンビニ店員"として過ごす主人公・恵子の日々は、厄介な新人バイトの男性・白羽と関わったことによって、少しずつ崩れていきます。
    同僚たちの態度が変わり、整っていたはずのコンビニの秩序が狂い始めたことに戸惑う恵子…

    文章自体はとても読みやすいけれど、ストーリーはメーターをぐいーんと振り切って突き抜けた感じ。
    150ページ読み終えるまで、心臓をぐわっと掴まれて揺さぶられっぱなしでした。
    一気に読了後、思いのほか自分もダメージを負っていることに気付き、しばし放心…。
    ほかの村田作品も読んでみたいけど、少しクールダウンさせてからにしよう…

  • 小谷野敦という評論家が、歴代の芥川賞受賞作の中でこの「コンビニ人間」が一番面白い作品と自身の歴代芥川賞作品の偏差値をつけた本で書いている。たまたま村田氏を映像で見たとき、変わった人であることは確かだという印象を受けた。また、新聞の俳句欄で、著者村田氏の作品の、段違いの出来栄え。どうやら彼女は自身の変わり具合を客観的に分析できているということがわかる。

    下記引用、数字はページ数

    6世界が目を覚まし、世の中の歯車が回転し始める時間。その歯車の一つになって廻り続けている自分。私は世界の部品になって、この「朝」という時間の中で回転し続けている。

    20そのとき、私は、初めて世界の部品になることができたのだった。私は、今、自分が生まれたと思った。世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった。

    22朝になれば、また私は店員になり、世界の歯車になれる。そのことだけが、私を正常な人間にしているのだった。

    26今の「私」を形成しているのはほとんど私のそばにいる人たちだ。

    26こうして伝染し合いながら、私たちは人間であることを保ち続けているのだと思う。

    63何かを見下している人は、特に目の形が面白くなる。そこに反論に対する怯えや警戒、もしくは、反発してくるなら受けてたってやるぞという好戦的な光りが宿っている場合もあれば、無意識に見下しているときは、優越感の混ざった恍惚とした快楽でできた液体に目玉が浸り、膜が張っている場合もある。

    64差別する人には私から見ると二種類あって、差別への衝撃や欲望を内部に持っている人と、どこかで聞いたことを受け売りして、何も考えずに差別用語を連発しているだけの人だ。白羽さんは後者のようだった。

    66大体、縄文時代から女はそうなんだ。若くて可愛い村一番の娘は、力が強くて狩りが上手い男のものになっていく。強い遺伝子が残っていって、残り物は残り物同士で慰め合う道しか残されていない。

    77正常な世界はとても強引だから、異物は静かに削除される。まっとうでなき人間は処理されていく。
    そうか、だから治らなくてはならないんだ。治らないと、正常な人達に削除されるんだ。

    79店長は、使える、という言葉をよく使うので、自分が使えるか使えないか考えてしまう。使える道具になりたくて働いているのかもしれない。

    82「皆が足並みを揃えていないと駄目なんだ。何で三十代半ばなのにバイトなのか。何で一回も恋愛をしたことがないのか。性行為の経験の有無まで平然と聞いてくる。『ああ、風俗は数に入れないでくださいね』なんてことまで、笑いながら言うんだ、あいつらは!誰にも迷惑かけていないのに、ただ、少数派だというだけで、皆が僕の人生を簡単に強姦する」

    83「え、自分の人生に干渉してくる人たちを嫌っているのに、わざわざ、その人たちに文句を言われないために生き方を選択するんですか?」

    85大きな獲物を捕ってくる、力の強い男に女が群がり、村一番の美女が嫁いでいく。狩りに参加しなかったり、参加しても力が弱くて役立たないような男は見下される。構図はまったく変わってないんだ」

    88そうですよね、真っ向から世界と戦い、自由を獲得するために一生を捧げる方が、多分苦しみに対して誠実なのだと思います」

    92その興奮した様子に、現代社会の皮を被っていても今は縄文だというのも、あながち的外れではないような気がしてきた。
    そうか、もうとっくにマニュアルはあったんだ。皆の頭の中にこびりついているから、わざわざ書面化する必要がないと思われているだけで、「普通の人間」というものの定型は、縄文時代から変わらずずっとあったのだと、今更私は思った。

    115「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。

    124叱るのは、「こちら側」の人間だと思っているからなんだ。だから何も問題は起きていないのに「あちら側」にいる姉より、問題だらけでも「こちら側」に姉がいるほうが、妹はずっと嬉しいのだ。そのほうがずっと妹にとって理解可能な、正常な世界なのだ。

    128「ある意味お似合いって感じですけど……あの、赤の他人の私がいうのもなんですけど、就職か結婚、どちらかしたほうがいいですよ、これ本気で。というか、両方したほうがいいですよ。いつか餓死しますよ、いいかげんな生き方に甘えてると」

  • 最近読んだ芥川賞受賞作の中では、とても良かった。傑作と思う。
    この主人公は、かなりヘンな人なのだが、実際のところ、主人公がヘンなのか、世の中がヘンなのかは定かではない。ただ、主人公をヘンな人だと思う人間が圧倒的多数なので、主人公がヘンなことになってしまう。そこに苦悩するのが従来の文学には多かったのが、あっけらかんとして、ユーモアさえあるのが新しいというか、オリジナルだなと感心した。
    だいたい、かけがえのない人なんて、ごくごく一部の芸術的な天才だけで、殆どの人は交換可能な部品であるのだから、主人公のように生きて何が悪いのかわからない。こういう人を変人として扱う社会の方がおかしい気がする。テンプル・グランディンのことも思い出した。
    つまらないことに一喜一憂し、下司の勘ぐりを楽しみに生きている所謂普通の人間に対する強烈な皮肉でもある。
    孤高の主人公の潔さに美しささえ感じた。

