服従

制作 : 佐藤優 
  • 河出書房新社
3.55
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本棚登録 : 1073
感想 : 113
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206783

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優さんのおすすめ。現実のほうがこのフィクションに近づいているようで何とも不気味です。

  • 久しぶりに小説を読んだ。
    何でも、本国フランスではこの本の発売日に、偶然にもシャルリー・エブド襲撃事件が起こったということで相当話題になったらしい。
    ごく簡単な筋書は、少し未来の2022年のフランスで行われた大統領選挙で「ファシストかイスラーム主義か」という二択の末にイスラーム政権が成立し、生活の風景がイスラーム式に変わっていく中でフランス人の主人公が今後の身の振り方を考えていく、というもの。
    (どうでもいいけどこの主人公、優秀な大学の教員だが厭世的で無気力な「やれやれ」タイプ。なのに女性にはそれなりにもてるという、村上春樹の小説に出て来そうな、もてない男の劣等感を煽るキャラクター設定。なんとも虫が好かない。)
    あまり物語の根幹には絡んでこないけれど、決選投票で敗れた、移民排斥を訴える極右政党「国民戦線」とその代表マリーヌ・ル・ペン氏は実在しているのだそうな。

    そんなに長い話ではないけど、この物語のメッセージを要約するとこんな感じ。
    「現代西洋文明、特にフランスでは『人間中心主義』を掲げて『自由に生きる』ことを最も良いことだと無意識的に思っていたけれど、果たしてそれは大見得を切るほど正しいことなのだろうか。正直、『自由』を突っ張るってしんどいよね。最近EUもうまくいってないし。いっそのこと、君たちが好かないイスラームに『服従する』のも悪くないかもよ。頭の良さそうな人たちだって、金や権力といった利益を鼻先にぶら下げれば、なんのかんのとそれらしい理屈をつけても宗旨替えをするでしょう。所詮インテリなんて弱い生き物。さあ、あなたはどうしますか」
    似たようなベースラインを持っている(ように思われる)「帰ってきたヒトラー」も買ったので、次に読んでみようと思う。本当は映画を見に行きたいのだけど。

  • ものすごく現実的なストーリーかつ結末でゾッとした
    ゾッとするだけでなく、いつかのために心構えをしておかなければ

  • ウエルベックの過去の著作を読み返してみるとこの最新作の「服従」への道筋がより鮮明になる。モテ、非モテのセックス格差、高度のグローバリズム下における”心の満ち足り”、分断された個々人の癒えない孤独、西欧をはじめとした先進各国の地盤沈下、それらの国々の人々が抱える不安、宗教への回帰etc・・・。
    闘争領域の拡大や素粒子ではあった露悪さ、あからさまな性的描写は近年の著作では影を潜めた代わりにこの作品では主人公は”服従”を行い満足を得るであろうことが示唆されている。
    水面に石を投げ波動を発生させることにかなり成功したのではあるまいか。

  • 何だかムツカチイ感じだが、最近よく目にする反知性主義ってこのことかしら。

  • 宗教ってなんなんでしょう

  • 話題だったので。70ページぐらいまでよくわかんなかった。
    てっきりディストピアの話かと思いきや、そうでもないというか、有り得るんだろうか。

  • 本当にこんな未来が待ってるのかもしれない。その時アジアはどうなってるのかな

  • 面白かった。以下概略の説明。
    ・・・人間至上主義、自由競争主義に陥った現代社会が人間たちをどこへ運んだかというと、終わりなき欲望の絶海、機能不全に陥った家族制度、つまり文明退廃への道筋であった。人は何処まで行っても自然に隷属していて、逃れることはできない。自然から切り離されることは死を意味する。それを自覚させる最良のシステムが宗教、それも一神教の長、イスラームである。現代自由民主主義、宗教改革以降のキリスト教、共産主義、資本主義、ニヒリズム、無神論…地上にはいくつもの、人々を救うための様々な思想や実践的な手法が開発されたが、それらは結局人々を救う最良の方法ではなかったことを作中のムスリム知識人たちは論理的に説得する。キリスト教社会の中心地フランスで、イスラームがなぜ勃興したか。なぜ民主的占拠手続きを経てイスラーム政党が与党となったか。彼らはそれらの理由を極めて平和的に訴える。
    これは最終的に、一人の無神論者がイスラームへと改宗するに至る物語なのだが、世俗的な描写が多くて、男がイスラームに転向する理由もひどく物質的である。しかし、それがかえって男の精神世界の向上を助けるのだから、面白い。結局私たちはどこへ向かえばいいのか?という問題に対して極めてリアリティのある回答を提示している点で、この小説はわたしたちの心へ強く訴えかける説得力を孕んでいる。

  • あ〜ぁ、だっせ
    自分はまだいける、と思いたいのに
    実は人生たそがれてきて焦ったオヤジが
    若い子と結婚できるよ〜とそそのかされて
    鼻の下を伸ばしてイスラム教に改宗する話

    これイスラム教徒の人は読んで激怒しなかったのかな?
    それともこれがイスラム教の真実?

    ヨーロピアンのアイデンティティー崩壊が〜
    とかなんとか前宣伝を聞いて読んだのだけど
    どうなのこれ

    行き詰まった知識階級の苦悩っぽい書き方をしてもだめ
    要はそういう話しだ

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著者プロフィール

1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞。15年には『服従』が世界中で大きな話題を呼んだ。他に『ある島の可能性』など。

「2023年 『滅ぼす 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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