この国が忘れていた正義 (文春新書 582)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605828

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな作家です。
    (「検察捜査」で江戸川乱歩賞を受賞。
    この本は色んな人に薦めてきました。)

    本書の帯にもありますが。「日本は加害者に甘すぎる」は常々、私自身が悶々と感じるところでもあり、興味深く集中して読むことができました。

    現在社会は犯罪者「福祉型」社会。被害者救済は後回し。

    個人的には「目には目を~」型の考え方でもあり、「福祉型」の現状を知るにつれ、こんな甘いのでいいのか?と思わずにはいられない。

    すぐ隣の犯罪者。自分や家族の安全を維持するために今のままでいいはずがない。
    犯罪者の人権云々を口にする方には一度、被害者の立場に立って真剣に考えてもらいたい。

  • ◆あらゆる犯罪者は冷遇されなければならない◆
    日本は犯罪者を優遇して被害者を無視するという狂った国


    あるいは、広津和郎があれほど松川事件に関わらなかったら、もし家永三郎があんなにも教科書裁判に関わらなかったら、野間宏が深く狭山裁判に関わらなかったら、など、ちょっと思い巡らすだけで、あまりにも有名なこの三つの例がすぐ出てきますが、彼らに本当は、もっともっと名作や傑作あるいは新しい歴史の発見があったかも知れないのに、並外れた資質を持つ小説家や歴史家が、その才能を権力によって消耗させられた残酷な例。

    もちろん彼らには、その必然があっての行為ですから悔いが残るはずはありませんが、読者としての私たちには、断固恨みが残ります。彼らの才能から生み出されるはずだった新しい創作物を誰が奪い取ったのか。

    という痛恨の思いを抱かされるのが、同じような境遇にあるこの本の著者・中嶋博行です。彼は1994年に『検察捜査』で乱歩賞デビュー。1985年に弁護士になったことを生かした作風で、私は小杉健治とは又違った法廷物を書いてくれると期待していました。

    あれから18年、弁護士稼業を続け犯罪被害者の支援活動を続けていては、とても大変です。彼は私の期待には少ししか応えてくれません。もっと圧倒的な弁護士物のハードなやつをガンガンほしいのに。

    でも、それは思っても仕方のないこと。だって彼は現在、犯罪被害者の理不尽な境遇を改善しようと闘っているのですから。

    訳もなくレイプされて一生深い傷を負って生きていく女性にとって、犯人が懲役1年でしかないという現実は耐えられないことと同じように、交通事故で二人の子供を殺された親にとって、10年はもちろんたかだか25年の刑で殺人者が戻ってくるのはとうてい納得できないものです。

    彼は「犯罪者福祉社会」という言葉で、いかに犯罪者が優遇されていて、被害者にとって理不尽な現実が当たり前のようにして現前するかを解きます。

    そして・・・・、この次を、もっとお知りになりたいとお思いなら、ぜひこの本を直接お読み下さい。

    そして、この矛盾した社会のシステムを変えようと提言している中嶋博行を、みんなでバックアップしようではありませんか!


    レビュー登録日:2007年9月22日
              (下記は機能ミス誤記)

著者プロフィール

1955年茨城県生まれ。早稲田大学法学部卒。ジョン・グリシャムの作品に影響を受けて小説執筆を始め、横浜弁護士会に所属しながら1994年『検察捜査』で第40回江戸川乱歩賞を受賞。現役弁護士ならではの司法界のリアリティと、国家権力の影を作品に取り込むスケールの大きいエンターテインメントで人気を博す。著書に『違法弁護』『司法戦争』『第一級殺人弁護』などがあり、本書は『検察捜査』『新検察捜査』に続き女性検事の岩崎紀美子が活躍する最新作である。

「2023年 『検察特捜 レディライオン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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