サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226729

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻ともに目から鱗が落ちっぱなし。凄まじい面白さである。どうすればユヴァルさんのように考えることが出来るのだろうか。心から尊敬する。本書を読んで、自分自身が興味のあること、もしくは知っていることについて述べられている箇所は関心を引かれたが、恥ずかしながら現在の自分では理解しきれない部分も数多くあり、自身の無学さをあらためて感じた。本書をより深く広く楽しむために、勉強してもう少し知識をつけてから読み直したいと思う。

  • 少し前に話題になったらしい本、上下巻の下巻。
    日本語訳の初版は2016年9月。
    図書館で借りた。

    私の中では、ユヴァル・ノア・ハラリによる世界史再解釈の本、という位置づけ。
    確かな歴史の知識に裏打ちされた野心的な試みだと思った。

    農業革命、帝国の成り立ち、産業革命、国民主義…。
    とても興味深く読んだ。
    内容が濃いので読み終わるのに2週間近くかかった。

    ロシアがウクライナに侵攻している現状について、ハラリがどう考えるかも知りたいと思った。

  • めちゃくちゃ面白い。でも読むのが重たい。

    科学革命。
    西暦1500年頃まで、人類は新たな能力の獲得ではなく、既存の能力の維持だった。

    私達は、知らないの前提に立つ。

    これが重大な発見。
    それまでの知識の伝統は、神(宗教)は全てを網羅する知恵を持っている前提。

    知ることに革命が起きた。
    そして帝国、資本主義と結びつき、科学は進歩を続けた。
    進歩で得たものは、失いたく無い、パイは信用で広がり続ける。この先に待つのは何なのか?

    今の自分達の基盤がどういったものの成り立っていて、どこにいるのか、そしてどこへ行くのか。変わることを選んだ不安に対して、幸福が科学・経済の進歩だけでは得られないことを知り始める。

    宗教は、人の不安を取り除いてきたが、今、違う不安を幸福に変えるために見直されている。特に仏教の考えは面白い。喜びと不安の波に揺らぎ苦しむ。自らの感情は、すべて束の間のもの。真の幸福とは内なる感情の追求もやめること。

    諸行無常は自らの内にもある。

    幸福も科学した先に人は人でいられるのか、人でいる事にこだわる考えが古いのか、科学を身にまとい気が付けばフランケンシュタインになることさえ、違和感なく受け入れる時代が来るのか。

    アフリカの片隅で生きていた動物が、自分自身の快適さ楽しみを追い続け、生態系を滅ぼしてしまうのか、自分が何を求めているかを知り、何を選択するのか。

    おもしろい。

  • 全体を通して、虚構(物語)という書き換え可能なソフトウェアが人間というハードウェアを動かしている。そしてそのハードウェアには、「社会的な動物としての生存戦略」がプログラムされているので、虚構というソフトウェアが適合する、と解釈した。
    この解釈は世の中のあらゆる出来事の見方を一変させて、それを知る前にはもう戻れない。そんな感覚を、読みながら様々な出来事に当てはめ、考えを巡らせるなかで感じた。
    偶然にも『進撃の巨人』と合わせて読んでたので、アニメを見ていて直観的にこの解釈を理解できた。ぜひ合わせて見てみて欲しいです。

    また本書で人類史全体を振り返ることで、農耕が人類にもたらしたインパクト、科学と資本主義の関係、全体最適と個別最適は両立しないことなど、新たな気づきがたくさん得られた。
    ギルガメッシュプロジェクトに関してはさすがにSFすぎてピンと来なかったけど、著者にこの先の AI 時代について話を聞いてみたい。

  • 幸福とは何かという視点から、私達、ホモ・サピエンスが今後どのような進化を遂げていくかを考察している点はとても面白い。また、幸福とは何かという問いを簡単にまとめてくれているので非常に読みやすく理解しやすかった。

  • 科学革命による近代の急成長。
    科学と帝国主義と資本
    資本主義による自由主義の確立と幸福への探究心が個人レベルで発生。
    そして資本主義による消費主義・国民主義への確立。
    資本主義が生み出した探究心は、人を自然進化から逸脱する技術を生み出す。
    この先、人類はどうなるのか人間と呼べる物でいられるのかこの波は止められない、それは知的探究心であるから。

    幸福とは何か、
    シナプスなどの快楽物質なのか
    人生の意義なのか
    またもや、仏教による追求を断絶することなのか。

    歴史を研究するのは、過去から学び将来を知るためではなく、現状を知り今立たされてる目の前に無限の可能性があることを理解するためである。
    歴史の当事者も無数の可能性から選択して、その選択が史実に残っているにすぎない。
    では、今後の歴史をどう進ませるかは自分が何者になりたいかではなく、何を望みたいのか?を考えることが重要である。

  • Audible Studiosにて「聞く読書」。

    上巻に続き和村康市氏の美しい朗読に引き込まれる。

    ウオーキングする時間が増えた。
    時差出勤。時短勤務。そして自宅待機。
    人混みを避けながらウオーキング。
    そして炊事洗濯をしながらの「聞く読書」で、大作を読破できた。

    初めて知る世界史と現代世界の著述に、発見と驚きの連続。

    世界は知らないことであふれかえっている。

    欧州列強諸国が世界を征服する課程で、科学技術は飛躍的に発達してきた。

    多くの生命を犠牲にしながら、人類は進歩したかのように思ってきた。

    だが、中世の庶民より現代の富裕層は幸せなのだろうか?

    人類はどこへ向かっているのだろうか?

    人間の本当の目的。それは幸福をつかむこと。

    戦争で領土を広げ、経済力で富をつかんだのなら、幸福を手に入れることができるのだろうか。

    人間が進むべきはいかなる道なのか。

    全人類が見えない巨大な敵と戦う2020年。

    今こそ歴史を学ぶ時。

    今こそ歴史に学ぶ時。

  • 上巻ほどの圧倒される感覚はなかったが(慣れたから?)ハラリワールドを堪能できた。

  • 要は、認知革命でサピエンスが駆使できるようになった創造力、それも虚構(これが重要なポイント)を創り共有できる能力がたぶん今日の繁栄のすべてで、それに積み重なるように農業革命があり、無知であることを自らわきまえたことで起きた科学革命が、現代への飛躍になっています。また、歴史を学ぶときに、それが苦しみや幸せにどうつながったのか、苦しみを生んだ歴史だったのか、幸せを生んだ歴史だったのかを吟味してこなかったのがこれまでの歴史学で、それを考えることに意義があるのではないか、という著者の主張・問いには肯きました。

    歯に衣着せぬ、ズバリと本質をつく論考なので、気持ちのいい刺さり方もすれば、暗部をえぐられる刺さり方もします。それを受けとめる度量をもって、挑んでください。そういう本でしたし、しっかり読んだときに得られるモノはかなりのものだと思いました。

  • 面白かった。人間の進化から政治、経済、宗教と人類の歴史を、今まで聞いたことのない視点から考察していて、あっという間に読める!
    早く上巻も読みたいー

著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ユヴァル・ノア・ハラリの作品

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