しょうがの味は熱い (文春文庫 わ 17-3)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903602

感想・レビュー・書評

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  • 綿矢りさで一番、好き。

  • もう、今の私には、自分の日記でも読まされてるのかと思う内容だった。
    分かる、分かる。

    そう、がんばったらどうにかなることとそうじゃないことがあるのよね。
    ペースが合わないのは、性差の問題?それとも相性?

    彼の存在が重要すぎて集中できない

    あともう少しがんばれば、幸せになれるかもしれない。でも、愛や結婚は、あともう少し、と努力するものなのでしょうか?

  • 私が死んだら 骨のかけらをあなたの身体に収めてほしい
    いつもつないでいた左手の薬指の骨 そしたらあなたに内蔵されて
    カルシウムになれる
    私あなたのカルシウムになりたい
    なんて、ちょっとこわいかな


    めちゃくちゃ怖いっす。笑
    ほかの全部が同じだからこそ1つだけの違うところがすごく悲しい。みたいなはなし。でも最終的には、その人と違うところまで全部愛せるような関係を。家族、友達、好きな人、どんな人とでもそういう関係を築きたいな。

  • 文章のリズムが心地良くサクサク読むことができた。
    奈世の考え方、その時の感情に動かされる様子は幼稚じみているようにも思えるが、時々合間に挟まれるポエムのような表現には少しドキリとさせられる。
    また、急にですます口調になる語り口から感じられる自分のことなのにまるで他人事であるかのような必死なようでどこか冷めている視点の不安定さにヒヤリとする。

  • 共依存のような関係性で、一緒になるのは良くないような…

  • 結婚に対して非常識なほど夢見心地な奈世が、なんだか見ていられなかった。

    「絃が全て」という言葉に対して、
    そんなに依存して楽しいの?あなたの人生それでいいの?
    と読んでいてイライラすることが多かった。1人でも立派に生きていける人こそ結婚に向いているんだと思う。
    でも、結局恋愛すると客観性を失って相手しか見えなくなりがちで…
    だから恋愛は好きになれない、現実に期待なんかしちゃダメだって思うようにしています。ちょっと悲しいけど。

  • 奈世は同棲中の絃との結婚を望んで、日々相手の機嫌を損ねないようガマンの生活を送っている。神経質なところのある絃は、奈世の雑なところがイチイチ気になって、円形脱毛になりながらも一緒に暮らしていたが、ある日奈世が実家に戻る。3ヶ月経ってやっと奈世のいない暮らしが寂しいと感じて、プロポーズする。
    二人はともに東京に戻ることにするが、奈世の両親に反対されたこともあり、結婚はしばらく様子を見てから、ということに。
    ホントにこのまま結婚できるのか、どっちに転んでもおかしくない終わり方で、読者の解釈に委ねられているんだと思うが、個人的にはもう少し希望の持てる終わり方が好きだなぁ。

  • 綿矢りささんの本はこれが初めて。
    そういえばインストールも蹴りたい背中も読んでなかったな。。。

    結婚したい女性と結婚するのが面倒な男性の話。
    前半が同棲、後半が再び一緒になるまで。

    前半の
     私あなたのカルシウムになりたい
    や後半の
     年齢はいっているのに、全身を羽毛で覆われている、むくむくのひな鳥
    は、よくこんな表現思いつくなーって感じです。
    前半は重たい女性を、後半はおばさんの表現です。

  • 綿矢りさ 著

    タイトルからして、もっと家庭的な温かいものを
    少し想像していたが、そうではなかった。
    流石、綿矢さんらしい観察力の鋭さが際立つ。
    最初は、何だか暗いという感じとは違う、ネチネチした感じの女性、奈世の登場から始まり、どうやら、絃という繊細な…神経質な?男性と同棲生活を送ってるらしい 明るい同棲生活の始まりのはずが何故か不穏な空気に包まれた感覚で物語は展開される。
    しかしながら、解説でも最初触れてたように、綿矢さんの才能溢れるものに、期待感しか抱けず読んでしまっていた。
    奈世は不思議な女だ…観察力凄いのに、KY的な雰囲気だ それに比べて、常識的かと思えば、観察されてる事に怯えてさえいる同棲相手の絃も変な奴だって気もする。
    こんな相性合いそうにない2人が、よくもまぁ…同棲する気になったなぁ、なんてことが気になった。

    しかし、恋愛って付き合い始めは勿論、恋人として付き合ってる時は、多分、相手の良い部分しか見えないものだと思うし、嫌だなと思う部分さえ愛おしく誤解?いや感じて盲目的になってしまうものだ。

    でも、一緒に生活することは現実的で、相手の見えなかった部分、アラ…?本性みたいなものが垣間見えるものだ こんな事を気にする人だったのか?とか、自分の神経質さを棚に上げて相手の気楽さに苛々したり…しかし、それも慣れて 慣れる事自体愛情かと思えたり?しかし、最初は、本当はよく知りもしない他人と暮らすのは、ウキウキというより面倒な事が際立ってくる。
    この、登場人物のカップルは何だか不思議で不穏な雰囲気に包まれているものの、それは第三者から客観的に見ているからだという事に気付かされる。

