なぜクラスに一人いるのか 同性愛の謎 (文春新書 844)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608447

作品紹介・あらすじ

三島由紀夫、オスカー・ワイルドからフレディ・マーキュリーまで。古今東西の事例や本邦初公開を含む学説から「子を残しにくいはずなのに常に一定の割合を保ち続ける」同性愛者のパラドックスに挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 系統として繁栄する遺伝子は、残る。言われてみれば納得。個体じゃなくていいんだ。

  • 全体的に男性同性愛者に焦点を当てた本であると言えます。ですので女性同性愛者が自分の本だと思って読むと肩透かしを食らうかもしれません。内容の落とし所は納得したような反発心もあるような。男性同性愛者=反転=女性同性愛者だというのは少々乱暴だと思うのです。 でも、同性愛に「ホルモン」や「遺伝」の要素があり、また同性愛者の持っている性質(タチ)として至極自然に同性を好きになっているという事が実験や調査で判明したという事だけでも大きな収穫だと思います。日本もパートナーシップ法の検討が開始されると良いですね!

  • 再読。

  •  先に言っておくと図書館で借りた本なので、帯にどんなことが書かれているのかまったく知りませんでした。それで、ブクログに登録するとき初めて帯の画像を見たのですがこれは…(苦笑) 週刊誌の下ネタのコーナーじゃないんだから…

     さて肝心の内容ですが、異性愛者と同性愛者の性器の大きさであったり、あるいは遺伝子、ホルモン、脳の研究の紹介については、まずまず満足できました。専門的な解説というよりかは、研究の紹介みたいな感じですが、こうした研究の概要を掴む分には悪くないと思います。

     ただ、ちょっと内容はぶれてる印象もあったかな。科学的な視線の紹介に徹してくれてもよかったと思うのですが、フレディー・マーキュリーの話なんかは、「これは著者のシュミだろ」と思ったりもしましたので(苦笑)

     ブクログもAmazonもレビューは辛めだなあ。何をどれだけ専門的に求めるているか、で評価は大きく変わってくるとは思います。専門的な目線だと物足りないでしょうしLGBTの支援だとか、法律的なことを知りたい人にとっても、まったく関係ない話ですし。

    専門書として見るなら、これを足掛かりに他の研究結果の話に触手を広げていく、という読み方が最もいいかと思います。

  • 残念ながら基礎知識不足もありあまり理解できず。ただ同性愛に対しさまざまな研究や調査が行われていることを理解した。

  • 同性愛の謎―なぜクラスに一人いるのか。竹内久美子先生の著書。同性愛や同性愛者への理解が少しずつとはいえ高まっている中で、誰しも同性愛や同性愛者と直接的に向き合う機会も増えてくるはず。多感な思春期の子供たちと接する機会が多い学校関係者、教育関係者にとって読む価値がある一冊です。

  • 面白かった。深く考えたことが無かったテーマだが、こうしてみると、身近な存在。同性愛嫌悪は、自身に少なからず同性への感情が芽生えたときの戸惑いと感情のコントロールに苦しんだ経験によるものだと思う。それは、同性愛を嫌悪しており、同性愛者は嫌悪していない。

  • 新書文庫

  • どうしてそうなったとかいう話ではなく、「同性愛行動には必ず、何らかの適応的な意味がある。」という観点から、現実に存在する同性愛者の脳の仕組みやホルモンの分泌量、遺伝子など科学的に迫る。謎への解答に納得できるかは別として、興味深い。

  • 借りたもの。
    科学的に同性愛(特に男性)を解明しようと試みる、導入として良著。
    遺伝子や脳、男女の性に関わるホルモンバランスから、何故同性愛者は生まれてくるのか?という疑問に迫った本。
    また、男女の性(とその営み)について考えさせられる本でもあった。

    異性愛者の短絡的な発想で「同性愛者は生殖(繁殖)しない無為な存在」というものに対する反論(というか、繁殖しないなら何故絶えないのか、太古の昔から同性愛者は存在するのかというパラドックスを解明する)
    セクシャルマイノリティと言われながらも、それはタイトルにあるように「クラスに一人いる」くらいの、決して珍しい存在ではない事を強調している。

    同性愛は疾患ではなく、女性由来の遺伝子の可能性、それも生殖・多産に関わる遺伝子の影響を指摘。
    もし同性愛が遺伝的なものであるなら、彼らの遺伝子の存在は人類が地に満ちるために非常に重要なものを持っているということになるようだ。

    また、歴史の中での“同性愛の定義”が非常に曖昧である事を指摘。
    “男で男が好き”なのか“女人禁制ゆえ、女の代わりとして美少年が好き”なのか、判断が難しいと……

    男性同性愛者がよく「女性的」と目される事について、また芸術・芸能方面で才能を発揮する所以についても解説。それは脳の構造が女性的かつ、その行動力は男性的であるという、2つ要素が組み合わさっている事に由来する。それを科学的に解説。

    “科学的”と書いたが、そのデータはまだまだ不十分で、二転三転することを著者自身も承知している。

    でも同性愛が遺伝子の影響というのは実感が無い……むしろ最もミニマムな人間関係、家族関係の要因が大きいのでは?ギー・コルノー『愛することに「臆病な人」の教科書』(http://booklog.jp/item/1/4062641038)では2行ほどしか触れられていなかったが……
    この本ではそれについて一切触れられていなかった……

    思えば、同性愛者が嫌われる原因は、歴史の中で様々な後付がされていた訳だが……
    現代ではAIDSが男性同性愛者に多かったため、差別の対象になっていた。
    しかし、それは“男性同性愛者”だからではなく、男がすぐセックスしたいモードであること、男性同性愛者同士ではどうしても双方が顕著になってしまったのであろう事が垣間見れた。同性愛だからではなく、男の性(さが)の問題だったのだ。

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著者プロフィール

竹内久美子
1956年愛知県生まれ。京都大学理学部を卒業後、同大学院に進み、博士課程を経て著述業に。専攻は動物行動学。著書に『そんなバカな! 遺伝子と神について』『シンメトリーな男』(ともに文藝春秋刊)、『女は男の指を見る』(新潮社刊)、『ウソばっかり! 人間と遺伝子の本当の話』(小社刊)、『女はよい匂いのする男を選ぶ! なぜ』(ワック刊)など。

「2022年 『66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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