青が散る (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348021

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わった。
    何回も読んだ、僕の中では最高の青春小説。
    何より主人公の椎名燎平が純真で清々しく、一心同化して読み進めてしまう。
    テニスに学生生活の全てを捧げているのだが、テニスだけではなく、周りの人達との関わり合いの中で、燎平が成長していく様がきちんと描かれている。
    再読して本当に良かった。
    それから、燻っていた僕のテニス熱が、また復活してしまった。

  • 宮本輝氏の青春小説。自身の学生時代の経験に基づいて書いたようだ。
    新設大学に入学した青年が、テニスサークルに入り、活動や仲間たちとの交流を通して4年間成長していく話。
    大学生活を送ったことのある人には、ある程度普遍的な経験であろう。昔の人間関係の失敗や、恥ずかしい思い出など、誰にでも思い当たることがあるのではないだろうか。
    テニスというスポーツを題材にした本格的な小説は、本書が初めてと言われるようだ。確かにかなり専門的で詳細なテニスの描写が続く。テニス部の仲間たちも魅力的だ。主人公は、知人の死や恋愛などに向き合う。
    最初は感情移入するのに時間がかかったが、軸がテニスで硬派な内容で、だんだんと引き込まれて行った。そういえば、学生時代はこんな感じだったかなぁ、後悔もたくさんあったな、などと懐かしかった。月並みだが、後から振り返る青春のほろ苦さ、甘酸っぱさが凝縮されている。
    字が小さいので、目が悪い人は上下巻に分かれている版を読んだ方がいいかもしれない。

  • 浪人時代に読了

  • それぞれ少しずつうまくいかない感じがリアルで、むしろ自分の学生時代の周りの雰囲気よりよっぽどリアルだったかなあと思う。ちょっと長い。

  • 何がいいって、このタイトルと表紙絵の美しさ。しかし長いこと積読。気が向いたら読もう、いつか…いつか…

  • テニスは奥が深い。

  • 1985年刊行。

     大阪郊外の新設大学に通う大学生の部活、恋愛、友情、別れを描いた青春小説の秀作。
     本書を原作としたドラマがきっかけで、これを初めて読んだのが高校生の時。ドラマはやや軽妙なコミカル路線だったので、本書の最初の印象は「ドラマと違うやん」というものだったが、徐々に主人公たちの真摯な生き方に共感していったように思う。
     「王道と覇道」「二流の上は一流の下よりもはるかに強い」「文武両道であってこそ青春や」「若者は自由でなくてはいけないが、もうひとつ、潔癖でなくてはいけない」「自由と潔癖こそ青春の特権」。
     このような心に響く台詞、奥手すぎる燎平のもどかしい様。
     そのような葛藤に溢れる本作を個人的には何度となく読み返してしまう。そんな小説である。
     今の大学生は、この書をどう読み解くのだろう?

  • 80年代の時代背景、こんなんだったかもなーって感じの朝ドラ見てるような感覚で読めました。ステキな作品です。

  • 甘酸っぱさというかほろ苦さというか切なさというか、そういうものがこの本には溢れている。青春が凝縮されているのだ。 

  • 主人公の椎名燎平は、新設大学に入学後、金子慎一という学生に誘われて、テニス部の創設メンバーとなります。最初はあまり気乗りのしなかった燎平は、女学生の佐野夏子に魅かれていくうちに、しだいにテニス部の活動にのめり込み、4年間の大学生活をテニスと友情、そして夏子への淡い恋に奉げることになります。

    精神の病を抱えながらもテニス部で活躍する安斎克己、ひそかに燎平に想いを寄せながら在学中に結婚してアメリカに渡ることになる星野祐子、歌手としてデビューしながら極道の妻との不倫に奔る「ガリバー」こと崎田照夫、祐子に想いを寄せ「覇道」のテニスを追及する貝谷朝海、英文学史を教える辰巳圭之助といった人物が織りなす青春小説です。

    テニス小説ということで、もう少しさわやかな内容を予想していたのですが、意外に泥臭い男子大学生の姿が描かれています。祐子と夏子の2人のヒロインとの淡い恋愛は、少しだけ男にとって都合の良い設定であることが少し気になるものの、切なさのにじむ展開に、やはり心を揺さぶられてしまいます。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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