悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

著者 :
制作 : ピエール・ルメートル 
  • 文藝春秋
3.81
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本棚登録 : 3577
感想 : 452
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904807

感想・レビュー・書評

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  • 「その女、アレックス」は数年前に読んでいて読みやすかったし、登場人物が魅力的に描かれていたのでシリーズ第1弾を…と読んでみました。

    題名にもついているカミーユの妻イレーヌ。
    「その女、アレックス」で何か良からぬことがイレーヌの身に起こってしまったことはわかっていたのだけど、なんとも人物描写がぼんやりしていて儚いな…と思いながら読み進めるうちに『ああ、こりゃ殺されるな…』と。

    小説の中に出てくる犯罪を完全に再現する犯行とあって、カミーユたちのいる現実と作品の中に出てくる小説とを巧みに絡ませながら物語が進みます。
    現実か虚構か、ちょっとそれがわかりにくいところがあったかな。それが狙いだとしたらアレだけど。

    カミーユを取り巻くキャラクターたちは個性がちゃんと書き分けられていていいなと思いました。

  • 低身長の精神的にはうら若き部分も多々あるリーダーが部下たちと仕事をする話は、30代、40代の共感を得るでしょう。イレーヌが何やら終始良い人。もう少し人間臭くて良かったのでは?

  • 読み易い⭐️4
    胸糞小説⭐️➖2

  • この結末は途中から薄々予測ができて、そうなって欲しくないと読み進めるのが嫌になるほどでしたが、結局、やはりその結末になってしまった。

    いや、ほんとなんでこんな残酷で救いようのない小説を描くのだろうと甚だ疑問だ。だけどおもしろくないわけではない。読んでいる最中は不安に苛まれながらも頁を捲る手は止まらない。読んだ後は最悪だ、と嘆くばかり。

    おもしろかった!と一言で片付けたくない小説でした。

  • こ、これでよくシリーズ化したね……
    長い物語読んできてラストこれーーー
    作中作長すぎねーーー?
    そもそもタイトルで出オチーーーー
    とか文句ばかり出ますが、アレックスは買ったのでそのうち読みます

  • 読了、30点

    ***
    売春婦二人の惨殺死体が発見され、それを捜査するカミーユ警部たちはその殺人現場がある小説にそっくりなことに気付く。
    さらに現場に残された指紋から過去の未解決事件が再検証され、その現場も実は別の小説がモチーフであることがわかる。
    捜査を続けるカミーユの妻イレーヌの元にやがて魔の手が……
    ***

    まず最初にネタバレ全開で書くとこの小説は非常にアンフェアである。
    本書の構成は全編の8割強を占める第一部と残りの第二部のうち第一部が実は作中作で、小説を事件が内包し、その事件を内包した小説を第一部として読者が読むという構造になっている。
    問題は登場人物一覧が第一部の前に書かれ、かつその登場人物は第一部の中でしか登場しない架空の人物がはっきりと言及されていることである。
    これにより読者は第一部が作中作であると推理、予測することができる要素が一切なく、そして第二部で実は作中作を読まされていましたという不意打ちを食らう。
    この手法は『その女、アレックス』でも全く同様でサプライズさえあれば良い、という信念の人ならともかく、
    本格ミステリが好きな人間としてはこの手法は全く受け入れることができない。
    その上このサプライズ手法を除けばこの小説はただ単調に死体が発見されモチーフの小説が判明し、また死体が発見あるいは過去の事件が再発見されモチーフの小説が判明するという展開の繰り返しで、見所と言えるのはグロテスクな描写しかない。

    もう一つ、欠点としては本書の大部分を占める第一部に関しての描写やキャラクタの内面についてどう論じたところで無意味な点である。
    何故ならこの第一部は犯人が、いくらかの内部情報のリークと本人の取材を通してるとは言え、大半が想像で描いた作中作だからである。
    例えば捜査の過程で、容疑者として逮捕された古本屋店主に対して、犯人がはっきりと指紋を残しているのに何故一切言及がされないのか、頭をひねって考えたところでこれは犯人の想像だから、という答えになってしまう。


    同じ作中作というギミックの使い方で言えば、稚気や非現実的な要素に賛否はあるでしょうが、綾辻行人さんの『迷路館の殺人』の方が精緻に作り込まれていると思いました。

  • 気持ち悪いシーンが多すぎた。読まなかったらよかった。長い第一部だなぁ、と思っていたら、そういうことだったなんて!じゃあ私が応援してきたカミーユも、好印象のルイも、犯人の創造物でしかなかったのね。感情移入しながら読んで損した感じ。

  • かなり積読した。
    2部が有名だそうなので、2部勢いよくの読めたら嬉しい。

  • 仏警察小説。カミーユ警部がミステリー小説になぞらえた連続殺人事件に挑む。事件が残酷すぎるので星2つ。

  • 連続殺人犯のトリックの一つ一つが荒唐無稽で、未熟なSF小説のよう。ただ、警察側の人間関係や会話はおもしろい。

    舞台がフランスという小説は読んだことがなかったので新鮮だった。

著者プロフィール

橘 明美(たちばな・あけみ)
英語・フランス語翻訳家。お茶の水女子大学卒。訳書にスティーブン・ピンカ―『人はどこまで合理的か』(草思社)、デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス『経済政策で人は死ぬか?』(草思社、共訳)、ジェイミー・A・デイヴィス『人体はこうしてつくられる』(紀伊國屋書店)ほか。

「2023年 『文庫 21世紀の啓蒙 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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