銀の猫 (文春文庫 あ 81-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914554

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  • 江戸を舞台に、介護業にたずさわる女性を描いた小説。
    作中では「介抱人」と呼ばれている。家庭に入り込んで老人の介護をする、現代でいう派遣介護ヘルパー業だ。
    この小説には2つの大きな筋がある。ひとつは主人公のお咲が介抱人として関わりを持つ老人や、その家庭をめぐる人間模様。もうひとつはお咲自身の母親、佐和との関係。
    仕事で世話をする老人に対しては愛情さえ持って接しているお咲が、自分の親とはうまくいかない。佐和の浪費家ぶりや身勝手さは、お咲の視点を通じて作中で繰り返し語られる。しかしその中でも、どうしようもない愛憎の念が見え隠れする。
    「ほんとにこんな綺麗な顔をして、中身が丸見えなんだから。(p51)」

    家族をめぐる感情のもつれは、どうしても重たく逃げ場のないものになりやすい。普遍的な問題を、現代でなくあえて江戸時代というファンタジーの中で描いている。
    「建前だけじゃあ気持ちは通じない。でもすべての本音を口に出したら、やはり傷つけ合うことが多い。だから昔の人は、孝という分別を作ったのかもしれません。元は雁字搦めのものじゃなくて、もっと緩やかな、互いの言い分が真っ向から対立した時はまず目上を立ててみる、子は親に従ってみる……そういう目安だったのかもしれない(p225)」

  • 嫁ぎ先を離縁され、「介抱人」として稼ぐお咲。一方、妾奉公を繰り返し身勝手に生きてきた自分の母親を許すことが出来ない。そんな時「誰もが楽になれる介抱指南書」作りに協力を求められ―長寿の町・江戸に生きる人間を描ききる傑作小説。(e-honより)

  • 江戸時代の介抱を書いた小説
    時代をすごく想像しやすくてめちゃくちゃ読みやすかった。主人公の母めちゃくちゃ腹立つほんっっとに腹立つ笑こういうのをくそばばぁって言うんやろなっておもった、どうせ介護が必要になっても減らず口ばっかでそれこそぽっくりいってほしいランキング1位!!大野さんイケメンだった、主人公はプロの介助だけど人としてはまだまだ未熟でその未熟さと、なにくそ根性がうまくかかれていた。
    最後は主人公の母と再婚相手の結婚を認め、自分が幼かった頃の母が自分への接し方への難しさがあった過去を知った。帰宅するといつものごとく猫をだき『遅かったねぇ』と呟かれる。
    互いの言い分が真っ向から対立した時はまず目上を立ててみる、子は親に従ってみる…思ってることは人の指先肌を通じて伝わる。
    生きるための知恵

  • 江戸での介護を職業にしている女性目線のお話。
    つながりのある短編集みたいな感じ。
    足腰の弱くなりつつある身内がいるので、読みやすい他の本を挟みつつじっくり読んでみる。

  • 澪つくしシリーズのような
    芯のある恵まれない環境の女の子が
    周りを変えて幸せを願うお話。

    言葉使いが良かったように感じた。

  • 美容師さんおすすめ本。

  • 江戸時代のヘルパーさん。
    当然江戸時代にも介護問題はあったはず。
    こんな素晴らしい介抱人がいたら本当に引く手余多だろう

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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