- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105037
感想・レビュー・書評
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高杉晋作が長州の仇敵とした幕臣・小栗上野介(外国奉行)の暗殺を天堂晋助に指令した上巻に引き続き、波乱の殺陣が展開されていきます。高杉晋作との不和で長州から脱走した赤根武人(騎兵隊総督)は新選組と和合、池田屋騒動から長州の京都での暴挙(禁門の変)に端を発した幕府の長州征伐で、長州の命運が尽きるかという矢先の薩長同盟の出現、時代の大きなうねりに翻弄される人物像を浮き彫りにした、斬りまくり歴史小説でありました。
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天堂晋助実在だと思ってた。
解説で知った -
うっかり信じて読んでいたが実在の人物ではないのね てここまで描くかオイっ(ほめてる)
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「十傑」から漏れるという意味での「十一番目」かとも思いを巡らせ、改めてその十傑と呼ばれる人の並び具合を見てみた結果どうも違うらしい。やはり冒頭部の「伝世十一代で…」の部分が本命として考えるのが妥当なのだろう。
あとがきで気づければもう少し幸せだったのかとも思いつつ、柱島出身の歴史家奈良本晋也氏であるからこそ言える多少キツ目の「もの言い」も楽しませていただいた。世の中には司馬遼太郎を史実と空想をごちゃまぜにした戦犯のように扱う人もいるようだが、そういう人達は彼という人がいなければこんなにも歴史上の人物が今日の我々にとって生き生きと伝わってくることは非常に難しいことであったろう現実を棚にあげてしまっている。奇兵隊の隊員名簿に「高杉晋作」という項目があったとしてそれだけではなんの人となりも伝わってこないし、そもそもそんな名簿を見ようという動機も生まれない。その彼の口を借りてあれやこれやと言わせることにより俄然魅力が備わってくる。シバさんは本人の筆においても「自分は歴史家ではない」というようなことを重ねて言われていたはずだがやはりそうなのだ。我々がシバさんの作品を通して楽しむべきところ、それは彼がそうした史上の人物の所作や口を借りて我々に伝えんとしていたのはなんだったのだろうということを考える場をを与えてくれていることそのものなのではないかと。
で、話の筋もおもしろいのだからなおよい。 -
2019.5.2(木)¥200(-20%)+税。
2019.6.19(水)。 -
権力の交代はやはり武力による決着しかないので、物語の背景で進行するのは薩長連合(倒幕の密約)と先延ばしになっていた第二次長州征伐実行。主人公はまるで幻術のような精妙な剣法で窮地を切り抜けていき、合間に買春・情交する。軍隊移動、通信も迅速な蒸気船の出現が日本を変えた。危機感の無い者は時代に取り残される。倒れるはずが無いと見えた幕府が倒れたのも近代軍隊を編制するのに要員を「火消し、博徒から募った」という武士の不甲斐なさだろう。高杉晋作、坂本龍馬など勝海舟の教え子の活躍が目立つ。司馬遼の描く新政府は冴えないが、青年たちの危機感は「国家」のアイデンティティーとなった。
思想とは「大勢から一人しか救命できない時、誰を選ぶか」あるいは「必ず死ぬとわかった時、何を残すか」といった極限状況でしか試されず生まれず、ちょうど『弾圧下、殉教者が宗教を作る』と言われるようなものか。人が感動するのは“死の克服”。日本に限らず先進国の少子化は社会より個人の幸福追求の結果でしょうが、原発廃棄物処理先送りなど世代エゴイズムもありそう。
高杉晋作、桂小五郎、吉田松陰、伊藤俊輔、井上聞多、中村半次郎、中岡慎太郎、坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通、ぐらいの十人に(奈良本辰也の解説にあるように)無念(非名誉)の刑死を受けた赤根武人を対比しているのではないでしょうか。彼は農民出で国事に貢献するため近代軍隊・奇兵隊の隊長までなったですが藩論が俗論から倒幕に転換したため「国主を救おうと」新撰組に近づいたことが《裏切り》とされました。彼が無私の動機、無比の働きだったことは疑いなく、最期の悲運は不運だっただけなのか志士として名を残す何かが無かったのか? -
面白かった。予想は外されましたけど。ただ、高杉さん存在感あり過ぎ~
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天童晋助が実在したか否かなどには興味はない。司馬遼太郎が書く歴史小説において登場する人物の語りであったり、様子やふるまいはだいたいは小説家の創作なのである。著者は『竜馬が行く』を境に登場人物が実在する小説を書くようになったようだが、天童晋助という長州の志士は存在しなくても、当時の動乱期には同じような人物がいてもなんら不思議ではない。
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天堂晋助という架空の長州藩の刺客の話。高杉晋作、西郷隆盛、坂本龍馬、土方歳三などの維新革命のキーになる人物達がさり気なく登場するのが、読みどころ。