- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309405520
感想・レビュー・書評
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☆3 水無瀬
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ユルスナールも須賀敦子も未読で、二人の女性の、圧倒的な知識量を前に読むのに時間がかかった…でも分からなくても読めてしまう須賀さんの品のある文章と、時代の狭間の暗い魅力。ユルスナールの小説の世界と、彼女の生きた世界と、須賀さんのヨーロッパを、行ったり来たりの旅。
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きっちり足に合った靴さえあれば、自分はどこまでも歩いていけるはずだ。
そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする」という著者が、「ぴったりと足にあった靴をはいた、それ以外の靴をはこうとしない部類に属する人間」であるマルグリット・ユルスナール(フランス人作家)の人生を追いながら、そこに自らの人生を重ね合わせていく。
「霊魂の闇」を通り抜けて生き抜いた、二人の魅力的な女性の歩みが時間を超えて交錯します。 -
初めてのの須賀敦子。
大好きな書き手をまた見つけた。全体的なテーマは「マルグリット・ユルスナール」。だけど、その作家、その作品について書くというよりは自分自身とユルスナールの世界、訪ね行く土地での人々との思い出の世界との往還で構成されている。
深甚の知識や感性が、並の人が通り過ぎてしまう瞬間を掛け替えのない時に変える。 -
余すところなく飲んでしまいたい洋風スープのような読書体験。文庫本の値段でこれほど贅沢な気持ちになれることはないと思う。何度も読み返したい本。日常とは別世界へ連れてってくれる。
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修学旅行の感想を高校時代の恩師に読んでもらった時に、「須賀敦子を彷彿とさせられました」という言葉を渡されてから、ずっと心のどこかにひっかかっていた名前を、ようやく手に取る。
わたしの須賀敦子処女をこの本に、このタイミングで捧げられたことをほんとうに幸運におもう。
ユルスナールという数奇な人生を辿った女流作家と、須賀敦子という稀有な言語感覚を持った翻訳家の生が、時に伝記的に、時に紀行文的に、あるいは随筆的に語られる。
何より書き出しがいい。こんな風に書きたい、というお手本のような文章。(引用参照)
ふとじぶんの足を見る。扁平でいびつで小さく、大地を踏みしめるにはあまりに頼りなく、恥ずかしくなってしまう。
それでもこの足で歩いてきたし、歩いてゆくのだから、愛してやらないわけにはいかないだろう。
いとしさをこめて、いつか出会えるその靴を探しながら、いや、探すため、歩いてゆく。生きてゆく。 -
9/30 読了。
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桜庭一樹読書日記から。
もっと難しい評論かと思ったら、ものすごく読みやすかった。そのぶんするする進みすぎて気をつけないと色々読み飛ばす。多分いろいろ見落としてるまま読み終わってしまったので、文章が大好きなこともあって他の作品も読みたい。
ひらひら混じってくる回想が優雅でわかりやすいのになんとなく不穏なような感じで、好きというにはよくわかってない。
色々おぼつかないので再読したほうがいいと思いつつ。
「東洋綺譚」「恭しい追憶」も気になる。