「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020921

感想・レビュー・書評

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  • 同窓の先輩にして現代日本を代表する知の巨人、高橋源一郎氏の「あの日」から同年内のテクスト集。
    「『あの日』から僕が考えている事」とも被り、散文集ながら興味深い内容だった。

  • 東日本大震災とそれに伴う原発事故。Twitterで語り続けた作家の「考え」がリアルタイムで記録されていたことに注目したい。時間と共に「考え」は変わっていく。あまりにも巨大な「敵」の出現に翻弄されながらも、日常のくらしは続いていて、ささやかな子供との対話に救われたりもする。この3年間で変わってしまったのは直接の被災者はもちろんのこと、すべての日本人がそうであるようにも思う。「正しさ」について考え続けることはなかなか大変だ。でもそれをしなくてはいけない。

  • この本に限らず高橋氏の本は、読書中の読後も色々と考え込んでしまうのである。

  • 個人的にすごく好きな本。
    まあ、高橋源一郎氏は酒乱らしいけれど。

  • 普通の日々の中にあの日があって、あの日の後も生活は続いているのだと感じる。

  • 3・11からのTwitterなどをまとめた本。これも歴史の記録なんだろうなあ。

  • なんだか助けられる本。

  • 2011年3月11日以降、この年に高橋源一郎が書いたツイッター上の「ことば」と、この年に書いた小説、評論、エッセイ(ものによってはその書き出し部分)が編まれた本。3月11日からのあの年に、何を書こうとしたかを知ってもらいたいと思った、と書いてある。

    2009年の暮れにツイッターを始めたという高橋は、ある晩「午前0時の小説ラジオ」という番組を始めた。午前0時から1時間近く、一つのテーマについて連続してツイートする。そうしてインターネットの「海」へ流れていった「ことば」について、高橋は、「街頭に立って、ギターを弾いたり、詩を朗読する人のようだった」(p.4)と書く。

    ▼多くの場合、街頭を歩く人は、ほとんど無関心で、その弾き手や、朗読者の横を通りすぎてゆく。それでいいのだ、と思った。生々しい「ことば」が飛び交い、直接、取り引きされる現場に、自分の「ことば」を置いてみること。それは、ずっと、ぼくがやりたかったことのような気がした。(p.4)

    高橋はそれまで、ツイッター上の「ことば」を出版してみませんかという申し出を断ってきた。だが、このたびの本に出版するつもりのなかった「ことば」を載せようと思ったのは、「「あの日」の前と後で、なにが変わったのかを知りたいと思ったからだ」(p.7)という。

    そんな高橋の「午前0時の小説ラジオ」で流された「ことば」の一節。

    ▼「正しさ」の中身は変わります。けれど、「正しさ」のあり方に、変わりはありません。気をつけてください。「不正」への抵抗は、じつは簡単です。けれど、「正しさ」に抵抗することは、ひどく難しいのです。(p.33、2011年3月21日の「午前0時の小説ラジオ」、テーマは「祝辞」)

    ▼プラグマティズムは南北戦争の焦土の中から生まれた。「自分たちは正しい」という二つの主張のぶつかり合いが無数の死者を作り出した。だから、一群の人たちは、対立ではなく、自分の正しさを主張するのでもなく、世界を一歩でも良きものとする論理を生み出そうとしたのである。(p.132、2011年10月17日の「午前0時の小説ラジオ」、テーマは「分断線」)

    ▼祝島は、みんなで手をつないで、ゆっくり「下りて」ゆく場所だ。「上がって」ゆく生き方だけではない、そんな生き方があったことを、ぼくたちは忘れていたのだ。それは、確実に待っている「死」に向って、威厳にみちた態度で歩むこと、といってもいい。(p.163、2011年12月12日の「午前0時の小説ラジオ」、テーマは「祝島」)

    『We』が、"「こうあるべき」という正論を極力排して、「ゆらぎ」や「迷い」を大事に"誌面をつくっていきたい、と言ってるのと、なんか似てる気がした。

    私はむかし、かなり「正しい」人だった。「正しい」ことを言いつのる人間だったな…という自覚がある。その「正しさ」で人との間がぷつっと切れたこともあるし、ぶったぎったこともある。いまもたまに(あ、自分は「正しい」ことにこだわっているかも)と思うことがある。私がなんで「正しさ」につかまるようになったのか、そこは自分でもよくわからないけど(親の影響もそれなりにある気はするが)、「正しさ」は気をつけないとこわいもんなんやと、あるとき気づけたことは、よかったなと思う。

    私はいまのところツイッターをしてみようという気はないが、路上のギター弾きのような、というのはちょっとおもしろいなと思った。

    (1/23了)

  • やっと読み終わった。大事なことが、たくさん書いてある。

  • 地震のあった年に、氏が発信したtweetと書いたものの冒頭の引用。
    趣旨には賛同したのだけれど、私にはtweetは再読だし、書いたものは冒頭の一部だしで、残念だけれど物足りない。結局、かなりの消化不良。

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著者プロフィール

作家・元明治学院大学教授

「2020年 『弱さの研究ー弱さで読み解くコロナの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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