シャイロックの子供たち (文春文庫)

  • 3415人登録
  • 3.62評価
    • (170)
    • (598)
    • (526)
    • (62)
    • (12)
  • 445レビュー
著者 : 池井戸潤
  • 文藝春秋 (2008年11月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167728038

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

シャイロックの子供たち (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  •  シャイロックとは、シェークスピア作「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人金貸し。借金の担保に1ポンド(約470g)の人肉を切り取ることを条件に出したり、自分の娘が駆け落ちした際には、娘のことより彼女が身につけている金品を心配したりと、とにかくあくどく描かれていることで有名なキャラ。


     この作品は、池井戸さんお得意の勧善懲悪ものじゃなかった。みんなそれぞれに正義や野望を持つ。しかし、ある人が持つ正義は、別の人から観ると悪になり、その逆もまた然り。


     しかし、このシャイロックは、視点を変えれば、キリスト教徒に迫害され続けたユダヤ人の代弁者である。「キリスト教徒だってやられたらやり返すだろう。俺たちもそうだ」と口にした人間としても知られる。

     人は完全なる善にはなれないし、また完全なる悪にもなれない。

     西木は正義感あふれたヒーローだったのか、はたまた私欲にまみれた悪者だったのか。その結論は出されないまま、幕を閉じる。


     誰だって、最初からこうなりたかったわけじゃない。ちょっとしたボタンの掛け違えがあれば、こういったことは起こりうる。たかがフィクション、たかが作り話、という感想で終われない作品だと思った。

  • 重いナリ。
    何が重いかと言うと、状況。
    ミステリなのでメインの事件がおきますが、ソレではなく、ソレもそうなんですが、キャラクタたちの置かれている状況。
    みんな銀行で働いている人たちですが、そのひとりひとりの状況が。
    「サラリーマンの良くある辛い部分」のオンパレード、それもみんな上級で。
    上司からの圧力や下からの圧力や客からの圧力や家族からの圧力などなど。。。
    ミーもサラリーマンの端くれなので、読んでいて少し辛くなったナリ。
    「本を読んでるときくらい、楽しくありたい」なんて思っちゃうくらい。
    一番特徴的だなと思ったのはそんな所。
    総評としては、「面白い」。

  • つづきが気になり、さくさく読み切った。
    もっとはっきりと事の真相がわかるのかと思ったけど、最後は匂わせるだけで終わってしまい、想像するしかないのが、ちょっぴりモヤっと。
    でも章ごとに短編小説のようなちゃんとしたストーリーがありつつ、1冊を通して1つの事件がだんだんと見えてくる展開は面白かったです!
    池井戸さんの他の作品も読んでみたくなりました。
    あとは銀行マンってあんなにしんどい仕事なんですねぇ。学生時代なにも考えずに、就活でたくさん銀行を受けてた自分が恐ろしいです。笑

  • 前半は銀行内でおこる出来事が短編のように続くので、
    そんな感じで話がすすむのかと思いきや、

    後半、名前をふせて「彼は」と話がすすむ章があり、
    章のラストでその「彼」が誰なのか判明させたり、

    前半の色んな話が結び付いていったり、

    とにかく後半からの夢中度MAXでした。

    そして、ラスト・・

    ここで終わるのー!?
    と叫びたくなりました。

    このラストで色んな想像をさせられます。

    モヤモヤで終わるけど、
    だからこそ面白いのかもしれません。

  • 銀行という独特の社会で生きる人々を1つの支店を通じて、誰かの目線で繰り広げられる短編集。
    かと思いきや…ある日、100万円という札束が忽然と消えたことから巻き起こる奇妙な事件…。それぞれが別物だと思っていた話しが微妙に絡み合って謎を呼ぶ。
    新規開拓・顧客管理・癒着・ノイローゼ・栄転・昇進・行員の疾走…。
    昇進をかけた男たちのヒューマンでありながら、隠れた汚職の実態を暴いていくミステリ。

  • 作者お得意?の銀行員たちを書いたミステリー。
    基本的な雰囲気はどんよりしており、同じサラリーマンとしては銀行内のエースの嘘とそのエースの嘘の活躍により精神を病んでしまった話は面白く感じた。
    しかし、個人的には最後はスカッとした終わり方を期待していた。。。

  • 最初は銀行を舞台とした、ショートストーリー集なのかと思いながら読んでいたのだが、それらの話が混ざり合い、絡み合い、複雑な展開を見せてきて… 最後は一気に読み切った。

  • 銀行という組織の中の人間模様を描いた短編集。いくつかの編はストーリーが繋がっていて、ミステリー要素もあり面白かった。

    お金という魔の力に翻弄されているのか、銀行という組織によって心が蝕まれていくからなのか・・・
    組織人としての苦悩が、リアルに伝わってきた。
    銀行マンを見る目が変わりそう。

