クライマーズ・ハイ (文春文庫 よ 18-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659035

感想・レビュー・書評

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  • 地方紙のスクープ、滅多にないんだろうな。新聞記者は自分が一番と勘違いしているんじゃないかな!

  • 日航事故だけでなく、仕事や家族など主人公を取り巻く人々の感情も描かれていて、読み応えのある一冊だった。
    命の重さに、小さいも大きいも、軽いも重いもない、と綺麗事は言えるけれど、実際自分の大切な人が亡くなったときと全く知らない他人が亡くなったときも、大きな事件や震災と病気と、様々な面で無意識に優劣をつけているよなぁ、と

    講義の電話をかけてきた人々は勿論悪意があるわけじゃない

    悠木は仕事に熱く、そして少し臆病だと思う
    家族の向き合い方に怯えがある、それは仕事に対してもそう
    啖呵を切ったかと思えば酷く悩んで決断を遅らせるときもある、そこをもどかしく感じるときもあった。でも、それがより悠木という人間の人間らしさであり、優しさかもしれない


    こういう事件を「フィクション」「娯楽」のみとして楽しむのでなく、こういったことが実際にあったとしっかり念頭におき、事実をキチンと知ること、も大事にしなきゃな
    忘れてはならないことは沢山この世にある

  • 仕事への熱量がすごい。
    悠木もそうだが、佐山が狂気じみたほどの熱量。佐山は映像作品だと堺雅人が演じているらしく、観てみたい。
    悠木がスクープ負けしたシーンは失望した。なに慎重になってんだよ、自分なら勝負してたな。個人的なMVPは燐太郎。衝立岩で悠木をリードする燐太郎が頼もしく見えた。

    好きなシーン
    ・佐山の魂の原稿
    ・配送車の鍵を隠すシーン(他部署との攻防)
    ・異動前に病室の安西に話しかけるシーン
    ・最後の娘さんをくださいのシーン

  • ジャーナリズムの世界の複雑な人間模様が緻密に描かれていて、読み応えのある一冊だった。

    「下りるために登る」という言葉が、
    記者人生をかけた決断を迫られる悠木の背中を押したことは間違いないだろう。

  • すごく面白かった。

    小さい命と大きい命、軽い命と重い命、
    言われてみれば確かにその通りだなあと思った。
    考えさせられることが多い一冊。

  • 2023.10.14
    心とか、気持ちとかが、人のすべてを司っているのだと、こんな時に思う。

    だったらまた書けばいい。

    下りるために登るんさー。
    安西の言葉は今も耳にある。だが、下りずに過ごす人生だって捨てたものではないと思う。生まれてから死ぬまで懸命に走り続ける。転んでも、傷ついても、たとえ敗北を喫しようとも、また立ち上がり走り続ける。人の幸せとは、案外そんな道々出会うものではないだろうか。クライマーズ・ハイ。一心に上を見上げ、脇目も振らずにただひたすら登り続ける。そんな一生を送れたらいいと思うようになった。


    昔読んだ時も、昔映画を見た時も、抜きネタをポシャった所、苦悩の末スクープを落としたところしか印象になかったけど、久しぶりに映画を観た時のあの感触は確かだった。物語の中心はそのあと。久々に見た映画でもそうだったけど、白河社長が乗り込んできてからの応酬が熱い。まさに『本当に今迄は幸せな人生だったと感謝している。』そして題名のクライマーズ・ハイ。そうか、そういうことかとストンと胸に落ちた。

  • 面白かった
    ただ、日航機墜落事故の小説というより
    新聞社内の派閥争いであったり
    板挟みになる主人公の苦悩の物語だった

  • 久し振りに重厚な小説を読んだという印象。
    筆者が上毛新聞の記者であっただけに描写が深くリアルだ。

    自分自身は日本航空123便墜落事故についてあまり深くは知らないが
    衝撃を窺い知ることができる。
    現場に行った人が、行っていない人にはわからないという感覚になるのも無理は無いし
    自覚できないストレスも蓄積したことだろう。

    一番好きなキャラクターは佐山だろうか。
    大久保連赤世代の社員が邪魔をしてくるところは読んでいて正直イライラしたし、
    全権デスクと言いつつちっとも全権が委ねてもらえないところも歯がゆい。
    書き得だと思ったのに事故原因を書かなかったのは自分としては意外な判断だった。

    良くも悪くも昭和の世界で、正直自分の感覚ではしっくりこないところは多かった。

    当時のことだけでなく、現在の主人公の視点も交えて書かれており
    登山のシーンはとても良い。
    タイトルを聞いて始めに期待したほど登山がメインの話ではないが
    作中にあったとおりクライマーズ・ハイは
    解けた時にまだ山登りの最中だった時恐怖で足が竦みそうで
    色々とタイトルについても考えさせられた。

  • 感情が交錯する人間模様。
    そこには、「うれしい」「楽しい」「悲しい」「苦しい」、そんな単純な感情はない。
    そこには、「いい人」も「悪い人」もいない。
    ただひたすらに、「成長できたと思われる自分」と、「何も変わっていないように思われる自分」が存在しているだけ。
    時間は流れていくが、前進と後退を繰り返し、進化と退化を繰り返す。
    曖昧な感情の曖昧な変化。
    それこそがノンフィクション。

  • 夏に読むオススメ本だとどこかで知り、何年か前に購入してからずっと積読だった本。
    分厚さと題材の興味のなさになかなか手が伸びなかったけど、VIVANTから堺雅人にハマり、その人が出ている映画を見る前に原作を読もうと手に取ったのがきっかけ。堺雅人すげえ。
    で読み始めたら横山秀夫まじすげえになった。
    重くて分厚い本なのに続きが気になって一気読みした。クーラーのきいた部屋で読んでいたのに、本から伝わる熱気で何度か汗ばんだ。新聞記者、飛行機事故、登山。すべて興味ないのにそれでも読まされた。

    凄惨な現場を知るために、私たちが情報を得るために、彼らはどれくらい苦労しているのか。
    今まで目を向けていなかった事柄について初めて考えた。

    正直いって、なんで一面に載せないの?もったいねえ!とすごく思った。地方新聞が輝き、男たちの苦労が報われる話だと思って読んでたからめっちゃびっくりした。今流行りの中小企業が大手企業に勝つ話じゃないんかい。
    でもその後の「新聞紙じゃなくて新聞を作りたい」って言葉に胸を打たれた。ああああーーーー!
    あと、遺族だけはクレームをいれなかったってとこ。
    やはり善意の偽善者が一番の敵や。

    夢のような一週間を堪能できました。
    暑くて、だけど爽やかな夏。読後感もたまらん。

    どこの会社でも派閥っていうのはあるね。社内政治が一番めんどくせー!
    でも居酒屋での啖呵とか、新聞記者としてのプライドとか、クソみたいな男だと思っていた奴らが変わる様はすかっとした。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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