新装版 坂の上の雲 (5) (文春文庫) (文春文庫 し 1-80)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105808

感想・レビュー・書評

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  • 100年前の日本人と今日の日本人。戦争に対する感じ方が全く異なるのは当然なんだけど、かといって100年前の戦争に対する日本人の思想を100%否定することもできないんだよなぁ。

  • 折り返しの後半。旅順要塞に苦戦し兵をいたずらに殺す乃木軍を見かねて参謀次長児玉源太郎が督戦に赴く。

    天皇の任命を受けた乃木の指揮権を奪うことはありうべからざる事態であったが、総大将大山巌の大器量によりつつがなく実施。児玉の指揮により旅順戦線は解決のめどをつける。

    大器量の大山、大器凡才というべき乃木の対比が光る。


    ○(袁世凱の秘書官、段芝貴の訪問を受けた折に大山が答えて)
    段サン、人間はなにも知らないのに限ります。私もなにも知らない人間の仲間です。何も知らなければこそ、参謀総長にもなり、陸軍大臣にもなり、大警視にもなり、はなはだしきは、文部大臣にすらなりました。何も知りませんから、どんなところにでも向きます。まことに重宝な人間でございます。

    ○(乃木の師である玉木文之進が若い頃に吉田松陰の師としてあったころのエピソード)
    玉木の武士像というのは公的なものに献身することにのみ生命と存在の価値を見出すというもので、そういう精神を純粋に培養しようとし、片鱗の夾雑物もゆるさないというところがあった。たとえば少年のころの松陰が、書物をかかげて読んでいるとき、ハエが頬にとまった。ついそのかゆさに頬を掻いたところ、
    ー聖賢の書を読むのは、公である。その読書中にかゆいからといって掻くのは、私情である。この小さな私情をゆるせば、大人になってからどのような私利私欲をもつかわからない。
    として、松陰をむごいほどになぐったが、そういう玉木文之進の教育を、乃木希典も少年のころ受けた。

  • 日本軍はかなり英国に助けられたのね。あと当時の軍人は日本もロシアもしょーもないのが多いね…

  • NHK放送に前後して読みました

  • 児玉源太郎が指揮することですぐに旅順が落ちました。
    それまでの、戦いはなんだったのだろうかと思ってしまいま
    す。
    旅順が落ちて降伏する時、休戦状態になったのですが、両軍
    の兵士たちが戦いが終わるものを感じ取って両軍で抱き合い
    喜び合うのですが、戦争はなんなのだろうと思います。
    ついさっきまで、殺しあっていたのに。
    後半には、黒溝台での戦いが描かれていましたが、古好を
    中心とした、騎兵隊の活躍がえがかれていました。
    やはり、過信や先入観は危ないですね。こと戦争に関して
    はそう思いました。
    当然なのかもしれませんが、日本軍は常にぎりぎりのの状
    態ですね。
    入念な準備等最大限のことをしたと思いますが、最終的に
    勝利は運が味方したのかと思います。
    また、ロシアのバルチック艦隊の話が書かれていましたが、
    少し退屈でした。
    バルチック艦隊がどんなものかは分かったのですが、長すぎ
    でしたね。
    読んでいて、日本が恐れているほどのものではないのではな
    いかと感じました。
    しかし、このバルチック艦隊と日本海軍がどのような戦いに
    なるのかは興味があります。

  • ついに二〇三高地を陥落させた日本軍。
    児玉大将の対応のおかげだが、もう少し早く決断していれば・・・と思わずにいられない。
    しかし、戦場という緊迫した状況で、どれだけ冷静な判断ができるのか?
    後世の人間が無責任な批評はするべきではないのかもしれない。
    恐らく、自分も含め、現在の平和慣れした日本人でこの緊張感に耐えられるものは誰もいないだろう。
    日本のために、命を懸けた全てのご先祖様たちに感謝。

  • 「勝敗はやっと五分五分である。それを、戦闘戦術に苦心して何とか六分四分にもってゆきたい~満州軍総参謀長 児玉源太郎」これが日露戦争の指導原理であった。
    この章の物語は203高地占領~旅順艦隊撃滅~コサック騎兵との対峙と日露戦争のヤマ場へ向かう途中まで。秋山好古・真之兄弟登場。

  • 『坂の上の雲』第5篇。

    同じ司馬遼太郎の『竜馬がいく』との違いって、当事者意識なのかなと思う。竜馬は一人称、雲は三人称で書いているシーンが多くって(もちろん、竜馬だって三人称口調で書いているけど、人物を追いかけるっていう観点からして、事実(戦況)を追って行っている雲とは違う気がする)、前者の方が読みやすい。

    でも歴史を知るってことはすごく良いことだと個人的には思っている。そこから導き出される方程式なんか見つけられたら最高だし、何よりロマンチックだよね。そんなことを考えつつ。星3つ。

  • 司令塔たる人物が備えるべき資質・・・
    人格,適性,職務遂行能力・・・
    責任感,想像力,知性・・・
    行動力,判断力,決断力・・・
    理論,経験,洞察力・・・
    創造性,瞬発性,カリスマ性・・・

    万能な人物はそうそういないだろうが,
    欠けていていいものがあるとしたら
    それは何だろうか?

  • 文・堺雅人(最終回)での紹介著書

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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