南アルプス山岳救助隊K-9 逃亡山脈 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198944681

作品紹介・あらすじ

イッキ読み間違いなし!

『約束の地』で大藪春彦賞、
『ミッドナイト・ラン』でエキナカ大賞を受賞した
樋口明雄のメインシリーズ〈K-9〉最新刊!

事件に巻き込まれた刑事を、
静奈とバロンは救えるか!?
救助犬とともに生命を救うため奮闘する
山岳救助隊員の活躍。

警視庁阿佐ヶ谷署の大柴刑事は、本庁警備一課から
山梨県警南アルプス署に拘留中の窃盗被疑者・
高沢の移送を命じられた。
以前〈クリムゾン・ウイルス事件〉で捜査を共にした
南アルプス署山岳救助隊の神崎静奈(せいな)は、
残念ながら北岳で救助活動中。
担当の東原刑事から高沢の身柄を引き取り、
東京へ戻る帰路、移送車が大型トラックに
追突された。
さらに追走するトラック。
明らかに自分たちを狙っている!
大柴は南アルプス署に連絡し、東原を呼び出すが、
そういう名前の刑事はいないという。
高沢に事情を尋ねても沈黙を守ったままだ。

一方、山を下りて署に戻った静奈は、
署員から大柴が事件に巻き込まれていることを知り、
愛犬バロンとともに現場に急行する。

追跡者の目的は? 高沢はなぜ沈黙を守るのか!?
大菩薩峠から奥多摩、逃避行の行く末は――

文庫書き下ろしハード・チェイス・アクション!

感想・レビュー・書評

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  • <南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの9冊目。
    巻頭に北岳付近の地図がないと思ったら今度も山から離れてのアクションか。

    「クリムゾンの疾走」に出て来た大柴が再び登場。本庁から南アルプス署で拘留中の窃盗被疑者の移送を命じられた大柴が事件に巻き込まれ、一方、休暇で山を下りていた静奈がそれを知りバロンとともに現場へ向かうという展開。
    大柴は飛び来る銃弾を間一髪でかわし続け、静奈は一足遅れを繰り返し、ようやく追いついてからは車を捨てて山を縦走する逃避行。追手は後ろから前から上からと、来るわ来るわ。それをひとりずつ屠っていく静奈の強いこと強いこと。
    テンポよくサクサクと読めたが、話としてはちょっと雑。
    幹線道路を閉鎖したり、バスの運転手が巻き添えで亡くなったり、主人が匿ってくれた家で奥さんが警察に通報したり、あれだけ市民を巻き込んでおいて何もなかったことにされているというのも、フィクションなりのリアリティに欠ける。

    「クリムゾンの疾走」の感想に『このシリーズでは北岳で犬たちが活躍する話を読みたいね』と書いたが、今回は尚更にそう思った。

  • 〈南アルプス山岳救助隊K-9〉シリーズ。

    「クリムゾンの疾走」の阿佐ヶ谷署の大柴が再登場。
    南アルプス署に勾留中の窃盗被疑者の移送を命じられ、後輩刑事と共に車で移送中、何故か大型トラックに追突される。しかしこれは悪夢の始まりでしかなく…。

    『大藪春彦の小説じゃねえんだ』
    という大柴のセリフがあるが、私に言わせれば『新宿鮫』かよ!という印象。あっちは桜田商事(あるいは桜井商事?)だったかな。

    つい最近、政治の世界で大いに盛り上がったあの問題が取り上げられているが、そこにここまで冒険要素を絡めるとは。
    こんなことが、まさか現実にはないだろう…と言い切れないのも政治の世界に不信感が高まっているからか。だが、さすがにこれはやり過ぎかな。そもそもプロの仕事ならもう少し自然に見せるよう、上手くやるだろう。
    神崎静奈のクールさと強さが光り、格好良かった。しかも体一つで闘うのだから、大柴でなくとも惚れてしまうだろう。

    ただ『山岳救助隊』シリーズというには、今回は静奈がジレンマを抱えるように、何を以て『救助』というのか難しいところ。良い人は助けるが悪い人は助けないのか?
    そもそも良い人悪い人とはどこで線引きするのか?
    毎回悪役がはっきりしているこのシリーズだが、人間はそこまで白黒はっきりした生き物ではない。

    派手な闘いを描いた割にはあっけなく終わったのがちょっと残念。
    夏実を始め救助隊グループがあまり出て来なかったのも残念。
    しかし大柴との絡みがこれからもあるのか、そちらは少し楽しみ。

  • 大好きなK-9シリーズだが、昨年発売されていたのを見落としていた…
    新作が出ていることを、ブクログで知り、さらに読んでいない作品があることに気づくと言う失態…
    そんな読み逃していた今作だが、今作の舞台は夏美や静奈のホームである北岳ではなく、南アルプス署から警視庁へ護送される容疑者が何者かに狙われ、南アルプス市内でのカーチェイスや、山梨から東京に抜ける山が舞台であり、主役は阿佐ヶ谷署の大柴刑事。以前、他の事件で顔見知りになった静奈は大柴の危機を知り、休日返上で彼を助けようとする。
    大柴が護送するように依頼された容疑者が、何故警察庁などの謎の組織から狙われるのかも、よく分からないし、味方かと思う人間がほぼ敵で、ラストは敵の中に飛び込んだのに、何の展開もなく、終わってしまい、いつものシリーズ自体の面白さがない。
    スリルだけで読むと、一気に読めるけど、夏美も他の隊員も出て来ないK-9シリーズは少し寂しい。

