シャイロックの子供たち (文春文庫 い 64-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167728038

感想・レビュー・書評

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  • 連作の短編集で一人称が変わっていく。
    銀行で100万円が無くなり、それぞれの話が進む。
    池井戸潤なら、やはり痛快さを求めてしまうな。

  • Audibleで読了
    半沢直樹はドラマで見たのだけど、池井戸作品を読んだのは初めて。いやー、これ読んで銀行に就職しようとする人激減なんじゃないかな。ノルマ、減点評価、足の引っ張り合い、硬直化した人事、泣き落とし、異常なプライド、パワハラ上司、とかとか。誇張していると思うけど、典型的な昭和の会社だね、ここでイノベーション起こすとか世界で戦える企業になるとは到底思えない。
    話として、誰が主人公なのかあまり分からなかったのだけど、読んだ後にWOWOWでドラマ見たら、西木が主人公なのね、ということを理解。
    何年後かに、「昔々こういう企業体質の会社あったよねー」、となることを祈る。

  • 映画化されているということで手に取った久しぶりの池井戸潤作品。

    序盤では、短編集かな?と勘違いしそうになりますが…
    読み進めると一貫したストーリーが見えてきます。

    職場での人間模様や葛藤が見事に描かれており、リアルな没入感も味わえます。

    おすすめの一冊です。

  • 金融業界について雰囲気を知りたくて選びましたが、小説自体が予想外に面白く、高評価にしました。

    とある支店を舞台にしたミステリーになっており、各章ですべて異なる人物の視点から物語が進むので、各章の始めでは状況が分からない戸惑いもありますが、章毎でそれぞれのエピソードが盛り込まれ、短編小説を楽しみながら本筋のミステリーの犯人に迫るという仕組みで、どんどん引き込まれました。

    男 という謎の代名詞は不穏な雰囲気を醸し出しており騙されました。

    池井戸潤さんの小説を初めて読みましたが、巧妙だなと思います。

  • 短編集かと思ったら繋がっていた。しかし、いつもの池井戸さんみたいにスカッとしない感じ。でも、銀行勤めじゃなくて、今の仕事でよかった〜

  • 著者の小説の書き方を決めた記念碑的なものだそう。

    複数のキャラクターの個性をほりさげて、
    それぞれの人生のある1ページが交わって
    物語になる。

  • 久しぶりの池井戸作品。
    語り手を変えながら、一つの事件を紐解くカタチ。
    面白かったけど、次は長編小説を読みたいかな。

  • 面白かった。
    銀行を舞台とした短編連作形式の金融ミステリー。
    構成としては「7つの会議」「仇敵」と同じような構成です。
    10編の短編からなる構成で、それぞれ、行員が主人公となって、一つの事件の真相が明らかになっていきます。
    これ、10編あるのでワンクールでドラマになりそう!

    第1話はモラハラ、パワハラの古川副支店長の物語
    指示を聞かない部下とのトラブルの話

    第2話は昇進をかけて、融資がまとまるか・まとまらないかで追い込まれる友野の物語
    家族の為、なんとか融資をまとめようとする友野の姿がつらい

    第3話は父の死後家系をささえている愛理の物語
    しかし、ここで100万円の紛失事件発生。そして、その容疑者として愛理が疑われることに。
    そして、真犯人を探そうとする愛理の上司の西木
    犯人は誰なのか?っとここからミステリー要素が出て来ます。

    第4話はやはり昇進をかけて奮闘する遠藤の物語
    ようやく融資がまとまりそうという事で、課長と一緒に社長へ挨拶へ行った先は..
    これは、正直つらい

    第5話は人事部の坂井の独白
    ここで、西木の行員人生が明らかになると同時に、西木の失踪が明かされます。
    どんどんミステリー要素がこくなります。
    西木は100万円を盗んだ犯人に殺されたのか?

    第6話は高校球児だった竹本の物語
    西木の後任として業務を行う中で、西木が真犯人を捜すためにやろうとしてたことが徐々に明らかになります。
    しかし竹本も転勤してしまいます

    第7話は銀行検査官の黒田の物語
    支店に監査に入り、100万円の紛失とその時の支店の不正な対応が明らかになります。
    支店の不正対応を報告するのか?しかしそこには黒田の過去が...

    第8話は新人田端の物語
    田端が頼まれた、ちょっとした届け物から、ペーパーカンパニー、そして、架空融資が行われていることを明らかになります。その架空融資を行っていたのは銀行のエース滝野

    第9話はその滝野の物語
    滝野の温かい家庭の中で、この家族を守るために不正に手を染めていった滝野が語られていきます。

    そして第10話は夫を自殺で亡くした晴子の物語
    事件の真相が明らかになります。

    それぞれの行員の支店で語られる物語で、その人間性、人間臭さがリアリティとして感じられます。そしてそこにミステリー要素が加わったストーリ展開です。

    銀行の仕事の辛さがとっても良く分かる物語でもあります。

    お勧め

  • 前半は銀行内でおこる出来事が短編のように続くので、
    そんな感じで話がすすむのかと思いきや、

    後半、名前をふせて「彼は」と話がすすむ章があり、
    章のラストでその「彼」が誰なのか判明させたり、

    前半の色んな話が結び付いていったり、

    とにかく後半からの夢中度MAXでした。

    そして、ラスト・・

    ここで終わるのー!?
    と叫びたくなりました。

    このラストで色んな想像をさせられます。

    モヤモヤで終わるけど、
    だからこそ面白いのかもしれません。

  • つづきが気になり、さくさく読み切った。
    もっとはっきりと事の真相がわかるのかと思ったけど、最後は匂わせるだけで終わってしまい、想像するしかないのが、ちょっぴりモヤっと。
    でも章ごとに短編小説のようなちゃんとしたストーリーがありつつ、1冊を通して1つの事件がだんだんと見えてくる展開は面白かったです!
    池井戸さんの他の作品も読んでみたくなりました。
    あとは銀行マンってあんなにしんどい仕事なんですねぇ。学生時代なにも考えずに、就活でたくさん銀行を受けてた自分が恐ろしいです。笑

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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