女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 9505
感想 : 780
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907082

感想・レビュー・書評

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  • 女のいない男たちをあらゆる角度からこんなにも切実に、もの悲しく書けるのかと驚いた。
    登場人物たちが実在しているかのような語り口にたまにどきっとするし、それがまた読後もゆるやかな余韻を残していく。
    比喩やら何やらで頭がごちゃついて理解が追いついていないのに、なぜか心地よい。よく分からないけれどなんだか分かるような気がして好きな文章、の連続だった。
    もっとこの人たちの話を聞いていたかった。どれを読んでも短編じゃ物足りない!と思ってしまった。中でも「独立器官」と「木野」が気に入った。

    「ドライブ・マイ・カー」で語られていた、内で静かに血が流れつづけている感覚。それは「木野」にも共通する部分に思えたが、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も彷彿とさせた。あれも好きな作品だったな。また読み直そう。

  • 女性との出会いとか過去とかそんな男の短編集。
    長編小説がダルくなってきている私にはピッタリで楽しめました。
    映画のドライブマイカー見てから、何の気無しに買ってみましたが、映画のあれとはまた全然違いますね。この短編の幾つかのモチーフが混ざっているような、、、。
    喫茶店で1人のんびり過ごしている時の隣の席の人の人生を覗いているような、そんな身近で少し刹那な日常の描写が印象的でした。
    これで私の考え方が変わった部分はないが、兎に角人生のタイミングとか分かれ道とか誰と会うかとかは、その時々の自分と相手の選択で成り立っているんだな。と改めて思いました。

  • 村上春樹の短編小説すき

  •  本書の収録作品の一つ「ドライブ・マイ・カー」が少し前に映画になったということで一読。しかし読めば読むほど奇妙な文章を書く作家だと思う。子供の頃は何となく文体がバタ臭くて敬遠していたが、やっぱり読んでみると面白い。面白いのに、何でこれで面白いのか自分でもよく分からない。

     日本人のくせに、まるで翻訳文学のような文章を書く。それでいて小憎らしいほど御洒落だ。何が不思議かって、本来こんな翻訳みたいな文章が読み易い訳は無いのに、全然ストレス無く読めてしまうところだ。

     別に読み易い文章や文体が優れた文学作品の条件だとは思わない。寧ろ一文を噛み砕くのに時間のかかる文章こそが真に優れた文学だという意見もある。実際にそうした作品は存在するし、まあ、それはそれで一理ある。だからといって村上春樹の文学が低俗だと言いたいわけではない。

     思うにこの作家の書く文章は言語としての互換性が極めて高いのだと思う。否、自分は日本語しか解らないから比較検討のしようも無いし、だから根拠がある訳ではないのだが。まるで翻訳のような文章は恐らく英語か何かに翻訳したとき、殆ど原作の内容とクオリティを損わない(変容しない)のではなかろうか。而して若しこれが不特定多数の言語の上で同時に成り立つならば、確かに神業というほかはない。海外で村上春樹作品が高く評価される要因もその辺りにあるのではないか。

  • 映画を先に見て原作が気になり読んだ。
    村上春樹の小説らしい少し癖のあるキャラがどのストーリーにも登場して、飽きずに読めた。
    小説の後にもう一度映画を見ると更に楽しめた。

  • 短編集としては「レキシントンの幽霊」「神の子どもたちはみな踊る」に続いて3作目になる。ストーリーの面白さや完成度、メタファーの「切れ」はこちらがはるかに優れていたと感じる。村上らしい完成度の高い短編集。メタファーを堪能した。
    長編の「世界の終わり」や「ねじまき鳥」、「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」などと通じる「共通点」のようなものを随所に想起した。どこがと言われると具体的にとりあげるのはなかなか難しいのだけれども。

  • 映画「ドライブ・マイ・カー」のために同名短編読んでから放置していました…。「シェラザード」「木野」も映画に使われていた様子。
    「独立器官」「木野」が好き。

  • 遺された男たち。
    各々の内面が詳細に繰り返し書かれていて面白い。

  • 発売後すぐ読んで以来の再読。

    改めて感じたのは、言葉のチョイスがとにかくおしゃれ。
    独特の美しく紡がれる言葉たちは、正直良くわからない。理解したいと思って、息を止めて、ぐっと飲み込んでみても、わかるようでやっぱりわからない。でもわからない中に不快さはなく、不思議な心地よさがある。

    きっと数年後にまた読み返すだろう。

  • 村上春樹の本を初めて読んだ。想像より読みやすかった。過去の恋を思い出すような不思議な感覚になった。

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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