新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫) (文春文庫 し 1-79)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105792

感想・レビュー・書評

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  • まだ読み終わってないが、日本人のメンタリティは今も昔も変わらず、それが問題を起こしていることを今この本を読むと感じさせられる。今だからこそ、皆さんに読んでほしい。
    <本文より>
    P105.彼らは戦争と将棋とは似たようなものだと考える弊風があり、これは日本陸軍のつづくかぎりの遺伝になった。(略)「詰め将棋」が予定どおりにうまく詰まないときは、第一線の実施部隊が臆病であり死をおそれるからだとして叱咤した。とめどもなく流血を強いた。
    P106.このおよそ近代戦についての想像力に欠けた計画をたてたのは、陸軍省の砲兵課長であった。日本人の通弊である専門家畏怖主義もしくは官僚制度のたてまえから、この案に対し、上司は信頼した。次官もその案に習慣的に判を押し、大臣も同様だった。それが正式の陸軍省案になり、それを大本営が鵜呑みにした。その結果、ぼう大な血の量がながれたが、官僚制度のふしぎさで、戦後たれひとりそれによる責任をとった者はいない。

  • ここにレビューを記入してください

  • 2010/11/28

  • 【概要】
    東郷艦隊は黄海にて極東艦隊と海戦するも、一部の敵艦が旅順へ戻ったため、封鎖を続けざるを得なくなる。陸側から港内のロシア艦隊を撃滅するべく、陸軍の乃木軍(作戦参謀は伊地知)に旅順港内が見下ろせる要塞の穴場である二〇三高地を獲るよう依頼するも、乃木軍の単独判断により作戦が遂行されず。
    陸軍は南山、金州、沙河を経て、からくも遼東半島を進む。ただし兵力、火力(砲弾)とも欠乏する中、冬季にもつれこみ戦線が動かなくなる。一方で旅順要塞での戦いが膠着。海軍(薩閥)で山本権兵衛が実施したような内発的な改革を遂げていない陸軍(長閥、山県有朋)では組織が官僚化していた。特に旅順を担当する乃木への命令系統は一本化されていないうえ、乃木軍自体も愚劣。本来なら、単に海軍の支援として二○三高地を獲ればよかった乃木軍が愚劣極まる正面衝突に走り、膨大な数の生命が奪われると共に、戦局そのものが暗礁に乗り上げる。
    その裏で、戦時資金と講和について画策が行われる。加藤是清に託された外債募集は、日本人による海外報道機関の操作が稚拙過ぎたために難航するも、ユダヤ系の支援により好転。また、短期講和へ持ち込むための裏工作として明石元二郎(公使館付武官)に金を握らせ、レーニン等の革命家に接近させ、ロシア国内から帝政を脅かした。

  • オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
    http://books-officehiguchi.com/archives/3927710.html

    満州ではクロパトキンの謎の退却、旅順総攻撃では乃木希典と伊地知幸介の作戦の立て方が下手であるため、死者が多く出たことが取り上げられている。

    陸軍では、物資、弾薬がないため兵士が肉弾となって戦死していく光景も見られるなど、ロシアと比べるとかなり不利に見える日本が、どうして日露戦争に勝ったのか『坂の上の雲3』の感想に続き、疑問に思った。結果オーライのような気もするが、次の『坂の上の雲5』も読み進めていきたい。

  • かなり丁寧に史実を検証して、書かれているな~
    読んでいて、情景がもの凄く想像できて、ぞくぞくした


    それにしても秋山兄弟って破天荒だな~

  • いよいよ開戦となった日露戦争。物資,人員,戦力で著しく劣る日本であったが,ますます勢いを増すロシアの極東における帝国主義は日本にとっての国家の存続をも危ぶまれる脅威となっている以上、戦うことしか選択肢は残されていなかった。ただし、緒戦で勝利を重ね、短期決戦で講和にもちこむことしでのみ、戦争に勝つ方法はなかった。長期化すれば、欧州ロシアからシベリア鉄道を経て、極東に際限なく兵員と武器弾薬の補給が<br />可能なロシアが圧倒的に有利であることは明白であるからである。日本は全兵力をあわせても21万名程度であるに対して、ロシアは100万以上の兵力を擁していた。<br /><br />ロシアの極東艦隊は旅順港に停泊していたが、入り口が狭くなっている地形を活かし、日本海軍はその外側で待機し、事実上封鎖を行った。一方、陸からも舞台が上陸し緒戦で首尾よくロシア軍を蹴散らした日本陸軍は旅順要塞と奉天の部隊の間に入り両者を分断することに成功する。<br /><br />本小説で、著者は折に触れてその後の太平洋戦争における日本陸軍の批判を行っているが、日露戦争においてその官僚的体質や火力軽視かつ精神論重視、兵員の少数逐次投入、現場を軽視した机上での作戦立案といった組織的特徴が既にここで現れていたことを痛烈に批判している。その代表として、旅順攻略軍の司令官である乃木希典とその参謀の伊地知を、繰り返しやり玉に挙げ、彼らの無知無策により膨大な数の兵士の人命が失われていったことへの責任を問うている。

