捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ (SDGsノンフィクション食品ロス)
- あかね書房 (2021年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784251073112
作品紹介・あらすじ
捨てないパン屋として評価される田村陽至氏の人と思想を、食品ロスの専門家として数多くの受賞を誇り、食品ロス削減推進法成立の原動力となった井出留美氏が活写する。田村氏のモンゴル滞在の経験や、ヨーロッパへのパン修行の旅など、美しい自然風景と感動的なエピソードを交えながら、捨てないパン屋になるまでの葛藤を通じて、自然への深い愛情と、食品ロスなき未来への希望を描いたノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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小学校高学年向けの読書感想文の課題図書だった。
パンが好きでパン屋を始めたのに、売れ残りを廃棄しなければならないという矛盾。そのジレンマを解決するための試行錯誤の日々が綴られている。
とても共感できる本だった。 -
2022年読書感想文コンクール夏の課題図書 高学年の1冊。
https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html
子供の頃に大好きだった裏山が壊されてから、自然や環境保護の仕事につこうと思った田村陽至少年が、「捨てないパン屋」になるまでの考えや行動を取材して書かれたドキュメンタリー。著者は食品ロス問題の井出留美さん。
副題が「SDGsノンフィクション食品ロス」というなんか長ったらしいものになっていますが、この1冊で食品ロス以外の項目にも繋がっています。SDGSって結局は繋がっているんですよね。
(SDGSとは:
「持続可能な開発目標」という意味。
地球に住むにあたっての多くの問題を地球に住むみんなで協力して解決しましょう、というお約束事。
国連が、2016年から2030年の15年間でこれをやり遂げましょうという17個の項目を決めた。
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/)
副題の通り、SDGs複数項目のことにも考えられるようになっています。
自然との一体感の幸福を書くことで、環境問題やクリーンエネルギーの必要性が伝わります。
1日20時間近く働き大量廃棄せざるを得ない日本のパン屋さんと、1日4時間働いて環境によくお客さんに喜んでもらえてるフランスのパン屋さんを書くことで、労働とはなんだろうと考えることができます。
買い物とは投票で良いものを買うことがその物へ応援になるという考えは、読者層の小中学生でも実施できる、自分たちの将来の環境を良くするためのとっかかりに成ると思います。
その反面、やりたいことをやった!だけでなく、児童向けに親しみやすい言葉で書かれていますが、辿った道のりはなかなかハードなところも見え隠れします。拘りたいがあまりに空回りとか、陽至氏に任せて世代が変わったと退職していったご両親や職人さんとか…。
現在も田村陽至氏のパン屋さんは変化を続けているということで、人間が目指すものはゴールはなくやりたいことをやること、結果を出すことがどんなに難しくても諦めず色々な方法を探っていけば道はあるということが子供たちに伝わるといいです。 -
娘が学校から借りてきて、面白いから読んで!と勧められて読んだ本。
パンに対する愛情、廃棄させないという想いに感動して読み終えてすぐにネット検索してこのパンを買いました!
でも選定図書になっていたのも手伝ってか、届くまでに1か月程待ちました。
届いたパンは大きくてずしりと重く酵母の香りと酸味のある味で、これがフランスの人が普段食べている味なんだねと美味しく頂きました。
読んで見て食べて、五感をフルに使った一冊になりました。 -
2022年課題図書、高学年の部。
パン屋に生まれたのに、
パンが嫌いだった。パン屋になんかなりたくなかった。という田村さんが、どういった経緯で、どうして「捨てないパン屋」になったのか。
とても面白く読みましたが、これを小学生がどう受け止めるんだろう。感想文、面白いものが読めそう。
日本人が好む菓子パンや食パンを作るのをやめた田村さん。
私たちが普段通っているパン屋がどのくらいロスを出しているのか。知る、考えるきっかけになれば。
「ゾウの森とポテトチップス」とセットで紹介して、SDGs関連の読書、授業支援に使いたいところ。モンゴルの食生活のありかたも。 -
食べることは、他の命をいただくという有難い行為。簡単に食べ物を無駄にすることをやめようと思った。敬意を払うことを忘れないように心に刻みたい。
食べることが環境問題にも繋がっていく。だから物を買う時、それは投票と同じなんだという考えに共感した。
確かにそうなんだけど、やはり安い物を求めてしまうのもこれまた事実。
理念だけでは生きていけないのだけど、理念を無視するのも違う。
たとえ100回に1回でも、理念を大切にした買い物ができたらな。 -
今年の「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書。(小学校高学年の部)なのにオトナが読んでみた。
ガチなパン好きの上司から、「ここのパンを定期購入で買っている。材料にこだわった主食として食べられる美味しいパンで、食品ロスを出さない工夫をし、持続可能な働きかたをしている」と聞いたのがきっかけ。
読んで、まず文章がとても読みやすくて面白い。SDGsという少し構えてしまうテーマだけど、書いてあるのは「ブーランジェリードリアン(捨てないパン屋)」の店主が見たこと、思ったこと、行動したことだけ。クスッと笑えるエピソードもあり。
あと!かわいい挿絵が秋草愛さんだったのが嬉しかった。広島つながりかな?
店主の行動力はすごいし、国内外さまざまなものを見てこのスタイルに辿り着いたのはよくわかった。ただ手放しでこれはすごい!感動した!ともならず……。
それは自分が日本式の消費生活にどっぷり浸かっているからなのだろうか。奥さんと二人の今の体制になるまでに辞めてもらった従業員たちのその後もちょっと気になってしまったり。
「買いものは自分たちの未来を選ぶ投票なのです。
選挙のとき、どの候補が自分たちの未来をまかせるのにふさわしいか選ぶように、どの食べものを自分たちの未来にのこしたいかと考えて、買うものを選ぶのです。」
このくだりが刺さった。私はこう考えて毎日の買い物をしているだろうか。これからは意識してみよう。
ドリアンのパンを食べてみたい、とウェブサイトにアクセスしてみたけれど、全品ソールドアウト。新参者には敷居が高そうです。 -
素敵なパン屋さんに拍手!たくさんの人に読んでもらいたい作品。
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捨てないパン屋は、かんきょう問題に取り組んでいるパン屋さんのことだった。売れ残ったパンを捨てないようにしていたり、てんか物を使わなかったり、材料を国産の小麦にしている。
モンゴルの人やフランスのパン屋さんを参考にして、そういう工夫をするようにしていた。
ぼくは、モンゴルの人がえらいと思った。理由は、羊の骨のずいまで残さないで食べているから。それが、羊に対するれいぎだと考えている。
ぼくは、きらいなものを残したり、すぐに「食べきれない」と言ったりする。うちでは家族に食べてもらえるけど、給食は残してしまうこともある。だめだと思った。
田村さんがパンを作っている手をはずかしいと言っていたけれど、ぼくはかっこいいと思った。理由は、がんばっているしょうこだから。
ぼくも、かんきょうや動物に関する仕事に興味がある。給食を残さないことから始めることはできると思った。食べものは、もともとみんな生きものだから、残さない。
田村さんのパンを食べてみたい。モンゴルの草原をぼくも馬で走ってみたい。(小5)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/305704