  • やはり、樋口明雄氏の書く本は面白い。
    冒頭から切れ目なく続く連続した緊迫感と繰り出されるアクション。
    そして、静かで切なく、自然の中で、きっちりと方をつけるエンディング。
    天空の犬シリーズの読者には堪らないし、天空の犬シリーズを知らない人にもお勧めできる一冊。

    冒頭出てくるのは、いつもの星野夏美と神崎静奈。
    天空の犬シリーズの始まりかな?と誤認するのだが、すぐに彼女たちは山を下りる。
    その後、夏美は姿を消し、美しき武闘家神崎静奈巡査の戦いが始まる。
    樋口氏の書く物語の背景は、いつもとてもリアル。
    日本の国という組織、政治、そして警察という組織に存在する悪。そのリアルに翻弄される現場警察官と元官僚。
    像絶な戦いの後にやってくる山の景色と静寂。

    天空の犬シリーズが始まった時に、神崎静奈巡査はここまで重要な役割を占めていたのだろうか?
    いや、彼女はきっとシリーズの中で徐々にその姿を現していき、ついにメイと夏美のコンビ抜きの物語を成立させてしまったのだろう。
    天空の犬シリーズがメイと夏美の物語であるとしたら、本作品は神崎静奈の物語だったと思う。
    ごめん、バロン。君は活躍したけど、静奈さんの活躍がすごすぎる。

  • 「いきなり文庫本」の『クレムゾンの疾走』と同じく、山岳救助隊の神崎静奈が主人公。
    カーチェイスあり、銃撃戦(人が死にすぎる!)ありの、ノンストップアクションエンタメ。
    「クレムゾン」で関わりあった警視庁阿佐ヶ谷署の大柴刑事が陰謀に巻き込まれ、警察からも追われる羽目に。
    彼を助けるべく、静奈が愛犬バロンとともに救出に向かう。
    彼女の目も覚めるかのような活躍に、猛暑も忘れる一気読み。
    陰謀の背景にあるのは、「地方財務局が国有地を不正価格で私立学園に売却した」(どこかの国で聞いたような!)事件だとか。
    静奈たちの前に立ちはだかるのは、「政治家の犯罪の証拠隠滅のため、事故や自殺に見せかけて他人を殺す秘密公安組織」!!
    さすがにこんな組織は、フィクションだろう(もし、現実にあったりして恐恐・・・)。
    最後「この国は一つの大きな組織だ」とか?・・・

  • 樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 逃亡山脈』徳間文庫。

    文庫書き下ろしのシリーズ最新作。

    なかなか面白いストーリーなのだが、モヤモヤ感が残るあっさりした結末が少し残念。今回は『クリムゾンの疾走』に登場した阿佐ヶ谷署の大柴刑事と南アルプス署の山岳救助隊員にして、空手の達人である神崎静奈と相棒のバロンが大活躍を見せる。

    突然、上層部の呼び出しを受け、南アルプス署に拘留中の窃盗犯の移送を命ぜられた大柴刑事は相棒の小坂刑事と共に南アルプス署に赴き、窃盗犯の移送を開始するが、大規模な陰謀に巻き込まれるが……

    余りにも人が死に過ぎるのはどうかと……

    本体価格740円
    ★★★★

  • バロンの出番が少なかった。大柴さんの大活躍はスッとしながらホント?と思う。そこまでの組織悪は無いと信じたいのだけど。

  • 山岳救助隊シリーズ。
    『クリムゾンの疾走』に出てきた阿佐ヶ谷署の大柴が、被疑者の移送を命じられて南アルプス署にやってきて、事件に巻きこまれ、警察と秘密公安組織〈キク〉から追われ始める。
    周りの誰も信じられなくなる中、被疑者高沢を守って動く大柴。大柴を助けようと追う静奈。
    ハイスピードで一気読みして、面白かったけれど…山岳救助隊としての話が恋しい。

  • 2019.5.25読了
    K-9シリーズ 静奈とバロンが大活躍するが、山のシーンが少ない事が残念。雲取山中での格闘はドキドキするし、最後の北岳でのシーンはホロッとした。警察不信感は高まる内容。
    またクリムゾンの疾走を先に読んでおくべきだった。

  • 公安という巨大な悪(笑)が時々作品にでるが
    バトル担当の神崎静奈が大活躍する
    今回も話の展開は上手なのだが、ラストが謎
    の御情けっぽい終わり方で消化不良
    峠越えシーンはシリーズ的に必要(´・ω・`)

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著者プロフィール

1960年山口県生まれ。明治学院大学卒業。雑誌記者を経て、87年に小説家デビュー。2008年『約束の地』で、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年刊行には『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ大賞を受賞。山岳救助犬の活躍を描く「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの他、『狼は瞑らない』『光の山脈』『酔いどれ犬』『還らざる聖地』、エッセイ『北岳山小屋物語』『田舎暮らし毒本』などの著作がある。有害鳥獣対策犬ハンドラー資格取得。山梨県自然監視員。

「2022年 『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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