  • ・4/10 読み終わってしまった.4巻は全て日露戦争の話しで終始した.臨場感があって結構面白かったが、話しの進み具合が遅々としてるので、多少のもどかしさも残る.

  • 坂之上の雲〈1〉にレビューを書きました。

  • 乃木さんにイラつく
    戦争は何も生まんよね
    次の慢心を生むだけ

  • 人死にすぎじゃね?

  • とってももどかしい四巻(笑)乃木さんの実直な性格と、伊地知さんの頑固な意地と自信。上に立つ人がどれだけ周りに影響を与えるのかひしひしと実感させられます。司馬さんの雲の上から見たような視点の文章を見ていると、神になった訳でもないのになにか助言したくなりますね…
    この当時の日本の新しい政府は、老化したロシアの政府と違って通気性のよい政府だったかもしれない。ただ、新しい政府の中には熟成された幕府のころの”藩”という意識が根付いていたのも確かで。強さや作戦だけが勝利への道というわけではない、戦争の奇妙さをとても感じます。

  • 情報科教員MTのBlog(『坂の上の雲・4』を読了!!)
    https://willpwr.blog.jp/archives/51086262.html

  • この巻は、読み進むのがつらくて、なかなか読み終えられませんでした・・・

    無意味な戦略の犠牲になり、次々と命を落としていく日本兵たち。
    参謀が自分の固定観念に固執せず、もう少し人の意見に柔軟に耳を傾け、全体が見える人だったら、あんなにたくさんの兵士の血が流れることはなかったのにと思うと、頁を繰るごとに歯がゆさが募り、読むに堪えませんでした。

  • <本の紹介>
    明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。緒戦から予断を許さない状況が現出した。
    -----

    参謀と兵卒それぞれの役割について、非常に考えさせられました。
    参謀は、作戦を立てるのが仕事。でも、参謀的な仕事を他の人がしないかと言うと、そんなことはない。「ああしたほうがいい」「ここはこうするべきだ」ってのは、誰が何をするときにも思うことだと思います。そういった考えられる要素や情報を集約して、時機と兵力と弾薬が限られている中で最も効果的な戦いをする為の作戦を考えること。そして、その状況に変化があれば、柔軟に作戦を変えていけること。それができない参謀のために、どれだけの命が奪われたか。それを痛いほど考えさせられました。背負ってるものをプレッシャーに感じて、自分がつぶれてもいけない。非常に難しいけど、だからこそどんな参謀と戦えるのかってのは大事なポイントなんだろなと思います。

    あと、兵卒については、役割の理解が甘いと結果は概して低くなる。やることと合わせてそこで狙っていることをはっきり伝えないと、全体が見えてない中で結果を出すのは難しいのかなと思いました。だからこそ、現場の力が勝負を分ける。例えばこの本の中では、海軍の夜襲で水雷艇による魚雷攻撃って場面があるけど、「魚雷を打って帰って来る」ことが目的の船と「魚雷を戦艦に命中させて、敵の戦力を削る」ことが目的の船であれば、自ずと打つ距離は変わってくると思います。目的なく仕事してちゃいけないよなー、とか、そんなことを考えさせられました。

    まだまだ自分は戦場で負ける側にいんだろな、と思いますわ。精進精進。

  • 旅順攻撃の司令官に怒りを覚える

  • 日露戦争という一つの事象の裏に存在する無限の関係者たち。
    国内外問わずその一人一人について、どうやったらこれだけの情報を集められるんだろう。。。
    驚嘆の一言。職人芸だぁ。

    人それぞれに性格・才能があって、
    それが遺憾なく発揮される職につけたときの効果。
    つけなかったときの周りへの影響。
    いつの時代にも通じるそんな社会構造を身にしみて感じます。

