カミングアウト (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198933074

感想・レビュー・書評

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  • 数年前に面白いという評判を耳にしていたが、軽そうな内容に敬遠していた作品である。ミーハーだけど、第一回エキナカ書店大賞受賞ということで読んでみた。短編集と思いきや、連作短編で一つの物語になっており、確かに読むとストレス解消になる。

    自分と母親を否定する援交女子高校生、29歳の隠れロリィタOL、夫に相手にされず、出会い系に走る38歳の人妻、46歳の独身男性、夫の退職を機会に自由を手に入れようとする63歳の主婦と様々な登場人物が少しづつ絡み合い、結末へと…

    深いようで、深くは無い。奥田英朗の作品にも似ているが、やはり、軽さを感じる作品だった。

  • オムニバスだから、読みやすく面白く、スカッとする!

  • 誰にだって
    言いたいけど言えない秘密が
    ひとつやふたつあるはず。

    本屋さんで
    あまりにも可愛らしい装丁に手に取った一冊。

    いろんな服と自分を使い分けて援助交際する女子高生、
    ロリータが好きなOL、
    自分の中の女の部分を認めてほしい母親、
    結婚ができなかった課長、
    亭主の定年時に復讐しようと思っている妻、

    と、登場人物が次々と登場します。

    最初は短編だと思って読んでいて、
    「???」と終わり方に
    疑問を持ち、
    こちらで他の方のレビューを読んでみたところ、

    とりあえず最後まで読んでみて!
    繋がっているから、

    と書いてあったのでモチベーションを新たに
    読み進めました。

    物語に登場する人物たちは
    日ごろ人には言えない、けど言いたい!
    というものを心に秘めています。

    それをどのタイミングで言うのか、
    まわりの状況はどうなのか、
    自分はどうしたいのか、
    主人公たちは
    ぐるぐる悩んでいきます。

    わかるな~ってこともあり、
    なんか可愛らしいな~と思えることもあり。
    登場人物たちの設定で分かる通り、
    すっきりさっぱり
    笑えるし、読後感はあっさりです。

    ただ、こーゆー終わり方いいかも、と思います。

    私個人的には、
    みんなが少し幸せになったり
    少し微笑ましい感じが好きなので。

    亭主に復讐しようとしていた妻なんて、もう。笑



    私も本当は叫びたいんだ。

    王様の耳はロバの耳~!!!って。

  • 最初の2章読んだだけではこの本に違和感をもつ人もいると思います。なんだこれは、と。でも、そこで読むのを止めないでください。つながりはちゃんとあります。主に女性(10代~60代)が主人公で、年齢も境遇も様々なので自分が共感できる登場人物を見つけられるのではないでしょうか。僕が共感した人物は第1章で出てくる女子高生の「さちみ」彼女は援助交際をしてる子なのですが、それにはある理由があります。第1章だけ読むと「ルーズな子だなあ」という印象を受けると思いますが、後の章でなぜ援助交際をしているのか判明します。誰がつくったかわからない「神話」を僕たちはなんとなく信じている。それが必ずしも正しいとは限らないのに...。常識に囚われるのが嫌いなタイプの人は「さちみ」に共感できると思います。ところどころで笑える箇所があります。特にロリータ服趣味を隠している29歳の女性の章がよかったです。『トッカン』もおもしろいけど『カミングアウト』も負けてないと思いますよ。

  • 今読んで良かった。

  • 「トッカン」や「メサイア」の方が面白かったけれど、まとめ方とかすっきり具合は完成度高く、面白かった。

  • 誰にも言えない秘密や、言いにくいこと。それをカミングアウトした時自分や周囲はどうなるか…。女子高生やOLに主婦、婚期を逃した男性などなど様々な年齢や環境におかれた人がでてくる連作短編集。私はやっぱり主婦の二人に感情移入して読んだ。初恵さんの「我慢するのは大事、でも耐えるのはしんどいだけ。」という言葉。私もそう思う。

  • 最高!

    読んだあと、すっきりできる。
    青空を見ているような気分。

  • 数人の登場人物が一章ごとに自分の中のモヤモヤした部分を少しずつ告白。
    人に告白したり相談したりしてスッキリしたいけれど、勇気がでなかったりきっかけがなかったりして言えないってことは大小あれど、誰にでもありますよね。
    読んでいると、私からすればぜーーんぜん大したことじゃないじゃない?!って思うようなことを心に秘めている子がいたり、もうそんなの10年も我慢しないで早く離婚しちゃえよ!って思ったりしながら読み進めていました。
    そして最後の章で、みんながそれぞれにカミングアウト!
    大声で叫んだり、定年退職する夫に仕返ししたり、誰かに打ち明けたりして、スッキリ!!

    結局、誰かに言ってしまえば全然大したことじゃなかったんですよね、みんな。
    それを言えなかったからモヤモヤしていたんだよね。
    私は特に定年退職する夫に10年ごしの綿密な計画をたてて仕返しした女性の豹変ぶりに笑いました。
    なんか読んで、私までスッキリしましたよ。

  • 心の中に抱えた秘密。言ってしまったら取り返しのつかなくなるような言葉。いまなら、言えるんじゃないのか――。コインロッカーに衣装を預けて複数人格を楽しむ17歳の女子高生さちみ。ロリィタ服趣味をひた隠しにしつつそろそろ結婚もしたい、プチお局の29歳OLリョウコ。母としての役目を終えつつあり、妻として、女としての居場所を探し求めて悩む主婦。"それ"をカミングアウトしたとき、自分は、周囲は、どう変わる?ストレス解消、すっきりエンタメ。

    最終章を読むまではすごくまとまりのない感じでここで終わるの?って感じだったのですが、最後でようやくすっきりする。リョウコの話はちょっとがっかりした。個人的にああいう虚しい終わり方が好きじゃない。誰しも秘密はありますが、誰か一人にでも打ち明けられればいいなと思います。逆に私は誰にも言ってない秘密ってそんなないかも・・・。家族や友人が信頼できることが何よりも嬉しいことかもしれないと、それぞれのストーリーを読むにつれて感じました。

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著者プロフィール

1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。主な著作に「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』、『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、『マル合の下僕』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』、『主君 井伊の赤鬼・直政伝』(文藝春秋)など。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。

「2023年 『忘らるる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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