- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163917122
感想・レビュー・書評
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この本に出会えて良かったです。
私も特権性に気付けていない本好きでした。
あたりまえではないんですね。 -
100頁もないので、すぐ読み終えてしまった。
話題になり作中にも出てくる「紙の本を憎む」「出版会は健常者優位主義」というのは強烈な言葉として記憶に残っている。本当にそのとおりだなと。
それにしても冒頭の中年男性があたかも書いたかのようなはハプバ記事はすごい(というか面白かった)。
そしてラストのところは、いろんな解釈がありそうでよく分からなかったというのが個人の感想です。 -
すごい。
途中酷くて過激なシーンが多々あるが、表現も展開も、息を呑むようにのめり込んだ。
この人の事をもっと知りたいと思った。
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私身体は生きるために壊れてきた。
普段は作者のことなど考えずに本をよく読んでますが、作者のことを考えながら読んでいたような気がします。
エゼキエル書というものや釈迦涅槃についてあまり意味もわからず読んでしまっていましたが、、あとで調べようと思います!
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芥川賞ということで読んでみた。
内容はともかく、芥川賞ってなんなんだろ?というかんじ。
私はこの文章に芸術性を感じることは出来なかった。
芸術って難しいなぁ。
内容的には、ハッとさせられることもあり、障害について考えさせられた。風俗についても学べ(?)た。用語がよくわからなかったけど。
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ひたすら鍛錬を積み底力と骨太さを感じさせる作品、芥川賞らしく無名作家の作品、衝撃的である。
もう記憶の彼方にあったモナリザスプレー事件に出会うとは、著者がまだ生まれていない時代の事件が素直に収まっている。異彩を感じる。 -
これは残しておかねばいけない怒りに満ちた作品。
日本では社会には障害者はいないことになっているので
本に苦しむハンチバックの怪物の姿など日本の健常者は想像もしたことがないのだろう
海外の専門機関についてよくわかっていないのだが、気切チューブからの吸痰、昔のパルスオキシメーター、成長に伴う性欲、好奇心を叶える手段のなさ、どれもが実体験からくるものである事が容易に想像でき、医療者として恥ずかしながら健常者が病気になった末の身体にしかあまり関わった事がなく、
いや、一度彼女のように重症化して運ばれてきた患者さんを受け持ちはしなかった記憶がある程度。
障害者に関わらず日本という国は困っている人達の困り事を想像する頭のない国だなとは常々感じているので、どんな手段であれ発言していく事の大切さ、そんな事は頭の片隅になくとも怒り狂って良いと私は思いながら読んだ。
それにしてもお若い。作品の端々に散りばめられた言葉、私など初めて見る言葉ばかり。
それが吉田修一氏の言う、笑いと知性かな。
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健常者の自分がこの本の評価をしていいのだろうかと悩みましたが、書くことにしました。
露骨な描写や健常者だったら考えない描写が多いです。しかしそれは障害を持つ(健常とは異なる状態と表現すべきか…)人でも、健常者と同じ人間だという強い思いが節々から伝わってきます。
主人公は紙の本を読める事への優位性を恨んでいる描写があり、今自分が紙の本を手に取って読むという事ができない人もいるということを痛感させられます。
本の内容については、身近に障害を持つ人がいたり関わりの経験があるか無いかでも捉え方が変わるような気がします。
一読してみるのは意味があると思います。 -
「ハンチパック」by 市川沙央
第169回芥川賞受賞(2023)
作者ご本人が先天性ミオパチーと言って、乳幼児期から筋力低下が見られその結果心配機能も低下し、気管支切開手術を受け、人口呼吸器をつけて在宅生活を送っているとのこと。
そんな障害者が障害者の生活を描くと言うことで、私達の日常からは想像出来ないシーンの連続。
痰を吸引するシーンも生々しく、
S字にたわんだ背骨の身で、厚さ数センチもある本を両手で押さえての読書とか、内臓を押し潰しながら屈曲してのパソコン作業とかも読むだけでもしんどく、正直目をそむけたくなる表現もあちこちに。
物語自体は障害者の性欲とか欲望とか(そんなものがあることすら普段無視されてしまいがちなもの)に正面から生々しく向き合う。
読む方としては躊躇するところもあるが、それが現実なんだろうな。
この社会は、読むこと、書くこと、話すことを基礎として出来上がっていると言う指摘は然り。
そんな人が影響力を持ち、出来ない人は無視される世の中なんだろうな。
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