ドラママチ (文春文庫 か 32-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2008
感想 : 216
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167672065

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんは何気ない日常を描くのが本当にうまい。そしてどの物語にも喫茶店がうまく絡んでいて、そこを通した人間模様もありありと光景が浮かんできた。1番最後に読んだからかもしれないけど、寿美子の好きな喫茶店での家族の風景が1番印象に残っている。あと、途中の占い師の言葉「あんたたちに共通してるのは、ケーキの食べ放題にのりこんだ欲張りなお嬢さんってことだよ。何から食べようか、どうすれば元が取れるか、考えてるうちに時間制限が終わっちゃう。」は胸に刻んでおこうと思う。

  • とても好き。

  • 『待つ』ことをテーマに描かれた、8編からなる短編集。

    物語ごとに、待っているテーマは違うんですが、やっぱり人は『待つ』という行為のその先には、なにかしら期待するものがあるんだろうなー。という気がします。

    私が好きなのは「ヤルキマチ」と、表題作の「ドラママチ」

    「ヤルキマチ」は、タイトルが今の私にピッタリな感じ。
    私のやる気はいつ出てくるんでしょうか。誰か教えてください。

    「ドラママチ」は、自分の人生が少しでもドラマチックになることを期待してるのにも関わらず、現実はどうやっても現実で、それ以上でもそれ以下でもない感じが、なんか分かるなー。って感じです。

    人生って、意外と劇的ではないんですよね。
    でも、やっぱり自分の人生って、みんな何かしらの期待をもって生きているんだなー。なんてことを思いました。

  • 読みやすい

  • ゴールマチ
    大好きなドラマ、「大豆田とわこと3人の元夫」の、大好きなキャラクターかごめちゃん。この話のキクヨとチエちゃんは、とわことかごめちゃんみたいだなって思った。
    かごめちゃんが昔から横断歩道のない道路を渡れなくて、とわこが喧嘩した時も一緒に手を繋いで渡ってあげてたのがとても印象的で、喧嘩ができて自分の恥ずかしいところをさらけ出して叱りあえる同性の幼馴染に憧れができたのだけれど、ゴールマチのふたりもそうだった。恋にゴールを見出せなくたって、何年経っても居心地の良い場所だとお互いに思っていられるような、そんな友人がいたら、まさにそこがゴールじゃないかって。

    ドラママチ
    これまでの話で一番自分の将来に近そうな感情で、実感を伴ってぐんぐん頭に入ってきた。主人公がバーに入って「若い子」を見て、「世界の中心が自分たちで、実際の姿と、思い浮かべる自画像とのギャップに気がつかない年齢。」と形容するシーンでがんときた。急に彼氏に冷めるとき、私でいえば、トルコアイスのお兄さんに弄ばれて鼻にアイスをつけた彼をかわいいではなく恥ずかしいと思ったとき、みたいな、そんな、育んできたドラマチックな愛が実はつまらないものだと気付いてしまう瞬間の恐ろしさには心当たりがあって、だからこそすごく怖くなった。自分が主人公でもなんでもなく世界のOne of themであることをリアルに実感してしまう時が怖いな。
    そんな絶望に近い感情を感じさせておいて、後半大家の老婆が登場してから一気に光がさす。「デートは買い出しになり、ディナーは夕ごはんになり、王子さまは蛙になり、それがきっと私のドラマなんだろう。起承転結の、承をずっとリフレインするような、そんなドラマなんだろう。」この言葉が刺さった。承のリフレインを、歩いて5分くらいのところから始まる喫茶店巡りを、楽しめるような心を失ってしまっちゃダメだね。プロポーズはしてほしいけど。

    ショウカマチ
    流産の話が出てくると突然、ふたりのレスの話の重みが変わってくるからすごい。最初はあっけらかんとした性格にみえた主人公にどんどん厚みが出てくる感じ。夫婦の親密さの意味もちがった印象を与える。誰かの存在がきっかけだったとしても、結局立ち直るのは自分だよね、自分を助けられるのは自分だけ。はっちゃんはえらいなと思った。
    「夫と私はかなしみに対する対処法がまったく異なるのだと、風呂場から聞こえてくるシャワーの音を聞きながら私は深く理解する。私は浮上しようとし、彼は底に足をつけるため潜る。私は手放そうとし、彼は自分のにおいをつけるように抱えこむ。私たちはたぶん、いくら相手を愛したって信頼したって、おたがいがそうされたいように助けてやることはできない。そうだ、私だって夫を助け、救うことはできない。」

  • 日常に飽きてマンネリ化し悪い部分ばかりがクローズアップされてこうやって一生終わっていくのかと絶望する瞬間を切り取ったような話が多かった。
    結婚しててもしてなくてもそれは同じ。
    それでも、つまらないと思ってる日常の大切さに気づく瞬間もある。

    幸せいっぱいの人は読まない方がいいけど、日常に絶望を感じることがある人はそれなりに楽しめる気がする。

  • ゴールマチとワカレマチが好き

  • マチ…たくさんの街と待ちか。

  • 電子書籍

    ドラママチ‥ドラマティックな街なのかと読み始めたら
    待ち。だった

    ラストのショウカマチの喫茶店は、あの喫茶店かしらと思ったら
    私も、すれ違っただけの人もきっとみんな何かを待っているんだろうな

    でも、私は何を待ってるんだろう(o'ω'o)?

  • 短編小説
    それぞれの主人公の気持ちがわかる。
    本当にリアルな話が多いから
    自分が直面したらどう乗り切るかなと考えながら読める。
    恋愛のターニングポイントに直面した時、
    自分と重ね合わせてしまう短編小説。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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