横道世之介 (文春文庫 よ 19-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 872
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665050

感想・レビュー・書評

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  • 知人に勧められて。
    表紙、タイトルからは自分からはあまり選ばないだろう雰囲気の本だなぁと思ったけど、これが予想を裏切られて面白い!
    主人公世之介ののほほんとしたところを表す文体が面白く、所々吹き出すくらい。
    平凡な大学生の、平凡な日常の1年間が淡々と綴られているストーリーなのだがそこがまた良く…

    時々未来と繋がる構成も良かったし、最後の悲しい結末も救われるような終わり方になっていた。
    映画化もされているとのことで、そちらも良さそうだなぁ。

  • 続編を読むため再読


    なかなか手付かずで積み本になっていたが
    読みはじめたらやっぱり面白い。


    特別何が起こるって話でもないのに
    小気味良い口調が心地よく
    どんどん好きになっていく。


    途中で現代に戻って
    世之介を回想する場面は
    誰のことかなと想像しながら
    楽しく読ませてもらいました



    世之介は亡くなってしまうが
    続編はどんな構成になってるのか楽しみです



  • “結局自分はこれまで誰も傷つけたことはないんだな、と早速結論づけようとした時、ふと横を歩く祥子が目に入った。
    ああ、そうか、と世之介は思う。誰かを傷つけたことがないんじゃなくて、傷つけるほど誰かに近づいたことがなかったんだと”

    上京した18歳の世之介の一年と、世之介が出会った人々のその後の人生とが織り交ぜて描かれる。その辺の映像の移り変わりが、描写として全く違和感無くてすごいやと思う。吉田修一作品がたくさん映像化されるのはそういう面もあるのかなあ。
    大抵、社会人の手前で、育った家庭の中で造られた価値観が一応は完成して、なんだか世の中を知ったような気になるんだけど、でも世界はまだまだ広くて、自分が知らない絶望も幸せも、もしかしたら、まだまだたくさんあるのかもしれない……みたいなことに気付きだす年頃っていうか、新たな船出っていうか、蛙が井戸から大海に漕ぎ出す感じっていうか、そんなのを世之介と追体験できる感じ。生きてることに良いも悪いもないよねって気分になれる。
    何か起きたらその都度、丸腰の自分をぶつけるしかない。コテコテに武装してしまうのはつまらないなと、世之介を見てると思う。
    吉田修一の文体の日常感みたいなのが大好きで、最近たくさん読む。

  • 大学進学のため長崎から上京した横道世之介の、一年間の生活が綴られている。
    新しい人との出会いは、青春の扉が開かれる瞬間そのものだ。かけがえのない貴重な時間。
    恋人との出会い、カメラとの出会い、友人や先輩。
    普通の大学生のストーリーなのに、何故か震えが止まらなかった。
    純粋な気持ちに戻れます。

  • 世之介のあまりにも頼りなげな様子にピントのズレた祥子。
    バブル絶頂の東京。
    そして間に挟まれる数年後の彼ら。
    先が不安になる要素がありすぎて読み進めることが怖くなる。
    しばらく放置していたけれど、みなさんのレビューで「ほっこり」「あたたかい」という言葉に励まされて再開。

    「居ても立ってもいられない時、世之介はそのこと自体を忘れようとするタイプ」ってどんなタイプだよ・・。
    九州から東京の大学へ出てきた世之介。「いろんなことに『YES』って言ってるような人だった」という彼が、友人の結婚、彼女との夏の出来事、高級娼婦と噂の千春との出会い、なんとなく巻き込まれ、何時の間にか「隙がなくなって」東京に「帰る」人になっていく。
    「(YESばかり言ってる)そのせいでいっぱい失敗するんだけど、それでも『NO』じゃなくて『YES』って言ってるような」
    「中途半端じゃなくなったら、ほんとに世之介くんじゃなくなっちゃうって。」
    それでもやっぱり、そんな風に言われる世之介が最後にぼんやりと何かをつかんで、一歩踏み出していく。

    「世之介と出会った人生と出会わなかった人生で何かが変わるだろうかと、ふと思う。たぶん何も変わりはない。ただ青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世の中には大勢いるのかと思うと、なぜか自分がとても得をしたような気持ちになってくる。」
    確かに、私もとても得した気持ちがしてる。

  • である調がなんだかクセになる、世之介の青春ストーリーでした。最後は映画のラストシーンみたいに美しかったです。

  • 「あんたはいつもどっか抜けてるけど、その分、欲がなくてよろし」
    のほほんとしている世之介は人の心を和ませる力があるなぁ。それでいて、倉持やホームの女性、猫ちゃん、何の見返りも求めず、というかほぼ無意識で、たくさんの人を救っているんだもん。本当にいいやつ。

  • すらすら読んじゃいました!大学時代の時間の流れ方とか、自分が宙ぶらりんな感覚とか、色々思い出せて嬉しくなりました!横道世之介のような人間になりたいな。

  • だいぶ前に読み終わって、詳しいストーリーは思い出せませんが、読み終わった後の余韻にふける時間は長い作品だったことははっきり覚えています!!

    あぁ。。世之介、、あぁ。。はぁ。。愛されてんな。はぁ。。

    ↑本当にこんな感じで切ない気持ちになってました笑

  • 疲れた時に読むべき

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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