伝書鳩: もうひとつのIT (文春新書 142)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166601424

感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
    1. 忘れられた鳩通信
    2. 鳩通信の発祥
    3. 軍用鳩の活躍ー第一次世界大戦まで
    4. 軍用鳩の活躍ー第二次世界大戦から現代まで
    5. 新聞社・通信社の鳩便
    6. 様々な鳩通信
    7. 通信から鳩レースへ
    8. 鳩の特殊な能力

    【概要】
    鳩通信について、軍事技術として生まれ、民間技術、そして娯楽へと移り変わる歴史を、丹念な取材でたどりつつ述べた本。

    【感想】
    伝書鳩など無線技術が生まれるまでのローテクとばかり思っていた僕には、目新しいエピソードがたくさん。
    第二次世界大戦でも活躍したどころか、新聞のスクープ合戦の一翼を担っていたり、牛の人工授精用精液の運搬に一役買っていたり、なんと1990年代までスイスに伝書鳩部隊がいたなんて!
    どれもこれもとても面白い内容だった。

    一方で、動物愛護の観点や、野生化したドバトによる鳩害などについては少し触れるだけで、あまり説明されていない。

    動物の異能の活用や、動物愛護の実態について、少し調べてみよう。

  • いっやー面白かった!内容はもちろん知らないことばかりで新鮮だし、エピソードは豊富だし、文が実に読みやすい。
    日比谷公園にたむろしている土鳩たちは、実はかつて新聞社で活躍していた伝書鳩の末裔ではないか、と疑問を抱いた著者が、丹念な取材で伝書鳩を解き明かす。
    戦時中やら関東大震災やら新聞記者のフィルム運びやら、思いもかけずいろんなところで役に立っていたんだな、鳩。
    人間の役に立つ動物(家畜としてでなく)には馬と犬と鳩がいるが、このうちの鳩だけは飼い主への忠義ゆえに働くのではない。鳩が数千キロも飛んで家に帰るのは、ただご飯が欲しいから、愛する家族のそばにいたいからだ、というあたりでなんとも言えず切なくなった。
    あと最後のところでそうくるとは思わんかった。

著者プロフィール

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション・ライター。図書館へ通い、古書店で発掘した資料から、明治の人物、世相にあらたな光をあてつづけた。
『「食道楽」の人 村井弦斎』でサントリー学芸賞、『編集者 国木田独歩のj時代』で角川財団学芸賞、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で読売文学賞を受賞。
他の著書に『音のない記憶』『忘れえぬ声を聴く』『明治のお嬢さま』など。10年間で10冊の著書を刊行した。惜しまれつつ、2010年没。

「2018年 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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