    池井戸潤氏の他の小説には、苦悩しながらもカッコいいスーパー企業戦士が出てくる物語が多いが、本書はそういったスーパー企業戦士ではなく極普通の銀行マンが登場人物。なだけに、よりリアル感を感じた。

    創作の世界とはいえ、銀行の側面を見ることができる一冊。

  • 銀行にまつわる短編集と思いきや、それぞれの主人公の物語が繋がって、出来事は色々な側面を見せる。
    事実が明らかになるが、どの話も一人のそれぞれの主人公の視点で語られるため、全容はやはり曖昧なまま。
    そこに、色んなことを想像して、推理して…。
    現金紛失の事件が、まさかそんな風な事態に繋がってゆくとは…!
    銀行という過酷な世界で、上に上がるために、それぞれの人がそれぞれの形で何か壊れていったり失って行く姿をみると、キャリアとか仕事とか人生とか、そういうものについて考えてしまう。

  • 七つの会議のベースのような作品。それぞれの短編が一つの軸に繋がっていて一気に読める作品。この作品の主人公たちの生き方はバラバラだけど普通に働くこと、暮らすことを考えさせられる一冊。

  • ある銀行の支店で起きた事件の短編集…
    と思ったら、話がつながってました。
    でも登場人物が多くて、この人誰?
    新出?既出?

    結構読んでて辛いことが多かったです。
    ここに半沢さんや、花咲さんみたいな人もでてきません。
    どんでん返しもないまま、つらいラストでした。

  • ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪・・・!?
    ”たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上がらない成績・・・事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。二転三転する犯人捜し、組織の歯車の中でリアルな生が交差する圧巻の金融クライム・ノベル!

  • テンポよく話が進む池井戸潤作品。どんどん魅きこまれて、一気読みです。

    銀行を舞台にした人間模様が描かれている、主人公が変わる短編集。野望、嫉妬、羨望、憎悪がそこには渦巻いているからこそ、垣間見る正義感にホッとしたり…。全体的には一つになっていて、でもラストのモヤッと感は拭えないけど、含みを持たせた感じで終わったのかなという見方もできるかも…。

    池井戸潤さんはどんなタイプの銀行マンだったんだろう…。

  • とある銀行を舞台にした物語。短編の様に、銀行に関係する人物ひとりひとりの視線で紡ぐ。銀行員の苦悩が伝わる作品だが、その他にも苦労ゆえの逃げ道や、結果、周りの家族の思いも描かれている。

    少しは銀行員の魅力を語った作品も見たくなってきたのだが。。。笑

  • 銀行内部の話。短編小説であるが、最後は、ひとつに繋がっていく。
    登場人物が多いのと、出てくる名前が、場面が会社だと苗字で、家族間だと、名前になるので、誰が誰なのか、把握するのに、少し考えてしまいました。
    池井戸さんにしては、スカッとしない。終わり方が、不透明。どうなの?これからどうなるの?と、思わせぶりな終わり方である。
    半沢シリーズを読んだ後だけに、これは、面白いというより、ハッキリスッキリしないと言う後味の悪いものなので、☆3つにしておこうと思う。
    これを読んで、思うこと。ギャンブルには手を出さない。連帯保証人にはならない。ちょっとだけならいいかな?が、後々、とんでもないことに巻き込まれていくぞ、と教えられている内容かな。いけないことと分かっていても、流されてしまう意思の弱い人もいるんだってこと。

  • 「半沢直樹」はあいかわらず録りだめ中。
    しかしながらこのブームにのっかり、初めての池井戸潤を読んでみる。
    kamosigiさんより。
    作品自体は2008年か。
    こちらは昨年秋の文庫フェアより。

    一度軽く読み始めたものの、そのままだったので、
    再読からの一気読み。

    マネーゲームがメインかと思っていたので、
    数字に弱い私には、きっと長い時間が必要かと思いきや、
    意外にも人間くさいドラマの数々。
    途中ミステリー展開も挟みつつ、登場人物の個性や生きてきた人生を
    丁寧に、読ませるんだ。
    なるほど、おもしろい。こういうの好きです。

    しかも最後に西木を完全に、読者に殺さないあたり(少なくともそう捉えたが)にくい。

    池井戸作品とのいい出会いをもたらしてくれたkamosigiさんと、
    半沢直樹ブームに感謝☆

  • 面白いし、サクサク読める。登場人物が多いのだが、伏線をちりばめて、最後に謎解き。よく考えて作られていることに感心するが、何かたりない。解説の霜月さんもいっているが、それは「義憤」がない事だと気がついた。正しい事を一生懸命やっている人が報われない。不条理な扱いを受ける。「空飛ぶタイヤ」がそうだし、「下町ロケット」も、今人気の半沢直樹は「やられたらやり返す、倍返しだ」と言う。その「義憤」がマグマの様に爆発し、正しいものを正しいとスッキリさせてくれる。そんなカタルシスがないのが残念だった。

