- Amazon.co.jp ・本 (133ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167791018
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
オーディオブックで聴いた。
これは文字媒体で読みたかった本かもしれない。
関西弁のナレーションも結構好きだったけど。
男性では味わうことのできない世界を知った感じ。
緑子の女性として生きることへの違和感と、女性が持つ生殖機能とそれを持っている自分への違和感、母親の考えの違和感など、シンプルに何も考えず生きていくことができないところが、感覚で生きてる親の巻子と違う感じがして面白かった。卵の投げ合いで感情を爆発させるシーンがもうめちゃくちゃで好きだった。
『お母さん、本当のことを言ってよ』
『本当のことなんかないこともあるんよ』ていうセリフはわかりそうで分からずムズムズした。
最後の別カットは緑子? -
賛否両論のようですが私には無理でした。凄く苦手。
まるで大阪弁の滝沢カレンさんがしゃべるのを文字にした感じ(滝沢カレンさんは好きです)。
大阪弁の文学が苦手なのか、なんかそうかと思うと標準語というか「~なのです」みたいなのが混ざってきて気持ち悪く、それが不快だったのか。
内容はおもしろく、それで読み切れた。この文体じゃなかったら、割と好きかもしれない。・・・いや、わからないな。卵のシーンとか狂気の沙汰で読みながらちょっとひいた。
生理のころの変化、妊娠出産による変化。着眼点とかはすごく面白かったけど。
生理はあまり何も思わなくて、でも胸とか体の変化はとてつもなく嫌だった記憶がある。緑子の気持ちの描写はリアル。というか、みんなリアル。きっと文体の力かな?読む本じゃなくて、オーディブルとかならまた全然違うのかもしれない。
超短編の『あなたたちの恋愛は瀕死』も割とぞっとする。
他の本は読むかわからない。 -
豊胸手術をしにきた姉、思春期の姪、そして私。女3人で過ごした夏の数日。
なんとも言えず抜群に面白かった。不思議なくらい、なんの抵抗もなく、スルスルと読めてしまう不思議な文体だ。女性として生きていれば覚えのあるアレやコレやが、心地よく柔らかい大阪弁の一人称で語られている。ストーリーもちゃんとエンタメで、クライマックスに至るまでハラハラした。バランス感覚が素晴らしい作品だ。
例えば風呂屋。他人の乳房を当たり前のように寸評しているのは実際にはあり得ない。巻子のキャラクター造形も、どこか昭和の匂いただよう典型的「可哀想な女」だ。これらは言うなれば、男たちが嬉しがる女像ではなかろうか。
一方で、思春期の緑子が語る性への純粋な疑問や忌避感や、生理のうんざりな日常生活など、赤裸々とも言える、土臭いかっこ悪い女のリアルもある。
男達が嬉しがる女性像と、女性にとってリアルな女性像がシームレスに融合されているのが上手い。これなら確かに男女区別なく大ウケするだろうと思った。あっぱれ! -
川上未映子さんの本を読むのは二冊目。
気軽に読み始めてしまったものの、収録されている両話とも、真夏日にかいた汗の様にじっとりと身体に纒わり付くような、終始重苦しく問い掛けてくる作品でした。
目を背けたくなるような世界観で途中で読むのを挫折してしまいそうにもなりましたが、この世に女性として生まれた身として、彼女らが今後どう生きていくのかしかと見届けなくてはと感じさせられた。続編もあるようなのでそちらも読む予定。 -
読み進めることが難しい文体。一文がとても長く、関西弁の会話が理解し難く、ニュアンスで理解していく感じ。
出産して、年を重ねることで、自分の胸が崩れていくことが受け入れられず、豊胸手術を考えている巻子とその思春期の娘、緑子の気持ちの揺れが長々と続く。
どちらも自分の気持ちとは裏腹に身体が変化していくことに葛藤していて、拗らせていくところは、女性のなせるわざだと思う。 -
句点を極端に削ぎ落とし、多くの文章を無理矢理詰め込んだ、だけども妙にリズミカルで、よう分からん勢いのある大阪弁で一気読みしてしまった怒涛の二泊三日の物語。
そんなハイテンションの文章の中、緩急ではないのだが、緑子のノートの文章が良いアクセントと種明かしのヒントとなって、読書スピードがさらに加速されます。
そもそも何をしに東京に来たのか、何のために父親に会いにいったのか会えたのか、ほんまのことは何もわからないまま、でも確実に何かを得て母子は大阪に帰って行く。
最高に濃密な三日間でした。 -
思春期の子どもと親との思いのすれ違い。血が繋がっていても本音でぶつからないと理解し合えないよね…と改めて感じた。