銀の猫 (文春文庫 あ 81-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914554

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の介護の話という現代にも通じるテーマが良い。だからこそもっとテーマが伝わるタイトルのほうがいいのでは…。
    下手にロマンスを発生させずに親子関係の微修復に話を終結させるあたりが好きだった。

  • 江戸時代に見立てた介護する側、される側、それを見守る周囲の人々の話。介抱人という職種は、きっと江戸時代に名はなかったのだと思うが、現代のホームヘルパーを想定させる。急死でない限り、次第に衰えながら死んでいくことになる日々を「こうしたら互いに楽になる」を目指して暮らしていくことを、豊かに描いている。介護にまつわる重さ、暗さを少し吹き払ってくれるおそらく作者の介護体験を基盤にした一冊だった。

  • 江戸時代を時代背景にした、介護を主題に、介護されるものと介護するものとの絆が描かれる。

    介護のプロであるお咲は、よく観察し、何をすればその人に良いかを考え、しかし決して押し付けない。
    介護でなくても、それが、なかなかできない。

    「誰もが楽になれる介抱指南書」を見たいね。

  • 今で言うところの介護ヘルパーを通して江戸時代の介護の様子を描いた物語。
    当時は後継ぎである男性が両親を介護することが当然だとか、今と変わらない年齢まで生きている人がいたとか、意外な情報はあったけれど、今も昔も介護を取り巻く苦労は同じですね。介護を美化することなく、苦労ばかり語るでもなく、あるがままを受け入れて最期を見送ろうというメッセージが心に沁みました。

  • 【一万円選書】
    江戸の世の話だけど介護については
    今も昔も悩ましい…。

  • 活字嫌いの人間が病院の待ち時間に読んでみたらハマりました。Kindleで無料の本を読みはじめても、何度も挫折してちゃんと最後まで読んだのは子供の頃の読書感想文ぶりです。朝井さん、まるで見てきたんですか?って思うような場の細かい表現がうっとりします。でも、説明しすぎない点が読者の想像力をかきたてます。読んでいる時、私はちょうど手術後の絶対安静の入院生活を送っていて介抱される側として自分が重なりました。是非、看護や介護関係の人たちに読んでほしい本です。

  • 913

  • 2022.9.13

  • 江戸時代の介護ヘルパー…という設定の職業人の話。
    全く知らない世界観で、どの老人に話も非常に興味深かった。
    介護しながら指南書を作るために自分自身の気持ちを見つめ直すくだりでは、今の介護にも通じる落としどころがあり、妙に納得した。

    介抱人としてはベテランで引く手あまたの主人公も、プライベートは恵まれているとはいえず、仕事をしながら気持ちの通じ合いにくい母と付き合い、わかれた元亭主とも借金返済のために会うという、そこを読むときはこちらの気持ちも沈んでしまう。
    ただ、周りには主人公の理解者がいて、なんでもすべて味方だというのではなく、必要な意見をちゃんと伝えてくれる。年齢層の離れた友人というか、おぶんや旗本家ご用人の大野、鳩屋のお徳らの一言一言に行く方を修正する主人公をほほえましく思う。

    好きな仕事、誇りを持ってできる仕事に一生懸命になれることが、読んでいて何より気持ちが良かった。

  • この本 うちにあったはず

    でもなんで読まないまま終わっちゃったんだろう?

    と思い 又 取り寄せて読みました。

    前は まだ 母を見送ったばっかりで読めなかったのかもしれません。

    江戸時代にも 介護人なんていたのかなあ!

    長寿の人もいたらしいし 世話はしなくちゃいけないから いたのかもしれませんね。

    行く先々で 様々なひとの介護をし その家族やまわりの人の状況もみんな違う。

    その仕事の大変さより 自分の母親との関係が大変!

    別れたまえの亭主も はんちくな奴

    この主人公お咲 勤め先の鳩屋と 世話しに行ったお宅で とても認められている。

    介護に行った先の元気なおぶん そして長屋のおっかさんを看取った庄助は お咲を温かく見守ってくれる。

    母親の佐和と一緒になってくれる光兵衛が 懐の大きないい人でよかった!

    姑がくれたお守り銀の猫を にぎりながら 一生懸命に生きる主人公

    いい作品です。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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