Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

  • 文藝春秋
3.30
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本棚登録 : 630
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912981

作品紹介・あらすじ

列車の旅を愛する人たち垂涎の豪華寝台列車「ななつ星」は、開業7年目を迎えるいまも、予約が取れない状況が続いています。ゆったりと流れる時間、車窓を眺めながらの豪華なディナーは、日本の旅を変えたとさえ言われます。その「ななつ星」に現代を代表する作家、井上荒野、恩田陸、川上弘美、桜木紫乃、三浦しをん、さらには旅を愛するふたりのクリエーター、糸井重里、小山薫堂が乗車、新しい旅から生まれた極上のストーリーをお届けします。

感想・レビュー・書評

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  • 夢気分の一冊。

    豪華寝台列車「ななつ星」に乗車し豪華作家陣に連れ出されたレール一本の大海原の旅。

    静かな揺れに身を任せ、レールの音に耳を澄まし、流れゆく星空を目にするたびにそっと何かを人は心に拾っていくのかもしれない。

    それはどこかに置き忘れたままの時間だったり、心、想いの再確認だったり。

    それをしっかり胸に仕舞い込んだらまた新たなスタート。

    新しい服を纏うように。

    旅ってそうやって人を着替えさせてくれるのかもしれない。

    七つの旅物語、一緒に旅するような夢気分。

    レールの旅、憧れるな。
    荒野さん、しをんさん、良かったな。

  • 九州をめぐる豪華寝台列車「ななつ星」をテーマにした、アンソロジー。
    小説だけではなく、随筆や随想を含むのが、珍しかった。

    「オール讀物」掲載まとめのようで、特にJR九州とのコラボ(宣伝)というわけではなさそう。
    そう思ってしまうほどにぴったりで、「ななつ星」の客室にあってもおかしくない1冊。

    よかったのは、以下の3作品。

    ・恩田陸「ムーン・リヴァー」
    〈キミコ姉さん〉へのふたりの愛情と、ちょとした謎解きの楽しさ。
    あたたかい作品。

    ・小山薫堂「旅する日本語」
    旅にまつわる言葉のエッセイが、味わい深い。
    信濃八太郎のイラストも、美しかった。

    ・川上弘美「アクティビティーは太極拳」
    コロナ渦で運行中止になった旅を、自宅でインターネットを駆使し、リアルタイムに行った気になる、という設定がおもしろかった。
    母のなりきりぶりやお茶目さが、魅力的。

  • 「ななつ星」の列車旅、行きたいなー!
    ただ豪華というだけでなく、ホスピタリティー溢れる雰囲気が物語を生み出すのだろうと思った。
    恩田陸さんの「ムーン・リバー」が一番好きだった。

  • 舞台は「ななつ星」、人気作家7名の小説集 刊行 | RailLab ニュース(レイルラボ)
    https://raillab.jp/news/article/23467

    『Seven Stories 星が流れた夜の車窓から』恩田陸 井上荒野 三浦しをん 川上弘美 桜木紫乃 糸井重里 小山薫堂 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912981

  • 九州を走る豪華クルーズトレイン「ななつ星」✩.*˚
    その「ななつ星」での旅をテーマにした5つの物語と2つの随想からなるアンソロジー。

    とても素敵な装丁と装画はクラフト・エヴィング商會によるもの。
    この装丁にぴったりの素敵なお話ばかりでした。

    好きだったのは井上荒野さんと桜木紫乃さんのお話。
    どちらも夫婦のお話でした。
    井上さんのは、一緒に乗るはずだった人と来れず一人旅をする女性の話。
    彼女の真っ直ぐで一途な想いに涙しました。
    桜木さんのは、定年退職したご主人との卒婚を考える女性の話。これも良かったです。こんなふうに生きる老後もいいかも知れない。

    何かの節目に、とっておきの非日常を感じる旅に出るって素敵だな。
    自分の事を振り返ったり、改めて大切な日常に気付いたり、そこから新たなスタートが出来そうな気がする。

