小川洋子の偏愛短篇箱

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019161

感想・レビュー・書評

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  • 2010.6
    小川洋子の好きな短編を集めた一冊。
    それぞれの作品に寄せられた解説エッセイも面白い。

    私にとって小川さんは信頼できる作家さんのひとりです。
    文章を読んで信頼って大げさかもしれないけれど。
    作品を読んで直後にぐっとくるというより、後からじわじわと体内に広がっていくようなものが多いです。
    ふつうの中の研ぎ澄まされた点を集めたようなふつう。

    なので、その感覚を持つ小川さんの紹介となると最初から信頼してしまっているわけですが。

    とても面白かったです。

    気に入った作品。
     「件」 内田百ケン
     「こおろぎ嬢」 尾崎翠
     「兎」 金井美恵子
     「風媒結婚」 牧野信一
     「力道山の弟」 宮本輝

  • 小川洋子さんの好きな短編16作品。どれも小川洋子さんの作品に通じるような不思議なテイスト。難しくてよさがよくわからない作品もあったけど、気に入ったものもたくさん見つかった。内田百閒『件』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、武田百合子『薮塚ヘビセンター』、三浦哲郎『みのむし』、宮本輝『力道山の弟』、田辺聖子『雪の降るまで』

  • 前書きにあるように、小川洋子さんの宝箱を見せてもらうというファンにはたまらないアンソロジー。好きな作家さんとはいえ違う人間だから、面白く感じないかもと思っていたけれど、全然そんなことない。素晴らしい読書体験だった。

    印象に残ったのは川端康成。こんなに良いとは知らなかった、、、
    読むテンポを一段階落とされる。何も意識していないのに、文字の羅列を読むだけでその人の世界観に落とされていく。これがすごい作家だ。

  • 一言で言うと、濃かった。
    小川洋子さんが選ぶ様々な作家さんの様々な短編を集めた一冊。どれも一筋縄ではいかないという感じ。

    私が好きだなと思ったのは森茉莉さんの「二人の天使」、田辺聖子さんの「雪の降るまで」、吉田知子さんの「お供え」でした。

  • 小川洋子さんの短編集だと思ったんですが、実は小川さんの選んだほかの作家さんの作品集です。乱歩や田辺聖子など、「私と好み被るなー」というラインナップで、それなりに楽しめました。

    短編集ですから、キリのいいところで読むのを切り上げることができるので、寝る前に読むのをオススメします。

    内容は小川洋子さんらしいというか、不思議でどこか歪な物語ばかり。初見の作家さんもいるので、新しい発見がありました。

  • 内田百けん 件
    江戸川乱歩 押絵と旅する男
    尾崎翠 こおろぎ嬢
    金井美恵子 兎
    牧野信一 風媒結婚 
    谷崎潤一郎 過酸化マンガン水の夢
    川端康成 花ある写真
    横光利一 春は馬車に乗って
    森茉莉 二人の天使
    武田百合子 藪塚ヘビセンター
    島尾伸三 彼の父は私の父の父
    向田邦子 耳
    三浦哲郎 みのむし
    宮本輝 力道山の弟
    田辺聖子 雪の降るまで
    吉田知子 お供え

    力道山の弟は、どこかで読んで覚えていた。
    短い解説が、苦手な作者にも親近感を覚えるようになったのが、この本を手に取った利点だと思う。

    多くの小説が、小説家の解説を読んでから手に取るようになってきたので、この本は、ちょうど宝箱のようだ。

  • 小川洋子さんが密かに楽しんでいた短編の数々を紹介してくれるというしかけ。それぞれにエッセイがついています。やはり小川さんは変人ですなあ(笑)。


     ちょっと不気味なものが多いんですね。江戸川乱歩の「押絵」のやつ、もしかしたら京極の『魍魎の匣』ってこれからヒントを得ているのかなと思ったり。

     あんまり面白く思えないものもありましたので星は3つ。もっと小川さんのひそひそ話しを聞きたかったな。

     ラストの「お祓い」でしたっけ、なんかこれでいいのかって終わり方でしたけど、昔ある人が「小説には落ちをつけてはならない」って言ってたっけなあ。

     谷崎のエッセイみたいなのも興味深かったです。春川ますみさんって妖艶だったのね。赤いなんとかっての主役やった人ですね。

     文豪たちの文章は今読んでも簡潔でうまいですねえ。エンタメばっかり読んでいないでたまにはこういうのも読まなくちゃって思いました。あれ、去年もおんなじこと書いたような。。。。

  • 小川さんらしい、一風変わった短編ばかり。
    この本を読まなかったら、おそらくは出会えなかっただろう。

    全体的にほの暗いもの、ダークな雰囲気を醸し出す作品が多い。
    決してファンタジーではないのだけど、日常的な中に、非日常なものが入り込んでくるかんじ。

    「みのむし」「お供え」は最後にびっくり。とくに「お供え」は何となく物事が見え始めてからの文章の力がすごくて、何が起こってしまうのかとドキドキした。最後のぴしゃんとした終わり方も相まって印象深い作品。
    「兎」もすごかった。猟奇的な作品だけど、なぜか惹かれる。

    語れる短編ばかり。

  • この本を読まなかったら、たぶん一生読むことがなかっただろう作品がたくさんあって良かったです。
    川端康成を初めて真面目に読んで、すごくいい、と思いました。
    島尾伸三の話も切なくて好きだった。
    「兎」はまさにラビットホラー!でも嫌いじゃない。

  • 小川洋子氏セレクト短編集。しかも偏愛ってタイトルついてちゃ即買いです。¥1,900でも。
    小川洋子氏がかねてから大事に集めた作品16編を「奇・幻・凄・彗」に仕切りして納めた箱、です。

    私が好きなのは「押絵と旅する男」江戸川乱歩、「兎」金井美恵子、「耳」向田邦子、「力道山の弟」宮本輝、かな。
    押絵~は、映画「魍魎の匣」の中で先に体験済みで、読んでるうちにあの映画で見た!と気付いた次第で原作読めてよかったです。
    「件」の小川氏の解説も好きです。本編はまだ充分に私には解っていないので…。「
    読んだけれどまだまだ攻略出来ていない、他の作品をたまに読むのが楽しい本です。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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