  • 初めての池井戸作品でしたが、予想してたよりも面白かったです♪
    企業内幕・金融業界のドラマが中心だとは聞いていたんですが、サスペンス要素を絡めて連作短編で読ませていく展開に惹きつけられ、一気読みに近い感覚でした。

    組織ってところは、肥大化するとトコトン硬化してしまって弊害だらけになっていくんだな~とw  個人がますます蔑ろにされていくシステムの怖さは、役所や銀行といった“一般社会への影響力が大きい”組織において特に顕著で、それを難しさを感じさせることがほとんどなく読み進められる♪
    だからだんだん楽しくなってくる♪
    受賞した「下町ロケット」を、すごく読んでみたくなりました ^^ 早く文庫化してくれないかな~w それまで、池井戸さんの他の作品を読んでみたい、しかし積み本が山のようにあるw  ^^;  いつになることやらw

  • 池井戸潤の得意とする銀行員の仕事をテーマとした小説である。短編集ではあるが、都内の一支店のできごとであり、主人公は替わるものの登場人物はほぼ同じである。顧客獲得のノルマが果たせず嫌な上司に怒鳴られる場面などけっこうリアルで、人が怒られているのを見るのと同じ不快さを感じるほどよく描かれている。章が進むほど、刑事事件というかミステリ的になり、通常のおもしろさを味わえる。日頃の仕事がたいへんでつらい人には、まったく気分転換にならないので薦められないので、★3つにした。

  • 池井戸作品を久々に。池井戸さんらしく、いい。
    本当に人間をうまく描いている、
    普通のサラリーマンの葛藤を描かせたら、NO.1であろう。
    いろいろ考えさせれれることもあり、
    自分がその立場だったら、おそらく悪いことだけど、
    やってしまうだろうなと思ってしまう。
    「フェアイズファル、ファルイズフェア」という言葉が自然と自分の頭に浮かんできた。
    (シャィクスピア自体は読んだことないが、伊坂の「あるキング」から)
    シャイロック自体の意味が知らなかったが、調べると
    シェイクスピアの「ベニスの商人」にでてくる人物のことだと。
    そんな偶然のつながりもあり、。今回は自分の中で大満足である。

    あと、何度も~いうよ~(チャゲアス風)、いい文庫作品の後には、本当にいい解説がついている。間違いない(永井秀和風)今回も熱さのある解説だった。

    それもあって、5点満点は当然かな。

  • 池井戸潤作品をこれまで何作か読んだが
    確信したことは、自分は絶対にバンカーには
    なれない、ならない、むかない。
    そんな組織のお話なのにこれだけ夢中にさせる
    作品はさすが!
    次の池井戸作品は何読もうかな!?

  • いつもながら最後に驚く。空飛ぶタイヤ以上の作品かも知れない。

  • たたき上げの副支店長、社内恋愛中のOL…。出世のため、家族のために奮闘する行員たち。現金紛失事件をきっかけに支店内に不穏な空気が立ち込め、そして一人の男が失踪した。

    10章から成る連作短編集。最初の数篇は著者お得意の「銀行を舞台にしたサラリーマンの悲哀を描く短編集」かと思いながら読んだ。ところが中盤から…!そして最後に…!「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」のようなカタルシスはないけれど、読み終わったときの充実感は劣らない。これだけ多くの登場人物をしっかり書き分ける筆力にも脱帽した。
    (A)

  • 銀行のある支店で渦巻く人間模様。
    銀行の支店という舞台で主人公が次々に入れ替わり、関わる家族、友人とその思いが交錯していく様子が面白かった。

    銀行という組織が垣間見れ、サラリーマンとして生きる自分にも、組織の中での位置付けを改めて認識させられる作品であった。
    ちなみにシャイロックとは、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」に登場する人物。 悪辣、非道、 強欲なユダヤ人の金貸しとして描かれているそうだ。

  • とある銀行の一支店にスポットを当て、そこで働く行員を様々な角度から描写した一風変わった短編集。

    しかし、ただの短編集でないのが著者の機知に富んでいるところ。

    一企業人の自分の立場として読むには描かれているシチュエーションがあまりにリアルで身に詰まされる思いもあるが、読了したあとに感じたことはどんな立場であれ、根底に流れる思いはみんな同じなのだと改めて思った。

全445件中 1 - 25件を表示

シャイロックの子供たち (文春文庫)に関連する談話室の質問

シャイロックの子供たち (文春文庫)に関連するまとめ

シャイロックの子供たち (文春文庫)を本棚に登録しているひと

シャイロックの子供たち (文春文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

シャイロックの子供たち (文春文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

シャイロックの子供たち (文春文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

シャイロックの子供たち (文春文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

シャイロックの子供たち (文春文庫)の単行本

シャイロックの子供たち (文春文庫)のKindle版

ツイートする