    ななつ星、調べてみたら、2泊3日で70万もするではないか!!
    行きたいとは気軽に言えないな。これは大変だ〜笑







  • 憧れの列車、JR九州の「ななつ星」を素材にした七人の作家(作家じゃない人もいるけど…)の七つの短編小説(小説じゃなくて随筆もあるけど…)。本当に短い物語で、バキバキに「ななつ星」礼賛タイアップなので、てっきりコンパートメントに置いてある小冊子用の一駅ごとにお楽しみください、というブランデットコンテンツだと思っていたら、巻末でそれぞれの初出が「オール讀物」での今年の連載だと知り、びっくり。もはやプロモーションする必要がないくらい人気の旅なので、井上荒野、恩田陸、川上弘美、桜木柴乃、三浦しおん、という当代きってのスター作家を引き寄せ、作品を書かせる「ななつ星」の力、恐るべし、と思いました。でも川上弘美の「アクティビティは太極拳」を読んだ時、そうか、この連載期間はコロナ禍によって特別寝台列車の旅が出来なかった期間なのだと気づき、この短編集はリアルに運行できない時期でも「ななつ星」を楽しんでもらうための小説という名の列車の旅なのだと理解しました。やるな、JR九州。やはり、旅のターゲットに合わせてある程度の富裕層のシニアが主人公ですが、その世代の心を、死別した伴侶、中学からの女ともだち、姉の代わりに育て上げた兄弟、距離の離れた娘、そして定年を迎えた夫、というように多様な切り口の物語が繋がれていきます。その中で糸井重里の随筆「帰るところがあるから、旅人になれる」が効いていて、目的地がある旅でなくて、出発点に戻る(「ななつ星」の場合は博多駅)に戻る旅と、人生を重ね合わせる視点が、この短編小説集の縦糸になってような気がしました。GO TOというような経済施策じゃなても、旅は楽しめる、ような気がしました。列車の振動は恋しいけれど…

  • 実在する九州の豪華寝台列車「ななつ星」で旅をする乗客たちの物語。一話ずつ違う作者が書くことで、乗客にはそれぞれの人生があることが鮮やかに感じられる。

    コロナ化で運行が中止になり、リモート旅行をすることにした母娘の話はこの時代だからこそ作れた作品だと思う。

    冒頭の二作は一緒に来たかった人へ思いを馳せる残された側の切なさに、銀河鉄道の夜を連想してしまった。夜空に浮かぶ列車が描かれた装丁の影響もあるかもしれない。

  • 寝台列車とかそこまで興味なかったんだけど、すごくすごく乗りたくなった。井上荒野さんの話も良かったけど、川上弘美さんの現代の、コロナ禍でのリモート旅、新しい形、なんだかこんな世の中で文句言ってる自分が少し情けなくなった。こうやって旅して、落ち着いたら〜っていう心も大事だよな。きっと。

  • 九州を旅する豪華寝台列車「ななつぼし」。
    その乗客を主人公にした7つのストーリーが、ずらりと並んだ贅沢な執筆陣によって綴られている。(この顔ぶれなら個人的に角田光代さんか江國香織さん、もしくは有川浩さんもいて欲しかった!)

    3泊4日の豪華寝台列車の旅、ということで現役を引退した60〜70代の主人公ばかりでした。
    まぁ夜行バスとかじゃないんだし当たり前といえば当たり前か。
    オール讀物で連載されていたそうだけど、どれもそっくりそのまま「ななつ星」のPR広告に使えそうなほど魅力を分かりやすく伝えてくれるものでした。ここでの話は常に主人公たちが列車に運ばれて移動しながら進んでいる、という状況に思いを馳せるとなんだかワクワクしてきて好き。
    寝台列車、別に豪華でなくていいしただの移動手段としてでもいいから死ぬまでに絶対乗ってみたい。

  • 豪華列車ななつ星を舞台にした短編集。感染症の蔓延で旅行ができなくなった母娘の仮想旅行のお話にほっこりしました。父や母、周りのことなど重ねて考えてしまいます。旅にで出て、風景を眺めながら読書したい。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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