還るべき場所 (文春文庫 さ 41-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (623ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167684037

感想・レビュー・書評

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  • 読了

  • 山にも登らないくせに山岳小説好き、野球やった事無いくせに野球漫画が好き。実際にやるかと言われれば二の足を踏みますが。
    僕の中では夢枕獏の「神々の頂」という金字塔が有るのでそこを超える事は困難ですが、この本は純粋に山岳小説としての素晴らしさでは比肩していると思います。
    翔平の人生立て直しの物語、商業登山の功罪、自然に存在する山を登る権利の所在など、色々な要素が有りますが全て登山に関する事なので、集中力を欠く事無く読めます。


    主人公の翔平以上に、大会社の会長でありながら山にのめり込み、公募登山に応募してくる神津の存在がとても大きい。
    彼の事が大好きになってしまったのでむしろ彼の魅力を大いに語りましょう。

    神津物語
    ①還暦だが50代に見える

    ②医療メーカーを一代で大企業に

    ③役員を押し切って見通しの立たないペースメーカー業界へ参入

    ④自分が心臓疾患なのでそのペースメーカーを付けてエベレストに登り自らが広告塔になり、数年で世界シェア10%へ。

    ⑤ペースメーカー付けているにも関わらず、世界的なクライマーの翔平から見ても実力が高い

    ⑥山登りしているうちに会社が乗っ取られそうになるが、一度うまい汁吸わせておいて一気に足元を掬う獰猛な経営者の面も

    ⑦お金を払って山登りに来ているが、旅行会社からは重要な戦力とカウントされている

    かっこいいなあ。こういうかっこいいおっさんと知り合ったら付いて行っちゃうなあ。

  • ネパールの山岳を舞台にした小説。
    山でフィアンセを失った主人公が自分を取り戻す小説。
    後半の救助劇はハラハラして寝る間を惜しんで読み進めてしまいました。

    主人公は勿論ですが、とりまく人物の物語も面白く飽きさせません。

    大企業社長70歳?のサブストーリはこんなおじさんになりたいと思いました。

  • 世界第2位の高峰にして、カラコルム山脈の最高峰K2。その登攀ルートは世界最高峰エベレストよりもはるかに難度が高く、その山容からも「山の中の山」とも評されます。登場人物たちにとって、なぜK2が「還るべき場所」なのか。文庫で600ページに及ぶ大作ですが、全く飽きさせることなく物語に没入できます。
    標高8000mを超える領域がいかに人間にとって生命を脅かされる危険な場所であり、そのような高峰の登攀とはどのような作業であるのか、リアリティ抜群な描写でどんどん引き込まれていきます。
    8000m峰の頂上からの雄大な眺望はこの作品を読んでみて是非、見てみたいとは思います。でも実際に登ってみようという気には残念ながらなれません。あまりに危険過ぎます…。

  • 最後の数ページに心が締め付けられるような感動を覚えました。まさに翔平にとって生きるために「還るべき場所」。
    題名と晴れたK2の表紙がいいですね。これこそ主題。
    問題児3人組の引き起こすアクシデントの伏線からラストまでが見事。傑作です。

  • 「還るべき場所」という題名の意味にじーんときた。

  • 笹本さんの既読の本の中では一番
    ストーリーが抜群

  • 聖美さんの素晴らしさが男視点なのが具現化しにくいが、そこが多くの山屋の女性を見る特徴だと感じた。
    しかし辛くとも再び生きていく過程が力強く、励まされる感動を覚えた。

  • 山登りとわ

  • とにかく面白い!こんなにも登山をしてみたくなる。登山の深さを知れる本があったなんて!
    また、昔の仲間との助け合いや、不易な登山者との人間模様も面白く、ハラハラ読むことができた。

    誰かに勧めて山に登りたくなる一冊です。

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーをはじめ警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る。主な著書に『ソロ』『K2 復活のソロ』(祥伝社文庫)他。21年逝去。

「2023年 『希望の峰 マカル―西壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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