下流の宴 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 169
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  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167476403

感想・レビュー・書評

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  • 上に上がりたいと思っても努力ができない、というのと、そもそも上に上がりたいと思わない、という差。息子を持つ母親としては翔の不甲斐なさに絶望を覚えながら読んだが、一端の女性としては可奈の強かさや珠緒のひたむきさ、冷静さに共感を覚えた。そして多くの人が大人になるに連れて、見えないヒエラルキーの中で互いに格付けし合って生きていく現実をこの本は生々しく描いていて、ちょっと心をえぐられるところもあった。可奈の見栄っ張りや母親由美子の「上から目線」は傍から見れば滑稽だが、誰でも思い当たることはあるだろう。結局、人生の幸せって本人にとってしか分からないよなぁと色々考えながら読めた本でした。

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  • 医者になりたい彼女に一票!

  • こういう考え方かなりすずはあるよね
    この本に出てくる人と全くおんなじってわけじゃないんだけど、エリート意識っていうか良家のみたいな家柄みたいなのは気にして生きてきた。特に幼稚園から小5くらいまで。

  • 以前、NHKのドラマで見てわりと面白かった記憶があって読んでみました。結末は忘れていたので楽しく読めた。
    エンターテインメント性があって気軽にぐいぐい読めて面白い。とある中流家庭の息子が高校を中退してフリーターになり、同じくフリーター娘・珠緒と結婚したいと言い出したことで、この家庭の主婦・由美子は「うちが下流に落ちてしまう」と危機感を募らせ、結婚を阻止しようと決意するところから始まる物語。見下された珠緒は一念発起して医者と目指すと宣言。物語は由美子と珠緒の視点から描かれる。由美子の偏見はひどいなと思いつつ、わからなくはない。「住む世界が違う」なんてことは普通は口にしないけど、誰もがどこかで思っているんじゃないかな。すみ分けてあると思う。超上流階級は別世界だけど、下のクラスとは違うという自負。当たり前と思っていたことが崩れていく由美子の恐怖と焦りはわからなくはない。それにしても、この家の息子・翔のあまりの向上心のなさと無気力にあきれ、娘・可奈の見栄っ張りと計算高さには不快感を抱いた。それに比べて珠緒の潔さにすがすがしいものを感じました。ものを知らなかったかった故のまっすぐさ、一所懸命さ。最後は珠緒の一人勝ちだったような。ちょっとスカッとしました。福原家の人々はこのまま変われないんだろうなぁ…

  • スラスラ読める、面白い。
    勉強、大事。

  • リアル!
    さすが林真理子、女のドロドロした感情を書かせたら天下一品。
    中だるみする部分もあったけど、ラストにかけての展開は鳥肌。おもしろかった!

  • 中の下が日本人が目指す平均値という中流意識の
    時代から、色んな価値観の世代が産まれてきてることを面白く読みました。常識の観念も変わっていくのだろうなぁ。。。

  • 誰でも無意識に心のどこかで比較しているのかもしれない。
    誰かと比較して安心したり悔しがったり、そんなくだらないことが何よりも大切な人たちだっている。
    由美子は自分の家庭が中流だと信じている。
    とりあえず自分の家はあり、そこそこ満足のできる生活をしている。
    長男・翔の子育てには失敗してしまったかもしれないが、由美子は諦めてはいない。
    いつか翔も一人前の人間として目覚めるときがくると信じている。
    定職にもつかずにアルバイト暮らしを続ける翔が突然結婚すると宣言した。
    相手は同じようにその日暮らしのアルバイトをしている珠緒。
    母親として由美子にも息子の結婚に夢があったのは何となく理解できる。
    でも、結局は当人同士のことなのにどうしてあんなにもムキになって反対したのだろう。
    別に親の同意がなくても結婚はできるのだし、報告しただけマシなような気もするのだけれど。
    由美子には由美子の人生があったように、翔にも翔の人生がある。
    将来どんなに困ってもそれも翔の人生で、彼自身が納得しているのなら仕方ない…と思うのは親の気持ちを知らなすぎるだろうか。
    珠緒の頑張りには驚かされた。
    由美子を見返してやりたい!という気持ちがあったとはいえ、受験に向かって必死に勉強する珠緒はすごい。
    そんな珠緒を翔はどんな気持ちで毎日見ていたのだろう。
    由美子のキャラクターもかなり強烈だけれど、最後まで読むともっと強烈なキャラがいることに気づく。
    母親である由美子からしたら地団駄踏むほどふがいない息子だろうけれど、何があっても自分を曲げない翔はある意味突き抜けた存在だ。
    ラストで交わされる翔と珠緒の会話は、何となく納得できるものもあった。

  • テレビドラマ版は痛快だがこちらは…

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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