  • 人間椅子を思い出しました。
    大多数の「普通」や「当たり前」が境界線になっている「あちら側」と「こちら側」で異物を排除し、正常を保とうとする心理が自分にもあるような気がして怖くなりました。

  • 短くてサラッと読めた。
    純文学はあまり読んでこなかったけど、なかなか楽しめた。

    私もどこか人と合わせるのが苦手なところがあり、特に同性である女性の輪が苦手。

    たまに楽しそうなグループを見かけると、楽しそうでいいなぁと思わなくもないが、みんな本当に無理してないのかな?なんて考えてしまったりする。

    人の目なんて気にせず生きれたら楽なんだけどね。
    なかなかみんな、そこまでの域には達しないよね。

    ただここ最近のコロナ禍で、本当は一人を好んで居る人が多かったことは意外だった。

    人に迷惑かけず自分が幸せなら、どんな生き方でもそれでいいと思う。






    • タコスさん
      はじめまして、感想読ませて頂き自分も共感できる部分があったのでコメントしました。

      人の目を気にしたくないのに、たしかに気にしないのは難しい...
      はじめまして、感想読ませて頂き自分も共感できる部分があったのでコメントしました。

      人の目を気にしたくないのに、たしかに気にしないのは難しいですよね。

      自分が幸せで周りに迷惑かけない、そんな生き方をしたらどうなるのか?
      個人的にはその結果の一つをこの本は教えてくれているのかなぁと思いました。
      2021/07/17
    • ひる子さん
      タコスさんへ
      コメントありがとうございます。
      気にせず気にせずと思っても、やはりみんな少なからずは気にしてしまうものですもんね。全く気にしな...
      タコスさんへ
      コメントありがとうございます。
      気にせず気にせずと思っても、やはりみんな少なからずは気にしてしまうものですもんね。全く気にしないと、それはそれて自己中だとかワガママだとか思いやりがないとか言われてしまったり。
      完全に人と関わらずに生きる事は不可能でしょうけど、深く関わらずに生きていく事は可能です。
      私はきっと後者を自分から選択している気がします。

      そうは言いましたが…
      こんな風にタコスさんと語らえる事ができた、この本に感謝です。
      2021/07/17
    • タコスさん
      ひる子さんへ
      そうですね、私も無理に深く関わることを避けてる人間なので共感できます。

      ただ、こうやって本の感想や考え方をお話しできるような...
      ひる子さんへ
      そうですね、私も無理に深く関わることを避けてる人間なので共感できます。

      ただ、こうやって本の感想や考え方をお話しできるような人とは仲良くしたいなと思います。

      こちらこそありがとうございました。
      コメント欄ではいい方と出会えこともあるんだと良い経験ができました。
      2021/07/18
  • コンビニ人間。
    面白かった。この主人公の両親も妹も、この人が少し人とは違う感性の持ち主だってことを全然受け入れていないことに、驚きました。
    グレーゾーンの人たちはかなり多いと思います。
    以前35歳の独身の男の人がバイトに採用されたのですが、世の中の愚痴や、男と女の違いや振る舞いの違いを延々と話されていたのを思い出しました。
    その割には仕事も覚えず、しないし、さっさとクビになりました。
    人の社会の中で、ある程度大人になると正規の社員でないといけないっという風潮があります。
    人様に迷惑かけてないなら、いいと思いますが、人間の性ですね。みんな不安でみんな同じがいいのですね。

  • 普通がわからない女性の主人公。
    コンビニ店員としてのマニュアル通りに振る舞えば、社会に溶け込むことが出来ると、長い事アルバイトとして働いていた。
    しかし、結婚も就職もせずコンビニで働いていることに周囲が疑問を持ち始め…。

    常識、普通、モラルなどは社会生活をする上で備わっていなければ、奇異な目で見られるのは歴然だ。
    でも、それがどうやったら自分自身の中に備わるのかわからない主人公は、常に悩み自分の場所を探している。

    自分たちと生き方が違う、考えていることがわからない、決めつけなど、集団心理が引き起こす弾劾に違いやり取り。
    全く持って余計なお世話である。
    でも、それを自分自身していないか?とも読んでいて不安になった。

    自分はコンビニ人間だ!と言い切った主人公の清々しさが眩しい。

  • 村田沙耶香さんの作品は初めて。
    やっぱり代表作?的なこちらを選びました。

    芥川賞受賞作品らしさ溢れていますね。
    個性的な人達が出て来る個性的な作品でしたが
    私はとても好きでした。面白かったし、
    読むのが遅い私でもスラスラ読めました。

    私は主人公、古倉恵子さんの生き方は
    素晴らしいと感じました。
    自分に欠落しているものがある事を認識し、
    なるべく他人に迷惑をかけないよう、
    「普通の人」を装ってでも
    「生きやすい方法」を
    見出して懸命に生きている。
    ちょっと変でも、全然いいじゃん、
    誰よりも自分を分かってるじゃん、って
    思いました。もう、ありのままでいいじゃん。

    それよりも、問題なのは白羽くん。
    実は、こういう人は沢山存在する、と感じる。
    全てを人のせい、時代のせい、世の中のせいに
    して、自分の殻に閉じこもっている。
    そして周りに負担と迷惑をかけまくる…。
    古倉さんを、見習って下さいね。

    他の村田沙耶香作品も是非読んでみたいです。




  • 主人公は「普通」という言葉に悩まされ続け今一度「普通」について考えさせられた。
    主人公と白羽とのファミレスでの会話シーンはとても面白い。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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