- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167788025
感想・レビュー・書評
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発想は面白いんですが、「これは無理あるやろ」という視点で読むと冷めます。
大阪の街の描写、人の感覚を捉えようとしてますが、ステレオタイプが過ぎるかな、という感覚。
太閤の時代にタイムスリップとかそんな感じかと思ってたんですが、展開的には新しかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
伝奇ロマン小説として期待して読んだが、荒唐無稽で期待はずれ。ストーリーの煮詰め方も中途半端。登場人物は必然性のない個性が与えられており、映像化を前提に書かれているようで不快。最近はこのようなテレビ化や映画化を狙ったような小説が多い。
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鴨川ホルモーが面白かったので、同じ作者の本を続け読み。
この人の本は滅茶苦茶な設定なのに、そこを説得力を以ってなんだかんだ
読ませてしまうことが本当にすごい。
こんなこと想像したこともないわー、ということを書き上げる力。
きっと、すげー妄想好きだろうし周囲に理解者がいない幼少時代を過ごしてきたんじゃないか、と思う。
映画にもなっているみたいなので、そっちのほうがいいかもしれない。
多少無理な設定をまともにするための、きちんとした情報が入りすぎているので
「おかしいのに、しめるところはしめる」という仕上がりになってます。 -
これは万城目学の印象でもあるんだけど、
大風呂敷広げて後半あっさりなんだよね。
プリンセストヨトミもこれに該当。
壮大な設定で、そこまでの助走はいいんだけど、
佳境がいまいち。ざんねんです。 -
相変わらずの万城目ワールドだけど、流石に少々設定が大袈裟すぎてそこが残念。登場人物たちは相変わらず魅力的。辰野金吾、性同一性障害、会計監査員、豊臣秀吉…バラバラの素材から話を膨らませたところは流石なんだけどね〜
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万城目学読むのは3作目だけど徐々にパワーアップして大爆発という感じ。文句なしおもしろい。静かに静かに深く潜行して綿綿と引き継がれてゆく男のロマンが熱い。物語りの大詰めで大阪府庁前で対峙する二人の男。お好み焼屋主人真田幸一と会計検査院調査官松平元。「それは父の言葉だからだ」「あなたのお父さんも、あなたに何か伝えようとしていたのではないか?」。冷徹な鬼の松平が敗れ去る感動のクライマックス。
この著者らしくどこまでもアホらしくはあるが、強烈な大阪人の滾る思いが伝わってくる。橋下徹はこれを読んで立ちあがったんじゃないか、なんてことはないな。全然スケールが違うわ。よくぞこんなストーリーを考えついたものだ。ぼくには父も息子もいないけど、それがとてつもなく残念なことのように思えてくる。では女は置き去りかというとどっこいそんなことはなく、いやはや(大阪の)女はこわいね(笑)。
相変わらず登場人物名がふるっていて、片や真田に橋場、他方が松平、鳥居ときたらもう大阪城決戦に決まってるわな。そして判官びいき、敗者に肩入れする庶民感情がきちっと汲み上げられている。だから読後感が清々しい。それにしても、「鴨川ホルモー」の楠木ふみ、「鹿男あをによし」の堀田イト、そして本作の橋場茶子、主役の女の子みんながなんと魅力的なことか。気が強くて一途で。真田家の男ならずとも率先して守り続けて生きたくなるね。 -
3部作の中で一番土地の感じがリアルだなあと思ったら、作者の生まれたところだった。
大阪に行きたくなる話。お好み焼きを食べたくなる。
映画より細部がよかった。
一人一人に役割が振られていて、それは灯籠にひょうたんを置くなど些細なもの。だけど、ドミノ倒しのように大阪にじわじわ広がる。
あと、男は王女の存在を隠していたけども、妻たちは知っていたという設定も好きだ。アホなことやってると暖かく見守っていたのだろう。大阪人のイメージぴったりの描写だと思う。
映画と違って真田総理大臣が普通のおっちゃんやんと思ったり。
あと男ミラクル鳥居から綾瀬はるかにしたほうが嫌みがないのだろうなあと思ったり。
映画もよかったけど、原作もよかった。
ああ、大阪行きたい!お好み焼き食べたい!-
2014/03/05
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万城目学 著「プリンセス・トヨトミ」を読みました。
400年の長きにわたる大阪の隠された歴史を解いたのは、東京から来た会計検査院3人と大阪下町育ちの少年少女たちだった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!? 果たして大阪の運命は? プリンセスを守ることはできるのか!
この小説を読んで、初めて会計検査院の特殊な仕事を多少なりとも理解することができました。
そんな彼らが触れていはいけない大阪の歴史の秘密に迫っていくのと同時に、大阪の下町では、中学生の少年少女が自分の生活を守るために闘う姿が描かれ、その二つの出来事が実はつながっていくという、エンターテインメントの王道を行く読み応えのある作品でした。
大阪には、実は秀吉以来隠された歴史があったというこの小説の展開は現実から言えば、かなり飛躍しているところがあるものの、あの大阪という場所ならば、あの大阪の人たちならば、こんなことがあるのかもしれないという不思議な説得力がこの作品には感じられました。
時まさに大阪の知事選と市長選が終わったばかりで、これから大阪はさらに旋風を巻き起こし、全国の注目を浴びそうです。
そんなわけで、大阪には何かを起こしそうなパワーを引き出すような歴史を歩んでいるのかもしれないとこの小説を読んで、改めて思いました。 -
舞台設定は奇想天外だが、話は父と息子の物語。そしてそれをじっと見つめる母親の話。つまりは家族を描いた人情ものという仕組み。良くできている。