- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309409276
感想・レビュー・書評
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いじめられっ子をクラスの人気者に変化させる。
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沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれるものも久しからずや。とはよく言ったもので、一度は世界を制したとしても、決して長続きはしないもので、しかしその現実を受け入れられずにあがき続けるのが人というものではないか。なんていう、まさに世界の歴史を凝縮しつつ、かつ人間の汚らしいところもしっかり持ってきて、この主人公のダメダメ感が、ひたすらどん底であがく姿勢が、もうぞくぞくするよね。
ていうかここまで出木杉君だと道徳の教科書に使っても良いんじゃないかってレベル。薄っぺらいし、この本を読んで高校生に、主人公の気持ちと、どうすれば良かったのか?みたいなの語ってもらったら良いじゃん。
しかしモブかと思った野ブタの良いやつっぷりが半端なくて、これやり過ぎでしょ。ていうかこのキャラじゃいじめられなくね? -
後味の悪さを言われることが多いみたいだけど、最初から最後まで不快な内容だった。
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ドラマを少し観ていたので、手に取った。
しかし野ブタは男子でドラマとは随分違う。
野ブタのプロデュースは完璧であったが…。最後に急展開。確かに後味悪い。 -
斉藤美奈子も解説で書いているが、まず書き出しにやられた。「辻ちゃんと加護ちゃんが卒業らしい。」は「我輩は猫である。」と同じくらい作品の充実を保障している書き出しに思えた。
KAT- TUNとか山ピーとかでドラマ化されて人気だったことは学生たちから聞いていたので、ちゃらいイメージしかなかったが、帯を見て文藝賞とやらを獲ったこと、さらには芥川賞の候補にもなったらしいことを知り、意外に読み応えがあるのかなと思った瞬間にその書き出しが目に飛び込んできて、購入を決めた。
いきなりだが、人類の歴史とは人類が白けていく過程だと、このごろ思う。アリストテレス、コペルニクス、ニーチェ、フロイト、アインシュタイン。絶対だと信じたものを次々に失い、我々はどんどん相対化していく。
誰も俺の孤独を癒せるわけがない、弱冠17歳でそう看破している本書の主人公は人類の最新型だと言えるかも知れない。それは「ライ麦畑」のホールデン・カパーフィールドよりも徹底した白けだ。彼にとっての愛や友情はもはや、プロデュースして遊ぶ対象でしかない。
しかし愛や友情が、この21世紀に効力を失ったかと言うと、そうでもない。「孤独は癒されない。だから愛さない」人がいる一方、「孤独は癒されない。だけど愛する」人も大勢いるのだ。というか後者の方が圧倒的多数なのだ。その意味で前者の立場をとった主人公は、本人の表現を借りれば、障害物競走で障害があるからというだけで別のコースに逃げてしまう弱い人間でもある。人類にとって重要なのは、孤独が癒されるかどうかではなく、癒そうとするかどうかなのだということに気づき遅れた主人公は、当たり前のようにますます孤独になっていく。多数派の前に少数派はなすすべもなく、教室の片隅の机で一人丸くなっているしかないのだ。人間社会とはそういうものであることを、現代の高校生である主人公はよく知っているのに。
愛や友情は、それが美しいから実践されているものなのか。あるいは、いまだ人類の多数派が実践しているから、自分も実践するものなのか。それとも、人類の多数派が実践しているから、美しく感じられるのか。白けにはキリがあるようでキリがない、まだまだ人類は白けられる、それは嬉しいことなのか、そんなことまで考えさせてくれる、読み応えのある本だった。 -
桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
https://www.d-library.jp/momoyama1040/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD202301000484
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第41回文藝賞受賞作品。
主人公「修二」のクラスに編入してきた「小谷信太」。ベタベタの髪・脂ぎった肌・そして、おどおどした挙動と、その外見は見るからに「イジメられっ子」。世の中がくだらないと考える修二は、信太をクラスの人気者へのし上げる「遊び」を思いつき、それを「プロデュース」と称して実行に移る。
すぐに気にならなくなりましたが、(句読点の場所がおかしいような気がして)序盤は少々読みづらく、数ページで一度挫折しかけました。しかし、中盤からの「野ブタ(信太)をプロデュース」する展開は、まるでサクセスストーリーのよう(言い過ぎか?)。