  • 99.3.20

  • 日露戦争は本当に多くの偶然が重なって日本の勝利に繋がっていったことが伺える。その戦力の差を見れば、どう考えても日本には勝ち目が無かった。しかし、武士道的な精神力や戦術の工夫を駆使して耐えることで、活路が見出せたのだろう。

    一方で現在と同じように無能の管理者がいて、組織がうまく機能しないという状況が起こっていたことに、技術が進歩したとしても人間の営みは変わることのないものだと改めて認識した。

  • まぁ、大河ドラマにもなった有名な話。世界の列強と肩をならべる明治日本の近代化の話。なんというのかな、ナショナリズムの発露っちゅうか、清国、露西亜なにするものぞっ、てなる本。個人的には主人公の秋山兄弟の活躍に血湧き肉踊る。途中で時折だりーな、って思っちゃうんだけど、最後のカタルシスっつーのかアレがやっぱスゴい。4巻。

  • はらはらどきどき、読んでます。

    旅順が落ちなくて、それどころかどんどん人が死んでいく。
    戦争というのは人が死ぬものではあるけれど、
    日本人が日本人を殺している。
    どうしてもどうにもならないものなのか? 何故?
    と苛々しながら。


    日本だけでなく、ロシアにしても、味方を敵と誤認したり
    この巻では英国の漁船を日本の艦隊と
    間違えて攻撃してしまうということも書かれている。


    だけどどちらも、馬鹿にはできない。
    いつ死ぬか分からない極限状態で、ずっと戦場にある。
    もしくは、いつ戦闘が始まってもおかしくないところで日常生活を送る。
    更にそのときの自分たちの戦闘行為で祖国の命運が決まる。
    そんな重圧を背負って緊張状態にあり、
    常に冷静な判断ができるとは思えない。

    ロシア兵の指が日本兵の両目を貫き、
    日本兵がロシア兵の喉を食いちぎって
    組み合ったままの状態で発見された遺体。
    戦争と、兵士の気迫の凄まじさを思った。

  • 月一ペースでなんとか読んできて、やっと中盤まで来ました。
    あと4冊か・・・道のりは長いね。このあと「竜馬が行く」も挑戦したいんだけどなぁ。

    正岡子規が死んだあとぐらいから薄々思ってたけど、この第4巻を読んで実感したのは「坂の上の雲」は司馬遼太郎の作品の中でも限りなくノンフィクションに近い異作だということ。だから教科書を読んでるような気もして、長時間読むにはキツイ。でも、いざ戦いが始まるともう、止まらないし日本軍がなぜ第二次世界大戦であんなことになったのか、そのルーツが垣間見えるのは面白い。

    頑張って読破するぞ!

  • 日露開戦

  • この巻からついに日露戦争が勃発。小説の内容は海戦の状況を著した戦記物の様相を呈してくる。3巻までは明治時代の時代背景や日本政府の外交交渉の状況、秋山兄弟や正岡子規の青春時代が描かれてきたが、4巻以降は戦争の描写が非常に多くなり、作品のカラーが一変する。3巻まで読み進めても、4巻で挫折してしまう人は多いと思われる。私も4巻の途中で止まってしまい、今再度読み進めている最中。読了後にこのレビューは更新予定。

  • 乃木と伊地知、司馬の書くこの物語のとうりであれば、大バカものだ。日本軍の乏しい軍事費、兵隊をどんどん無駄に浪費し、兵士の死体の山と膨大が弾薬等の軍事費を馬鹿のひとつおぼえのような正面攻撃を繰り返す事で使ってしまった。一方で高橋是清がユダヤ人のヤコブ・シフに日本の公債を引き受けてもらうくだり、人種問題が以外なところで日本に味方してくれるのは面白い。いずれにしても乃木、伊地知の繰り出す愚策の繰り返しを読まされれ腹立たしいので★★★。

  • おっと戦争の本か!?

  • 旅順を攻めあぐねる日本軍。乃木とその参謀についてかなりこきおろしているのが目立つ。司馬遼太郎は、(本来勝つはずのなかった)日露戦争において、寡兵をもって敵を討つという間違った戦争美学が形成され、その後の陸軍の暴走につながったという認識のようだ。主役の秋山兄弟はほとんど出てこない巻。

  • 真実は分からないが、この文章のとおりだと乃木希典と伊地知幸介は馬鹿である。このような上司を持った部下は悲惨である。

  • いよいよ挫折…。
    話に聞いた4巻の壁を越えられず…。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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