- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166613670
感想・レビュー・書評
-
ウクライナがアメリカの代理戦争になっていることや、西側諸国のゆきづまりが戦争の要因になっていることなど、うなずけることがおおい。ロシアは経済制裁を受けても、国内のサプライチェーンと中国からの輸入で大きな問題ないということもよく分かる。この戦争は長引くと思われるが、傷つくのは無辜な市民。早く終わることを祈らずにはいられない。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
-
エマニュエル・トッド氏の新刊ということで購入。
読了後と感想として、ウクライナ-ロシア問題について、ニュースで言われていることとは異なる見方を理解できて良かった。
今回の戦争におけるアメリカ-EU-ロシア-アジア各国の関係性と背景がよく分かり、多面的にウクライナ-ロシア問題を捉えたい人には、おすすめ。
印象に残ったのは、以下の通り。
(特に、ウクライナ戦争の人類学は、印象深かった。)
・現在の英米は自由民主主義とは呼べない。
・リベラル寡頭制陣営vs権威的民主主義陣営
・高度な軍事技術よりも兵器の生産力
・軍事支援でウクライナを破壊している米国 -
ウクライナは善、ロシアは悪、は果たして本当だろうか?テレビニュースしか見ていない人たちはそれ以外の判断材料を持っていない。しかし限られた、そして一面しか見ていない中でどれだけ正確に真実を見極められるだろうか。
第三次世界大戦がすでに始まっている、とのエマニュエルドット氏の言葉は衝撃的てはあるが、本書を一読すれば頷ける点は多い。
ウクライナにいるネオナチの存在。
今回の戦争が始まる前から、ウクライナ東部で内戦が始まっていたこと。
ウクライナの背後にいるアメリカとイギリスの存在と、その目的。
陰謀論で片付けられられてしまいがちな内容ではあるが、綿密な調査と研究に裏付けられた内容は説得力をもつ。
賛成反対様々な多様な意見や考えに触れる中で真実は見えてくる。
陰謀論と切り捨てず、何を語っているかを聞く耳をもつことが真の平和へと繋がるはずである。 -
実質的には、ロシアとアメリカの間の軍事衝突はとうに始まっていて、すでに第三次世界大戦に突入している。
この戦争の構図は、「民主主義陣営 vs 専制主義陣営」ではない。
露中も「権威的民主主義」なのだから、民主主義陣営同士の戦いだ。
いやむしろ、米英の国内状況を見ればとても「民主主義の守護者」を名乗る資格などなく、「リベラル寡頭制」と呼ぶべき。
つまり、この戦争は人類学的視点に立てば、「リベラル寡頭制陣営 vs 権威的民主主義陣営」で、家族構造の観点からは、「父権制システム vs 核家族の双系制システム」の対立だ。
家族人類学者らしい観点から、ウクライナとロシアの家族システムは大きく異なっていて、プーチンの言う「ロシア人とウクライナ人の一体性」に疑問を投げかけてはいるのだが、ウクライナの核家族構造が生み出したのは、民主主義国ではなく無政府状態で、そもそもウクライナに「国家」なぞ存在しなかったというのはどうか?
ここは、歴史的にも社会学的にも、まとまりを欠いた地域で、自力では近代化することもできない、ロシアの周辺国。
クリミアや東部併合も、自決権の観点から正当化されるし、ロシアが暴力性を増したとしたら、それは西側の強硬姿勢のせいだと語る。
ウクライナ問題はもともと、ソ連崩壊後の国境の修正という「ローカルな問題」で、ロシアからすれば、1990年代前半に行なうべきだった国境の修正をいま試みているのだ、とする。
最後には、アメリカの独善的な行動を牽制するためにも、ロシアは超大国としていてくれた方がいいとまで言い切る。
このように首肯しがたい見解もあるのだが、中には頷ける指摘も。
「いかなる大国も、我慢がきかないものです。『とても感じのよい大国』など存在しないのです。ですから、均衡点を見つけて、大国と平和に共存することを学ばなければなりません」
長期的に見れば、ロシアと良好な関係を維持することは日本の国益にかなう、というのもその通り。
アメリカの思惑にも注意が必要。
この戦争は当初、アメリカにとって、ロシアとヨーロッパ(とりわけドイツ)の接近、ユーラシアの統一を阻止し、ドイツや日本の弱体化も達成できるため、戦略的利益にかなうものだったが、ウクライナ軍が抵抗し、軍事的に成功すればするほど、ロシア軍はより強い武器を用いることになり、戦闘はいっそう激化していっているため、アメリカにとっても、ウクライナ問題は死活問題になっている。
そもそもウクライナ軍をゼレンスキーはちゃんと掌握しているのか?
誰が主導権を握っているのかよくわからない。
ウクライナ政府の指導者層の実態がよく見えてこない。
それに連日、戦争研究所が作成した戦況報告が報道されてるけど、この研究所の所長は、ネオコン一家のケーガン一族だぞ、と。
それと最も重要なのは、ウクライナ危機のもつ歴史的意味で、今回のような「通常戦」は小国が行なうもので、「核」はその歯止めとなっていたのが、むしろ「核」を保有することで「通常戦」が可能になるという、新たな事態が生じている。 -
ウクライナとロシアの戦争の本質が書かれています。読めば、ロシアに対しての見方が少し変わりました。戦争は絶対に許されない。では、なぜロシアはウクライナに侵攻したのか?その背景を知ることができます。読む価値ありです。
-
ロシア対ウクライナの戦争だと思っていたが、実際はもっと複雑であり、あらゆる国を巻き込んでいる。西側諸国の私たちに欠けている視点を突きつけられたように感じた。
-
ウクライナ問題について、アメリカやイギリスの問題が大きいと述べている。
メディアではロシアやプーチン大統領に対する批判が多くウクライナを被害者と扱うことが多いが、それとは違う視点を持つことが出来てよかった。
世の中、単純に加害者と被害者、善と悪に分けることが危険であることを改めて教えられました。 -
西側の情報しか入らない日本だからこそ読むべき本。
とても読みやすく数時間で読めるので、ウクライナが正義でロシアが悪と考えている人に読んでほしいです。