    奈世の感じ取る絃の所作や考え…
    絃の感じ取る奈世の所作や感じ方に対する人間像

    これは、小説ならではの二人称になっているから
    どちらの考えにも不満を持ち、共感したりする。

    男と女の感じ方の違いさえも顕になる

    もともと、自分という個体と相手とは違う人間なんだから、違ってて当たり前だし、付き合ってる間は、お互いが相手に必死に合わせようとしているから、気が合う、相性が合うと思い込んでしまうものだけど、やはりそれは、似ていて非なるものなのかもしれない。

    斯く言う、自分自身も、思い当たる節はある
    よくつまらない事で、諍いを起こして、相手に(主人)に怒りを覚えても、10秒我慢して、深呼吸してから次に繋げよって耳にするが、怒ってる時に、そんな余裕はない事の方が多い(笑)

    文面の中に 奈世が思うこんなのがあった…
    「あれ、そういえば絃が起き出す前は何を考えてい
     たんだっけ。大切なことを考えて考え過ぎて、
     皺のよった眉間の感触だけ残っている。
     あることをいっしんに考えていたのに、ふっと
     別の事に気を取られた瞬間、何を考えていたのか
     忘れてしまうことはよくある…」

    なんて…そんな事は私にも、しょつちゅうある。
    結局…何にそんなに怒ってたのかも、話を逸らされただけで、それにも腹が立って、最初何について争っていたのかも、、だんだん、どうでもよくなってくる。
    つまり、元を正せば…きっと、そのくらいつまらない揉め事に過ぎないのだって思ってしまう。
    家族に対しては…何故か、そこに引っかかって、
    何それ?って気分を害す事あっても、
    不思議と外の世界では人に寛容な気分で接する事が出来、冷静でいられる(つまらない事に、怒りの感情が起こらない)
    なら、何故って思うが、同居人に対して厳しい。
    同じ空気の中で長い間生活しているというのに、
    自分の事をこんなにも知らなかったのか?理解してないのか?って愕然としてしまう事がある。
    それとは、反対に一緒に長く居るからこそ、気が許せるというか、意外に相手の性質を知って思いやったり思いやられて、嬉し恥ずかしくも思ったりするものなのだが…。

    しかし、小説の中で お互いの思惑を二人称で描いてくれている、この作品を読んで、自分もそんなふうに、相手を冷ややかに見たりショックを受けたりしてる分…相手も自分に対して、そうなのかもしれないなぁって 何だか、久しぶりに謙虚な気持ちになれた作品でした(変な感想だけど…(笑))

    それにしても、綿矢さんは作風は違っても冴えているなぁって思った。

  • 二篇の作品による連作短編です。
    同棲から結婚へという、
    ある意味で瞬間的でもあるだろう経過上で、
    こじれてしまい間延びしたような状況が本小説の舞台。
    あえてそこを書くのが小説らしく、著者らしいとも言えます。
    小品を読んでいる感覚でしたが、
    終いにはしっかり読み終えた満足感がありました。
    そういった、話の締めくくり方の力というか技術というかは、見習いたい。

    心理面もさることながら、
    脳の構造的なぶぶんであろうところであって、
    日常ではあまり意識したりしないような点にも注意を向けて書いている箇所があり、
    レントゲンみたいに透過する、
    作者の視線のつよさみたいなものが露わにする「人間の秘密」を目にする感覚もありました。
    こういうところは、科学的な視線の種類だと思います。
    冷徹さを持っていないと見えないところです。

    たびたび、太い息がでる文章に出合いましたが、
    P119の、
    ___

    たしかにきゅうくつに感じていたけれど、
    でもいまみたいに大人になってからの、
    自分のことは自分で決めないとどんどんダメになっていくプレッシャーはなかった。
    なにもかも自分で決められるゆえ、
    その決断が間違っていれば他でもない自分が一番困る。
    子どものころのように、
    ルールを決めるかわりに自分を守ってくれる存在はもういない。
    ___

    という一節を個人的な思索とからめて今回は取り上げます。
    この一節をしゃべっている主人公の女性・奈世は、僕なんかからすると、
    他律性から脱却して自律性を獲得する過渡期のようにも見えました。
    でも、奈世はこうやって、自律性と他律性の狭間みたいな割り切れないところにいて、
    そこは一般的にはたぶん居心地はあまりよくないはずですから、
    すぐにどちらかに重心をうつしがちなのが通常だろうという状態だと思うのですけれども、
    しっかりそんな状態・状況に身を置いてモノを見る、恋人や他者を見る、内面を見る、
    そして言葉にしていくという態度は、
    小説を書いていく人ならではの特性か、いや、というよりも覚悟なのかな、という気がしました。
    きっと、そういった覚悟があると、居心地の悪い「狭間」が、
    独特な「汽水域」へと特別に生まれ変わるのかもしれません。
    よく見てみれば豊かで、気づくことができた人だけが獲得できるものがあります。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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