コルシア書店の仲間たち (文春文庫 す 8-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167577018

作品紹介・あらすじ

1950年代の半ばに大学を卒業し、イタリアへ留学した著者は、詩人のトゥロルド司祭を中心にしたミラノのコルシア書店に仲間として迎え入れられる。理想の共同体を夢みる三十代の友人たち、かいま見た貴族の世界、ユダヤ系一家の物語、友達の恋の落ちつき先など書店の人々をめぐる情景を流麗に描いたエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  •  イタリアミラノにある書店に出入りする仲間達について書いた本。
     自分にはこのスタイルが合わなかったのか次々に語られていく書店の仲間たちのエピソードがあまり頭に入らなかった。
     時間を置いてもう一回読んでみたいと思う。

    2023/10 評価3.5

  • ミラノに実在した書店に出入りする、様々な境遇の人たちにまつわるエッセー。
    それぞれがそれぞれに不幸を背負い、もがきながら不器用に生きている。
    みんながハッピーではないけど、そんなものなのかも知れない。
    他人が見たらそう見えてしまうけど、本人はそれなりに時々幸せを感じたり。
    結局自分もそうかもと思ってしまう。

  • 寂しいけど、懐かしくて、愛すべき日々。
    最後の一文が、好き。

    裕福で、自立心があって、聡明な女性が、何十年も前に切り開いた日々が、淡々と書いてある。

  • いただいた本。
    須賀敦子さんはじめて。ミラノのことを親しく懐かしく描いていて、とてもよかった。感動物語ではないのに、じんわりと感動する。その時から時間が経っているからこその微妙な距離感、当時の空気も感じられるのもおもしろい。文章がすき。

  • ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

  • 「トリエステの坂」を読んだのはどれくらい前か。
    内容が強烈に記憶に残っているわけではない。
    なのに、読んで以来、なぜかこの人の文章を他に読みたい、と思うようになっていた。
    控えめで静かな文体に惹かれたのかもしれない。

    1960年代ごろ。
    著者がミラノのコルシア書店に関わった日々についてのエッセイ集である。

    コルシア・ディ・セルヴィ書店。
    前身は大戦末期の地下組織で、戦後サン・カルロ教会の一角を借りて、キリスト教左派の聖職者や知識人たちが集まって作った書店とのこと。
    この書店の運営に関わっていたペッピーノと、留学生だった筆者は結婚する。

    運営に関わる人々の人生の変転。
    (筆者自身も、やがて夫を失い、東京に帰ることになる。本書は、東京に帰ってから、そのころを回顧して書かれたものだ。)
    客たち、教会のボランティア、ボランティアに支えられていた人々の生活。
    パトロンとして関わった上流階級の人々。
    ミラノの社会、歴史の厚みが見えてくる。

    この本を読んでいて、自分はイタリアという国を全く知らないなあ、と感じた。
    本書の描く時代は、だいたい60年代。
    まだ戦争の記憶も生々しかったころだろう。
    イタリア人がドイツ人に対して抱く複雑な感情も描かれ、ちょっとドキッとする。
    ヨーロッパ系ユダヤ人だけでなく、中東にルーツを持つユダヤの人々も交錯する。
    当たり前かもしれないが、それが南ヨーロッパだということだと気づく。

    ミラノの街を知っている人が読むと、もっと実感を伴って読める作品かもしれない。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 初めて読むタイプのエッセイだった。
    エッセイっていうジャンルにくくっていいのかな?
    1950年代から1970年代にかけてのイタリアが、ミラノや友人たちが、あまりにも日本の…いまの自分とかけ離れていて、フィクションを読んでいるような気持ちだった。
    でも、フィクションでは書ききれない、友人たちの気質、思い出、部屋の様子…明るいイメージのあったイタリアで、こんな人たちがこんなふうに暮らしているのか、と新鮮な思いだった。

    印象に残っているのは、ユダヤ人の家族の話…戦争の記憶が鮮明な時代のヨーロッパは、自分が想像している以上に人の暮らしや考えに影響を与えていて、それを経験した人のことを読むのも初めてだった。

    著者の体験と友人たちが、遠いものに感じていたけど、最後の一編、
    コルシア書店は私たちの理想だった。仲間たちそれぞれが思い描いていた書店には相違があって、でもそれを無視していちずに前進しようとしてた。
    でもその相違を知ることで、人それぞれが自分自身の孤独を確立し、人生ははじまっていく。
    そのことを長い間知ることができなかった。
    というような内容の一文を読んで、懐かしさを感じるとともに、まだ自分は若いので、そういう理想を追い求める場所を羨ましく感じた。

  • 60年前にイタリアを経験した日本人。この本を片手に持って、イタリア旅行をしてみたい。

  • 4.04/1069
    内容(「BOOK」データベースより)
    『1950年代の半ばに大学を卒業し、イタリアへ留学した著者は、詩人のトゥロルド司祭を中心にしたミラノのコルシア書店に仲間として迎え入れられる。理想の共同体を夢みる三十代の友人たち、かいま見た貴族の世界、ユダヤ系一家の物語、友達の恋の落ちつき先など書店の人々をめぐる情景を流麗に描いたエッセイ。』

    『コルシア書店の仲間たち』
    著者:須賀 敦子(すが あつこ)
    出版社 ‏: ‎文藝春秋
    文庫 ‏: ‎237ページ

    メモ:
    松岡正剛の千夜千冊 191 夜

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著者プロフィール

1929年兵庫県生まれ。著書に『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』『須賀敦子全集(全8巻・別巻1)』など。1998年没。

「2010年 『須賀敦子全集【文庫版 全8巻】セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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